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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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9月~10月公開映画批評 『狼の死刑宣告』『さまよう刃』『ウイグルからきた少年』 ほか

■『ウイグルからきた少年』 公開中 ★★★
カザフスタンの首都アルマトイ。工事現場の片隅に暮らす3人の少年少女。暴力に明け暮れるカザフ人の少年、売春をして暮らすロシア人の少女、そして両親が政府に捕まり、逃げてきたウイグル人の少年。話す言葉も異なる三人だが、行く場所はなく身を寄せ合って生きている。しかし、ウイグル人の少年は自爆テロを起こす戦士として、養成される。他の2人の行き先も、悲劇だ。在カザフスタン日本大使館で勤めた、現役自衛隊の日本人がメガホンをとった、珍しい作品。淡々と物語は進行し、そしてハッピーエンドとはほど遠く終わる。これがカザフスタンの現状なのだろう。上映時間67分と短いながらも、余韻を残す。

こちらに詳しいレビューを書きました。 ↓
http://www.ryokojin.co.jp/tabicine/yashi.html

■『マーシャル博士の恐竜ランド』公開中 ★
最近はすっかり落ち目のマーシャル博士だが、時空間の歪みを行き来できる装置を完成。マーシャルとホリー、そして土産物屋を営む怪しげな男ウィルの3人は、不思議な異次元世界に迷い込む。そこはあらゆる時代や世界が混在する不思議な空間で、恐竜たちが闊歩し、トカゲ人間が王国を築いている場所だった。
往年のテレビドラマの映画化らしいが、これといったキレもなく、ただただ時間を浪費するのみ。派手な特撮、不発なギャグ、どうでもいいストーリー、見るだけ時間のムダ。お子様向け。

■『無防備』 10月10日よりシネマート新宿にて ★★
どこかの地方都市、田園の中に孤島のようにたたずむプラスチック工場。そこで働く主人公・律子は孤独を抱えて生きている。家庭でも工場でも彼女の心の居場所はない。そんな彼女が出産を控えた若い女性と出会い、抑えていた自分の感情を次第に解き放っていく。
監督の妻で女優の今野早苗が妊婦役で出演しており、その実際の出産がクライマックスになっている。爆発しそうな予感を秘めたまま、物語は進行していく。撮影や録音など技術的な面はまだ粗いが、テーマの切り込み方は悪くない。時おり、演出にも光る部分がある。これからに期待。

■『さまよう刃』 10月10日より全国東映系にて ★★
妻を亡くし、中学生の娘と二人暮らしの寺尾聰だが、その最愛の娘が帰宅途中、若者達に車に引きずり込まれて拉致されて殺されるた。生きる目的を失った寺尾のもとに、犯人の居場所を教える電話が。寺尾は帰宅した犯人にナイフを突き立てた。共犯者を追い、行方をくらました寺尾を警察は追うが、刑事の竹之内豊は割り切れないものを感じる。
東野圭吾の大ベストセラーの映画化らしいが、脚本、演出ともに力がなく、さらに寺尾の省エネ演技や、犯人役達の稚拙な演技が、作品を台無しにしている。唯一の救いは撮影か。愛する者が殺されたとき、あなたはどうするか。そんな問いを投げつけるが、この映画はではそれはどうも絵空事だ。なんだか、テレビドラマを見ているよう。そういえば東野圭吾原作の『手紙』もひどい映画だったな。

■『狼の死刑宣告』10月10日よりシアターN渋谷にて ★★☆
こちらも愛する家族を殺された男が、復讐に走る作品。監督は『sawソウ』の人。原作者は『狼よさらば』と同じで、「警察が頼れないなら自分で落とし前をつける」という、オーソドックスなアクション映画。しかし今は2000年代だから、復讐を果たし、スカっと終わることは出来ない。復讐は新たな復讐を呼んでいき、誰も救われない。70年代のB級アクションを連想させる暗いムード。ただ主演のケビン・ベーコンが地味。マット・デイモンあたりを配役してほしかった。名画座で二本立てで、昔こういう作品によく出会ったな。

■『キッチン 3人のレシピ』 公開中 ★
主演男優が、ドラッグ絡みで捕まり、公開が延期されていた韓国映画。2人の異なったタイプの男を好きになってしまう主人公。ほとんどが彼女のせいでトラブルが起きるのだが、まあ、気にしない。まるでマンガのように現実感のない筋立て。まあ、よほどの韓流ファンでない限り、見なくてもいい。

これといったお勧め映画はないなあ。
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by mahaera | 2009-10-04 03:17 | 映画のはなし | Comments(0)
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