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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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おすすめ映画 韓国映画 『アバンチュールはパリで』 を観る

先日、ここのところお勧め公開映画がないと書いたが、うっかり忘れていた。
誰にでもおすすめというわけではないが、失職したことがあつたり、女性に対して主体的になれないという人におすめなのが、この『アバンチュールはパリで』だ。
そのタイトルとは裏腹に、まったくお洒落でも、ウキウキするようなコメディでもないし、かっこいい男女が出てくるわけでもない。チラシに書いてあるように、「小粋な恋のかけひき劇」でもない。

主人公はマリファナを吸ったことがバレ、警察に捕まることを恐れて、妻をひとりソウルに残し、パリにやってきた画家ソンナム。画家としては「そこそこに有名」というレベルだ。
夏のバカンスシーズンのパリ。彼は韓国人の主人が経営するゲストハウスのドミトリーで寝起きする。
とくに観光もせず、することといったら町をぷらぷらするぐらい。ヒマだ。
そんなソンナムは10年前に別れた恋人ミンソンに偶然遭う。しかしすっかり忘れていて、相手が怒り出すまで気づかない。時差があるので、妻に電話するのは深夜になり、淋しさがつのる。
ダラダラしているソンナムを見かねた宿の主人が、知り合いの画学生の娘にパリを案内させる。ソンナムはその友人の画学生ユジョンを一目で気に入る。
一方、パリでフランス人の夫との生活に疲れたらしいかつての恋人ミンソンは、ソンナムをホテルに誘うが、ソンナムはそんな気になれない。
若い娘ユジョンに次第に心奪われていくソンナムだが、ユジョンは相手にしない。
一方でソンナムは、毎晩のように妻に電話する。

監督のホン・サンスは、僕の好きな韓国映画ベスト5に入る『気まぐれな唇』の監督で、今回もその作品と設定は似ている。『気まぐれな唇』の主人公は、有名ではないが無名でもない俳優で、映画の仕事がなくなって失職状態になり、旅に出て、出会った女性を好きになる。そこには2人の女性が出てくるが今回は、もう少し多い。

主人公は大男だが、モサっとしていて、何を考えているかはっきりしないのも同じ。
仕事がなく「失職中」で、そんな時に女性たちに出会う。
ソウルに残してきた妻を愛しているが、現在そばにいるわけではない。
目の前にいる女を追いかける男の情けなさ。
かつての恋人は自分に積極的に迫ってくるが、追いかけられると腰が引けてしまうし、目新しさはない。
そんな中、主人公が心奪われるのは、若い留学生だ。冷たくされればされるほど、年甲斐もなく若い娘にのぼせあがってしまう。
そのもやもやとした感じが、おかしい。別にふざけているわけではないのだが、人のとる行動は時として喜劇だ。昼間は若い娘を口説き、夜は電話で妻に淋しさを告白する。
この若い娘も曲者で、画学生ながら人のアイデアを盗作し、自分のものとして提出。
パリへきてもまったく同じことをしているし、友人と一緒でもケチでお金を出すこともない。

部屋をシェアする友人も、主人公のかつての恋人も、この女の子のことを「ケチ」といってけなすが、
韓国では「ケチ」というのは最大限のけなし言葉なのだろうか、などと考えてしまった。
あきらかに虚言癖のある娘なのだが、主人公にとってはそれも魅力になってしまう。
とうとう、ホテルに行くところまでこぎつけるのだが、そんな時に限って
「今日は危険日だから、避妊具を買ってきて」といわれ、
コンドームを求めて町を歩く主人公。そのうちヤル気も失せてきてしまう。

そんなもやもやとしてパリの日々も、ある晩妻から「妊娠したらしい」と電話で告げられ、
今までのことは何とやら、さっさと帰国してしまうのだ。
男の身勝手さ、まあそれは女性も変わらないが。
その場その場で行き当たりばったり的に対応していく男の姿が、「ある、ある」と共感を呼ぶ(笑)
人が恋してあれこれやっている姿は、無様で滑稽なのだろう。
しかしそんな人間が愛おしくも感じる。
オシャレじゃないが、ほとんどの人間はそんなものだ。そして主人公を笑いながら、同じようなことをしている自分にも笑ってしまうのだ。

週刊誌でおすぎが最低点、コラムニストの中野翠が高得点をつけていたが、
きっと好き嫌いが分かれてしまうのだろう。
もちろん僕は★★★★をつける。

10月17日(土)より、シネカノン有楽町2丁目ほか、全国順次公開
公式HP: http://www.bitters.co.jp/paris


ちなみにこんなシーンはありません。きっとハメコミ画像です。
        
b0177242_1764759.jpg
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by mahaera | 2009-10-07 17:06 | 映画のはなし | Comments(0)
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