吉田拓郎のCBS時代の作品が、いつのまにかBOXで出ていた(この時代は「よしだたくろう」名義)。
気になるのは現在廃盤になっている名作『今はまだ人生を語らず』がどうなったかだが、このBOXに収録されていた。
しかしその廃盤の原因となっている曲「ペニーレインでバーボンを」は相変わらず未収録。
タイトルも『今はまだ人生を語らず-1』だ。
このアルバム、拓郎の最高傑作だと思うのだが、最初にCD化されただけであとは長い間廃盤。
現在、中古市場では2万円前後のプレミアがついている。
廃盤の理由は明らかにされていないが、どうやら「ペニーレインでバーボン」という曲の中の歌詞
「テレビはいったい誰のもの、見ているものはいつもつんぼさじき」
という一節がひっかかっているらしい。
「つんぼ」がダメらしいのだが、こうした現在の基準で過去の作品を断罪するのは僕には疑問だ。
そんなこといったら、手塚アニメ(「どろろ」とか)をはじめ、過去の作品は公開できなくなってしまう。
聴覚障害の人には悪いが、テロップをいれてやればいいと思うの。
しかし、そんな理由で発売しないというのは、ソニー側の問題か拓郎側の問題なのかは、よくはわからない。
往年の拓郎ファンからすれば、もしそれが拓郎側なら悲しい気分だ(たぶん拓郎も出さないことを了承し、受け入れたのでマイナスワンで発売されたのだ)。
「出さないのなら、インディーズから出す!」というぐらいの気概が欲しかった。キヨシロウみたいにね。
ちなみにこの曲、拓郎の代表曲なのでCD初期に出たベストアルバムには入っていて、なかでもズバリ『ペニーレイン』というタイトルのベストアルバムもある。しかし現在ではこのアルバム、タイトル曲でもある「ペニーレインでバーボン」が入っていないという、おかしな感じで発売されている。
何年か前につま恋で行われた拓郎とかぐや姫のコンサートで、この「ペニーレインでバーボン」が歌われ、BSで放映されたが、その時、問題の歌詞の部分がはっきりと他の言葉に置き換えられていて、非常に失望したのを覚えている。会場に来たファンは、みなその問題のことを知っているから、注目していたはずなのだが。せめて「テレビはいったい誰のもの、見ているものはいつも×××」ぐらいの感じでやって欲しかった。無論、それはファンの妄想だけどね。