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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画評 ジョニー・デップ主演『パブリックエネミーズ』

監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ、クリスチャン・ベイル、マリオン・コティヤール
12月12日よりTOHOシネマズ スカラ座、他

ジョニー・デップの新作は、大恐慌時代の銀行ギャング、デリンジャーの最期の一年を描いたものだ。

1933年、銀行強盗のデリンジャーは、「貧乏人から金を奪わない」という手口から、
不況にあえぐ庶民たちのヒーロー的な存在だった。
仲間たちを刑務所から脱獄させたデリンジャーは、早速銀行を襲い、あっという間に金を奪って逃走。
しかし無益な殺人は好まない。
シカゴのバーで、デリンジャーは一人の美しい女性ビリーに目をとめる。
ビリーを食事に誘ったデリンジャーは、大胆にも自分が銀行強盗であることを打ち明ける。
その頃、FBIの権力拡大を目指すフーバー長官は、敏腕捜査官パーヴィスをシカゴに送り込み、
デリンジャーを「パブリックエネミー(社会の敵)」として逮捕をもくろむ。

愛し合うデリンジャとビリーだったが、ビリーの目の前でデリンジャーは逮捕。
しかし彼は脱獄し、再び犯罪を繰り返すが、新しい仲間は無益な殺人を。
山荘に落ち延びたデリンジャーたちをFBIが襲撃するが…。

『ヒート』ではデニーロとアル・パチーノ、『コラテラル』ではトム・クルーズとジェイミー・フォックス
『インサイダー』ではラッセル・クロウとアル・パチーノ
男同士の四つに組んだ対決を、スタイリッシュに見せるのが得意なマイケル・マン監督
銃撃戦大好きな監督らしく、今回も山荘での銃撃戦はたっぷり見せてくれる

1970年代映画で育った者にとってデリンジャーと言えば、ジョン・ミリアスがウォーレン・オーツ主演で映画化した『デリンジャー』がまず頭に浮かぶが、
自信家でクール、しかも粗暴な感じがないデリンジャーをデップが演じた今回の映画化も、
多くの人にとってきっと記憶に残る作品になるだろう。

車、帽子、コート、ピカピカの銃など、スタイリッシュ画面はさすが。
派手さよりも、男の美学を優先させるマイケル・マンの映画作りは安定して見せてくれる。
もっとも欠点がないわけではない。
この監督、毎度ながら人間性の奥行き感を脚本や演出ではなく、俳優の力に頼っているように感じる。
デリンジャーがビリーを好きになるきっかけとか、刹那的な生き方、虚栄心といった部分に説明(もしくはそれを示すちょっとしたエピソード)があまりないため、結局デリンジャーがどんな人間なのかがわかりにくいのだ。

思慮深い感じもないし。ビリーを最期まで愛していたというのも、何でなのかよくわからない。
デップの演技だけでは、やはりちょっと無理がある。
またデップと対決するFBI捜査官のクリスチャン・ベイルも影が薄い。
この人、『ターミネーター4』でも、『ダークナイト』でも自分が主演なのに、いいところは全部共演者に持っていかれてしまう。
主演なのに存在感がないという稀有な俳優なのだが、ここでも出番が多い割には、彼の人間性を象徴するようなエピソードがあまりなく、結果的に印象が薄い。

それに対して、デリンジャーの恋人役マリオン・コティヤールは、人間臭さをうまく物語りに盛り込み、
意外に存在感を出していた。

デリンジャーは映画館から出てきたところを、捜査官達に銃撃されて死亡するのだが、
最期、ちょっとセンチメンタルなエンディングは、きっと女性観客の涙を誘うのだろうなあ。

有名な割には、実際のデリンジャーの銀行強盗期間はわずか一年。
FBIに協力し、彼を映画館に誘い出した娼館のマダムは、目印に赤いドレスを着ていたことから、
アメリカで「赤いドレスの女」というと、「運命の女性」ということになるらしい。
昔、『ウーマン・イン・レッド』という映画があったけど、そういうことなのか。

映画を観てからデリンジャーに興味がわき、ネットでいろいろ調べてしまいました。
★★★☆
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by mahaera | 2009-11-30 21:54 | 映画のはなし | Comments(0)
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