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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画評 『パーフェクト・ゲッタウェイ』

『パーフェクト・ゲッタウェイ』 1月23日より公開
監督・脚本:デヴッド・トゥーヒー(『ピッチブラック』『リディック』)

楽しいはずのハネムーンが悪夢に…。

限定された空間で、逃げ場のない疑心暗鬼が高まっていくというサスペンスは、
古今東西ミステリー作家なら誰しも挑戦したくなる設定だろう。
本作が新しく感じるのは、「屋敷」とか「豪華客船」、
はたまた「オリエント急行」など、それまで外からも内からも出られない空間で
起きる事件が多かったのに対し、「ハワイの美しい大自然」という
オープンな場所で起きるサスペンスという点だ。

ハワイのカウワイ島、その美しいビーチへ向かうトレッキングコースに、
新婚旅行中のクリスとシドニーがやってきた。
二日かけて行くコースで、彼らはニックとジーナのカップルと出会い、行動を共にする。
また、このトレッキングコースへ向かう途中、ヒッチハイクを求めてきたが、
気分を害して車を降りたケイルとクレオのカップルも同じコースを歩んでいるのに気づく。
コースを歩いている途中、クリスとシドニーは、他のトレッカーから、
オアフ島で新婚旅行のカップルが殺され、
その犯人がカウアイ島へ逃げ込んでいることを耳にする。
しかも犯人は若いカップルだという。この中にいる誰かが犯人なのか?
疑いは疑いを呼んでいく…。

人気トレッキングコースなので、一本道とはいえ、まったくの無人ではない。
終点のビーチへ行けばツーリストだっている。
しかしふと人気がなくなる瞬間もある。
旅先で知り合った旅行者と一緒にトレッキング道を歩いた人もいるだろうが、
そんなところに殺人者が紛れ込んでいるとは、誰も思わない。
殺人者が呑気に観光なんてね。
それにカップル殺人鬼を描いた『ナチュラルボーン・キラーズ』や
『ハネムーン・キラーズ』という映画もあったが、
幸せそうなカップルと殺人は正反対のイメージだ。

そうした意外性をベースに、主人公のカップル以外に
二組のカップルが物語に登場。
途中から、誰が殺人鬼なのかというサスペンスになる。
実際、脚本はよく考え抜かれていると思う。
ミステリーなので詳しくかけないが、前半に張られた伏線も納得できる。
意外性もうまく生きている。しかし、その割に「B級感」は最後まで払拭できない

これはたぶん演出によるものなのだろう。
演出が「下品」というか、もう少し「高級感」をもたすこともできたはずだ。
たとえばこの脚本をもとにウディ・アレンが演出していたら、
直接的な表現を避け、洒落たスリラー・コメディになっていたかもしれない。
ミラ・ジョヴォヴィッチをはじめ、キャストに高級感がないのもマイナスか。
面白かったが、「安い」印象がぬぐえない作品になってしまい、残念。
(★★★)

(旅行人「旅シネ」に転載予定)
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by mahaera | 2010-01-12 11:21 | 映画のはなし | Comments(0)
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