ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

新作映画評 ピーター・ジャクソン監督の新作 『ラブリー・ボーン』を観た

ラブリー・ボーン The Lovely Bones
2009年/アメリカ

14歳で殺された少女が、死後の世界から愛する人々を見つめる
スリラーとファンタジーを融合させたピーター・ジャクソンの新作

公開:1月29日より全国ロードショー
公式HP:www.lovelyB.jp

スージー・サーモンはアメリカの郊外住宅地に住む14歳の女の子。
仲の好いパパとママ、そして妹と幼い弟と暮らしている。
目下の関心事は、同じ学校の上級生レイのこと。
初めてデートに誘われたスージーだが、学校の帰りに
近所に住むミスター・ハーヴィーに殺されてしまう。
1973年12月6日のことだった。
最初は自分が死んだことに気づかないスージーだったが、
家族の悲しみを見るうちに現世と天国の間の世界にとどまる事にする。

ストーリーを読んでもどんな映画なのかピンとこなかった。
そして映画を観終わった今も、この映画をうまく人に伝えられない。
郊外住宅地で起こった陰惨な殺人事件。犯人は近所に住む男だが、
疑われることなく、生活を続けている。
死体も発見されず、少女の家族の悲しみは大きい。
物語の骨格は家族ドラマであり、事件は解決されるかというサスペンスだが、
それを死後の世界にいる死んだ少女に語らせるのがユニークな点だ。
かといって、幽霊が出てくるホラーではない。
家族は時おり少女の存在を感じはするものの、姿を見るわけではないし、
対話が出来るわけでもないのだ。

死後の世界はCGを駆使したファンタジー場面として描かれる。
そこは少女が自由に思い描く世界で、
トウモロコシ畑に体が沈んでいくシーンや、
帆船の入った巨大なボトルが海岸で砕けるシーンのイメージはすばらしい。
一方、現実世界では、両親、
とりわけマーク・ウォールバーグ演じる父親の悲しみが痛々しい
犯人役の俳優を含め、出演者たちはみな熱演をしている(とりわけ主演のシアーシャ・ローナン)。
しかし、どうも全体ではそれがうまく生きていない。
少女が殺されるシーンや、犯人を疑い始めた少女の妹に危険が迫るシーン
などはスリラー演出でハラハラさせるのだが、それがどうも
ファンタジックなシーンとのバランスを欠いているような感じなのだ。

だから、シーンが切り替わるたびに、何か居心地が悪い感じを受けた。
視点ばかりか、演出方針が変わってしまうような感じなのだ。
多分、犯人の生活などを丁寧に描きすぎたために
(そしてそれが出来が良くて印象に残りすぎてしまったために)、
物語の流れの軸がブレてしまったためだろう。
もちろんいいところあるのだが、期待が大きかったためか、
そのあたりが残念な出来になってしまった。(★★★☆前原利行)

旅行人HP旅シネに掲載しました(同じもの)
[PR]
by mahaera | 2010-01-16 11:59 | 映画のはなし | Comments(0)
<< 2009年 マイ・映画・ベストテンは 来週から海外取材です >>