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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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「嫌われ松子の一生」 山田宗樹 幻冬舎文庫

「嫌われ松子の一生」 山田宗樹 幻冬舎文庫 上350ページ 下389ページ

映画は前に観ていて面白かったが、原作を初めて読んでみる。
読んでみると、ストーリーは原作にほぼ忠実なのだが、
映画の語り口はかなりデフォルメされてポップなものになっていたことがわかる。
たとえば、原作だともっとミステリー風味も残っているのだが、
映画ではアップダウンの激しい松子の一生を、ミュージカル仕立てにしていて、
これはこれで演出が成功していたことがわかる。

荒川沿いの北千住の日の出町に住む中年女性・松子が殺された。
今までそんな叔母がいたことも知らない西荻窪のアパートに住む大学生が、
部屋の後片付けに行ったことから、松子の人生に興味を抱き、
彼女の人生をいる人々を訪ね歩く。
教師だった松子が、教え子の万引き事件を何とか収集しようと
したことが裏目に出て、学校をクビに。そこから松子の転落人生が始まる。
家を飛び出したまず松子が知り合ったのは、自らを「太宰の生まれ変わり」という文学青年。
時に暴力を振るわれながらも彼を愛した松子だが、彼はあっけなく自殺。
次に松子は妻子ある男性と不倫をするが、それも自爆で終わり、風俗嬢へ。
指名ナンバーワンに上り詰めるも、悪いヒモにひっかかり、
ケンカの挙句、その男を殺害。
東京へと逃亡した松子は、そこで実直な理髪師と知り合い、
幸せな生活を続けるのもつかの間、警察に捕まり、刑務所へ。
七年後、松子は出所するのだが…。

とにかく、激情に駆られると今までのことは一気にどうでも良くなってしまうという松子。
真面目だが、思い込みも激しい。
その極端ぶりは、ある意味、自分の人生を一生懸命生きているのだが、
将来のビジョンがまるで欠けているため、自分の運命はすべて男次第なのだ。

上下巻合わせて700ページあまりの長編だが、非常に読みやすく、
また半分は会話なので、1時間100ページほどのスピードで読み進み、
セントマーチン島からコックスバザール、
そしてチッタゴンへの道のりで、読みきってしまった。
けっこう面白かったです。
今ならブックオフで一冊105円で買えるので、どうぞ(笑

「嫌われ松子の一生」 山田宗樹 幻冬舎文庫_b0177242_23274273.jpg

by mahaera | 2010-02-18 23:27 | 読書の部屋 | Comments(0)
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