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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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マハエラ的カルト映画館 『狼は天使の匂い』

『狼は天使の匂い』 1972年 ルネ・クレマン監督


この映画のことを知ったのは小学五年生ぐらいのとき。
父親が買ってきた「映画音楽全集」かなにかのLPに、
この映画のサントラが入っていた。それが何か人を不安にさせるもので、
解説を読んでみた。
たしかこんな感じだ。

飛行機事故でジプシーの子どもたちを死なせてしまったトニーは、
ジプシーの一団に命を狙われて逃げる途中、偶然殺人現場を目撃してしまい、
チャーリー率いる強盗団に拉致される。
捕らわれの身になったトニーだが、彼らの信頼を得て、強盗団の仲間に。
やがてチャーリー一味の目的が明らかになっていく。
ギャングのボスの秘密を知り、裁判のために保護されている情婦を
誘拐するというのだ。計画は実行されるが。。。

なんだか、込み入った話でしょ。
小学生だった僕は、続きがどうなるか知りたかった。
しかしその後、この映画を見るチャンスはなく、
また、レンタルビデオの時代になっても、なぜか本作は発売されなかった。
しかし、先日BSでの放送を知り、40年越しでこの映画に対面できたのだ。

主人公トニー役はジャン・ルイ・トランティニャン
『男と女』の主人公といえばわかってもらえるだろうか。
もうひとりの重要な役、強盗団のボスがロバート・ライアン
本作の撮影中、すでに癌が進行し、本作が遺作となった。
監督は名匠ルネ・クレマン

たぶん、今の映画しか見ていない人にとっては、イントロが短すぎ
(トニーがジプシーに狙われている理由はフラッシュバックのみで語られる)、
強盗団の隠れ家でただただ待機している時間が長すぎると感じるだろう。
しかし、ここが一番描きたかったところなのだ。
犯罪目的でつながっている男たちが、少しずつ心を通わせていく。
どこかで見たことがあると感じていたら、
ジョニー・トーの名作『ミッション非常の掟』に雰囲気が似ているではないか。

後半に行くにしたがって、強盗団の一味がひとりひとりと死んでいく。
女を逃がし、警官隊に包囲されたふたりは童心に返って、ビー玉を賭けて、
的を撃つ。的の下から出てきたのは、アリスのチェシャ猫
これがオープニングシーンにつながっていく。
それがどう関係あるのかわかない。ただ感覚的につながっていく。

うーん、また最初からもう一度見たくなる。
説明不足が、魅力を増していく。
「鏡の国のアリス」が裏テーマらしいのだが、読んでいないので謎。
とにかく見てよかった。大人の犯罪ファンタジー。
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by mahaera | 2010-07-27 07:45 | 映画のはなし | Comments(0)
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