「ほっ」と。キャンペーン
ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

新作映画レビュー『ルイーサ』公開中

ルイーサ 2008年/アルゼンチン、スペイン

監督:ゴンサロ・カルサーダ
出演:レオノール・マンソ、ジャン・ピエール・レゲラス
配給:Action Inc.
公開:渋谷ユーロスペースほかにて公開中
上映時間:110分
公式HP:www.action-inc.co.jp/luisa

■ストーリー
60歳のルイーサは、ブエノスアイレスのアパートでひとり、猫のティノと暮らしている。毎朝決まった時間に勤め先の霊園に出勤し、夕刻には次の仕事先、かつてのスター女優の手伝いに向かう。人付き合いを拒むそんな単調な生活を、ルイーサは何十年も続けていた。ある朝、ティノが死んだ。その日、勤続30年の職場を突然解雇されたばかりか、お手伝いの副業も失う。規則正しい生活から、ティノの埋葬費用を捻出するのもままならない生活へ。困ったルイーサは、初めて乗った地下鉄で、お金を稼ぐヒントを得るが…。

■レヴュー
定年まであと数ヶ月で、突然仕事を解雇されたルイーサ。毎朝、同じ身だしなみで出勤し、淡々と仕事をこなして帰ってくるだけの毎日。都会の片隅で、孤独を愛し、変化を嫌い、人との関わりを避けて暮らしている。そんな生活が一転し、自分から外へ向かって積極的に働きかけなければ、生活するにも困る毎日になってしまう。そこから、彼女の悪戦苦闘の毎日が始まるのだが、それと同時に私たちは、彼女を襲う悪夢から、彼女をそうさせた苦しい過去を察することになる。

不幸な環境に落ち込んだルイーサだが、必死に生きていくことによりどんどん人間臭くなり、逆に生き生きとしてくる。それを見て私たちは、彼女はそもそも最初から不幸だったことに気づくのだ。出来事的には、次から次へと不運が重なる彼女だが、本当は彼女は、すでに長い間不幸で人間的な生活をしていなかった。彼女が働いているのが霊園であり、引退同然の女優のもとであったりするのが、それを現している。これはそうした“死者の世界”から、ルイーサが抜け出していく物語なのだ。

アメリカン・コメディのように、とてつもなくすばらしいハッピー・エンドが待っているわけではない。そこそのハッピーさだが、それはこの物語がまだ終わりではなく、ルイーサの新しい物語が始まることを暗示しているからだろう。(★★★)

(このレビューは旅行人公式HP内の旅シネに寄稿したものと同じです)
[PR]
by mahaera | 2010-10-28 20:25 | 映画のはなし | Comments(0)
<< 新作映画評『ラスト・ソルジャー... The Verbs奥田民生のラ... >>