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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画評『バスキアのすべて』 27歳でこの世を去った天才バスキアのドキュメンタリー

バスキアのすべて
Jean-Michel Basquiat : Yhe Radiant Child
2010年/アメリカ


監督・製作:タムラ・デイビス
出演:ジャン=ミシェル・バスキア、ジュリアン・シュナーベル、ラリー・ガゴシアン
配給:CJ Entertainment Japam
公開:12月18日よりシネマライズにて
上映時間:93分
公式HP:ここ

■レヴュー
僕の初めての海外旅行はアメリカ。
そしてもっとも長く滞在し、一番インパクトを受けたのは
ニューヨークだった。
1984年の冬のことだ。
マドンナは2枚目のアルバム「ライク・ア・バージン」で、
音楽だけではなく、ストリートの感覚を取り入れたファッションで
注目を浴びていた。
プリンスも「パープルレイン」で注目されていた。
佐野元春は前年、ほぼ1年間ニューヨークに滞在し、
その新しいカルチャーをラジオで届けていた。
キース・へリングを知ったのも、佐野元春経由かもしない。
佐野元春がニューヨークで製作したヒップホップアルバム
「VISITORS」は、当時の日本の音楽界の最先端だった。
僕がニューヨークに着いて買ったヴィレッジ・ボイスでは、
U2の新譜「焔(ほのお)」と共に
まだ聴いたことがないバンドREMが大きく紹介されていた。
滞在中にはRITZでスティングの初のソロライブが行われていた。
そのころはまだポリスは活動中と信じられ、
スティングが次の段階に進んでいるとは、誰も思っていなかった。
ジャコ・パストリアス、ポール・バターフィールド、
リック・ダンコはまだ生きており、僕は小さなライブハウスで、
彼らの晩年のライブを楽しんだ。

80年代初頭は、それまでどちらかといえばインテリ、
あるいはマニアのものだったアートシーンの中で、
ストリートカルチャーが脚光を浴びていく時期でもあった。
音楽ではヒップホップやMTVの登場、
パンクもファッションとして取り入れられ、音楽ではマドンナ、
アートではキース・へリングのように商業的に成功する者も現れた
バスキアが登場したのも、そのころだ。
バスキア本人にももちろん才能はあったが、
そうした波に乗ることによって、
わずかな期間で大成功を収めたのだと思う。
しかし20代前半の若者には、そんな自分を取り巻く環境を
コントロールできず、ジミ・ヘン、ジャニスのような
ロックスターのように、ドラッグに溺れ、
若くして命を落とすことになる。

本作は、本人へのインタビュー映像や、多くの関係者たちの証言、
当時の記録映像などにより、バスキアの短い生涯を追う、
伝記ドキュメンタリーだ。
驚いたのは10年にも満たない活動期間に、
ドローイングも入れて2000点にも及ぶ作品を残したこと。
たぶん、創作活動中がもっとも幸せな時間だったに違いない。
(★★★)

■関連情報
本作にも登場し、コメントしているジュリアン・シュナーベルは、
今では『潜水服は蝶の夢を見る』などで知られる監督だが、
その監督デビュー作はバスキアの姿を追った
劇映画『バスキア』であり、映画監督である以前は、
ニューヨークのアートシーンで人気のアーティストだった。

このレビューは旅行人のHP「旅シネ」に寄稿したものと同じです
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by mahaera | 2010-11-18 13:59 | 映画のはなし | Comments(0)
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