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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『金正日花/キムジョンギリア』 人間はアリではない

金正日花/キムジョンギリア

2009年/アメリカ、韓国、フランス

監督:N. C. ハイケン
配給:アップリンク
公開:12月25日より渋谷アップリンクファクトリーにて


これは12月25日より渋谷アップリンクファクトリーにて行われる
「リアル!未公開映画祭」の中の一本。

韓国への砲撃事件で、またまた世間をお騒がせの北朝鮮。
もはや将軍様やその後継者問題は、日本のワイドショーでは定番で
海老蔵なみの認知度。
ジョンイル親子のそのルックスは、もはやふた昔前の独裁者然で、
レトロささえかもし出している。

さて、その北朝鮮の収容所から逃亡した人々、
または生活苦などから脱北した人々へのインタビューを通し、
北朝鮮の過酷な現状を知る本作は、
かの国のことを知るには、タイムリーなドキュメンタリーだ。

世界が好景気に沸く90年代初頭、
北朝鮮を深刻な食糧危機が襲った。
人々は飢えに苦しめられ、そしてまたある者は“政治犯”として
収容所に送られ、強制労働に駆り出されていた。
本作でインタビューを受ける脱北者たちは、
別に政府の要人でもない、名もなき人々だ。

“政治犯”にされると、小さな子どもも含めて
その家族が全員収容所送りになる。
だから、生まれながらして収容所暮らしだったという者もいる。
政治犯といっても、北朝鮮のことだから、
別に根拠があるわけではない。
力があるものが、目障りな人間を
“政治犯”と決め付けるだけなのだ。
語られる収容所の暮らしは、まさに生き地獄で、
小さな子どもたちも強制労働に駆り出される。
反抗したり、看守たちに嫌われたりすすれば、
まちがいなく「死」。
インタビューに答える青年は、少年のころ
親の処刑に立ち合わせられたという。

収容所でなくても、飢えに苦しむ人々にとって、そこは収容所と変わらない。
将軍様に仕える兵士でさえ、食べ物に事欠き、
軍が一般人から、盗みを働いているという事実。

まるで女王アリに使えるように、将軍様を頂点とした奴隷社会
それが北朝鮮だ。もちろん人間は昆虫ではなく、
ひとりひとりが意思を持ち、それぞれの幸せを望んでいる。

しかし、その幸せを打ち砕くのが、かの国なのだ。

そんな国家、私たちの国のすぐ近くにあるという事実を再確認。
一緒に本作を観ていた息子に、
北朝鮮が攻めてきたらどうするかと聞くと、
「戦う。降伏して、こんな生活するぐらいなら、
死んだほうがマシ

と答えた。人間やめて、虫になるよりはいいかも。
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by mahaera | 2010-12-16 18:20 | 映画のはなし | Comments(0)
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