ソウル・キッチン
Soul Kitchen
2009年/ドイツ、フランス、イタリア
監督:ファティ・アキン
出演:アダム・ボウスドウコス、モーリッツ・ブライプトロイ、ビロル・ユーネル
公開:1月22日より渋谷シネマライズ他にて公開
ファティ・アキン、僕の好きな監督である。
彼の全作品を見たわけではないのだが、僕が観た
『太陽に恋して』『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』の3本とも、とてもいい作品だ。つまり
ハズレがない。
ハンブルグで大衆食堂“ソウル・キッチン”を経営するジノスは、
恋人が仕事で上海に行き、離れ離れになることに耐えられない。
そこで、高級料理店をクビになった頑固な天才シェフを雇い、
上海に行こうとする。
ところが、仮出所した兄イリアスを雇うはめになったり、
税務署い支払いを命じられたり、腰を痛めて動けなくなったりと、
物事はうまくいかない。やがてイリアスがウェイトレスのルチアに
恋をして仕事に精を出し始め、シェフが作る料理も評判を呼び、
店はウソのように繁盛し始める。
しかし、土地を狙う不動産業者の魔の手が忍び寄っていた。
前作『そして、私たちは愛に帰る』でも、
複数の登場人物を巧みに描いていたアキン監督は、
本作でもより軽やかに各キャラクターを見せてくれる。
低価格だが冷凍食品でいいかげんな料理を作っていた主人公。
しかし、シェフのアドバイスを受けて、
手の込んだ料理を作り上げていくシーンが、楽しい。
この“流れ者”的な偏屈なシェフ
(『愛より強く』で主人公を演じた
ビロル・ユーネル)
のキャラがいい。また、仮出所するために弟の
“ソウル・キッチン”で働く乱暴者の兄イリアスに、
『太陽に恋して』で主人公役の
モーリッツ・ブライプトロイなど、
アキンの過去作品の主役を演じた
俳優たちが脇を固めているのもうれしい。
いつもは出自のトルコ系移民の家族を描くアキンだが、
今回は、主人公たちはギリシャ系移民という設定。
でも、見た目はあまり変わらないのだろう。
主人公にはいろいろ困難が降りかかるが、
コメディにふさわしいハッピーエンドが用意されているので、
安心して観て欲しい。
(★★★★)