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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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映画レビュー『再会の食卓』 中国と台湾に生き別れたて暮らし、40年後の再会を果たした夫婦

再会の食卓
Apart Together(団圓)
2009年/中国

監督:ワン・チュエンアン(『トゥヤーの結婚』)
出演:リン・フォン、リサ・ルー、シュー・ツァイゲン、モニカ・モー
配給:ギャガ
公開:2月5日よりTOHOシネマズシャンテほかにて
上映時間:96分
公式HP:shokutaku.gaga.ne.jp

1949年に国民党が台湾に撤退して以来、
中国と台湾に分かれた多くの分断家族が生まれた。
台湾へ行った人々の帰郷は1987年の規制緩和を待たねばならない。
この映画の状況は、おそらくその規制緩和直後の頃のようだが、
映画に映る上海は現在の街並のようで、
とくにいつの話か特定はしないようにしているのだろう。

上海に暮らすユィアーの元に一通の手紙が届いた。
生き別れて台湾に行った夫のイェンションからのもので、
40数年ぶりに上海へ帰ってくるというものだった。
しかしユィアーにはすでに新しい家族がいた。
またイェンションも台湾で結婚し、妻を亡くした後の帰郷だという。
ユィアーの家族はイェンションをもてなすが、
イェンションは彼女を台湾に連れて帰るという願いがあった。
イェンションは国民党軍の兵士だったため、
子どもとともに残されたユィアーの人生は過酷なものだったが、
そんな彼女を支えてくれたのが今の夫のシャンミンだった。
食事の席で、イェンションはユィアーを連れて帰りたいと切り出す。

台湾に渡って音信不通だった昔の夫が、
すでに新しい家族を持つ妻の元に突然現れる。
台湾で結婚した夫は子どももおり、
その妻と死別したから上海にやって来て、
かつての妻を連れ帰ろうとする。
虫のいい話だが、妻はすんなりそれを受け入れる。
現在の夫は妻のためを思い、妻の好きなようにさせようとするが、
それは本心ではない。
しかし、「残り少ない人生を自分のために使いたい」
という妻の思いが、自分を犠牲にして家族のために生きてきた
40年という長さを感じさせる。

映画は上海の下町に住むユィアーの家族が食卓を
囲んでいるシーンに始まり、高層ビルの一室に移り住んだ
ユィアーたちの食卓のシーンで終わっている。
“時間”はこの映画の中でも止まらずに流れていく。
時を戻すことはできない。大きな悲しみがそこにはあるが、
孫娘の姿に明日への希望を感じさせてくれる。(★★★★)

2010年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞。
ワン・チュエンアン監督の前作『トゥヤーの結婚』は、同映画祭の金熊賞(グランプリ)を受賞している。

(この原稿は、旅行人のウエブサイト、「旅シネ」に寄稿したものです)
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by mahaera | 2011-01-26 19:57 | 映画のはなし | Comments(0)
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