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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『スーパー!』  『キック・アス』に続く、等身大ヒーロー出現。笑えるが少々イタい話

スーパー!
Super !
2010年/アメリカ

監督:ジェームズ・ガン
出演:レイン・ウィルソン(『ギャラクシー・クエスト』)、エレン・ペイジ(『JUNOジュノ』)、リヴ・タイラー(『アルマゲドン』)、ケヴィン・ベーコン(『インビジブル』)
配給:ファインフィルムズ
公開:7月30日よりシアターN渋谷、新宿武蔵野館にて公開中


現実には何の“スーパー”能力がない人間が、
コスチュームを着て覆面ヒーローに変身する。
それをポジティブに(ファンタジーとも言えるが)映画化したのが
『キック・アス』だったら、あるがままに描くと
この『スーパー!』のようにタダの変質者に見えてしまう。

主人公は食堂のコックをしているさえない男フランク(レイン・ウィルソン)。
ある日、ドラッグに依存している妻サラ(リヴ・タイラー)が、
ティーラーのジョック(ケヴィン・ベーコン)を追って
家を出て行ってしまう。
テレビを見ていて神の啓示を受けたフランクは、
自分でデザインした赤のコスチュームに身をまとい、
クリムゾン・ボルト”と名乗り、町の悪と闘い始める。

フランクは体は大きいが「何でこんな美人妻がいるの?」と
誰しも疑問に思うほどのさえない男。
真面目すぎて面白みがない男なのだ。
フランクを演じるのは、傑作パロディSF
『ギャラクシー・クエスト』で、
助けを求めに地球にやってきたオカッパ頭の宇宙人
を演じていた
レイン・ウィルソン。
それが浮かぶほどだから、主演級の作品はなく、
それが私たちに、「脇役はスターなのに、
なんで主人公はこんなにパッとしない人なの」と思わせる。
妻の家出と神の啓示を気に、覆面ヒーローになる決意をするフランク。

しかし、毎日犯罪に遭遇するわけでもなく、
地味に路地で犯罪が起きるのを待っている夜が続く。
しかもコスプレ状態で(笑)
武器は金属レンチだ。しかしそれで相手を殴っている姿は、
傍目には“アブナイ変質者”にしか見えない。

そんな彼に押しかけ的に相棒になったのが、
コミック雑誌店の女店員リビー。
“ボルティー”と名乗る彼女だが、正義心より暴力をふるうことに
喜びを感じている“ただのコスプレ好き”にしか見えない。
ただのアブナイ女だ。

フランクは正義のヒーローを文字通り演じるが、
やがてそれが妻を助けに行くのを
ただ躊躇しているだけのごまかしと覚る。
実際、妻はまったくフランクの元に戻りたくなく、
自主的に出て行ったのだが、
それを認めるわけにはいかないのだ。
そして、ボルティーを引きつれ、妻の救出に向かう。

かなり笑えるが、それがかなり“イタい”笑いであることは確かだ。
『キック・アス』のようなカタルシスはないが、
これが苦い現実なのだ。

(★★★☆)
by mahaera | 2011-07-31 00:34 | 映画のはなし | Comments(0)
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