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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『パレルモ・シューティング』 ヴェンダースがヨーロッパに戻り、作ったロードムービー

パレルモ・シューティング

2008年/ドイツ、フランス、イタリア

監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:カンピーノ、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ、デニス・ホッパー、ルー・リード、ミラ・ジョヴォヴィッチ
配給:boid
公開:9月3日より吉祥寺バウスシアターにて公開中


気がつくと、ずっとアメリカで映画を続けていたヴェンダース監督。
本作は久しぶりにヨーロッパに戻って撮影された作品だという。
別に僕はそんなヴェンダースファンではないし、
たぶんその作品も5本ほどしか観ていない。
『さすらい』『ベルリン天使の詩』『時の翼に乗って』『パリ、テキサス』…

なので、他の作品と比べようもないのだが、
見た印象は『赤い影』というスリラーを思い出した。

主人公は、アートからモードまでを手がけ、
世界的な名声を得ている写真家フィン。
彼は自分の写真をデジタル処理することによって、
新しい「現実」を作り出していた。しかし彼の心に安らぎはなく、
不眠が続き、「死」にまつわる夢を見ていた。
(まるでねマグリットの絵のような、その夢の描写はなかなか面白い)

彼が暮らすデュッセルドルフから、仕事にかこつけ
フィンは旅に出た。行き先はパレルモ。
偶然、川で目にした船に書かれていた町の名だ。

仕事が終わった後もフィンはひとり町に残る。
そこで彼はふたりの人物に出会う。矢で彼を狙う謎の男、
そして絵画の修復を行っている女性…。やがて、「死」が彼に近づいていく。

主人公がが異国の町で追うのは幻影なのか、
それとも実在するものなのか。本作はロードムービーだが、
同時に「死」が近づいていくスリラーでもある。
スリラー『赤い影』で主人公は死んだ娘の幻影を追いかけて、
イタリアのベニスをさまよったが、ここでは
彼が追うのは「死神」だ。
彼は死神から逃れようとするわけではなく、
死神を追いかけていく。

死神には、撮影の2年後に世を去ることになる
デニス・ホッパーが扮している。
途中まではわりと面白く見たのだが、
着地点がスリラーではなく、「主人公の心のさまよい」
というほうに行って、観念的に終わってしまったのが残念。

理知的といえば理知的なんだろうが。

ルー・リード、ミラ・ジョヴォヴィッチが本人役で登場している。

(★★★)
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by mahaera | 2011-09-19 13:01 | 映画のはなし | Comments(0)
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