ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

新作映画レビュー『アニマル・キングダム』 少年が引き取られた先は、犯罪で結ばれている一家だった

アニマル・キングダム

2010年/オーストラリア

監督:デヴィッド・ミショッド
出演:ジェームズ・フレッシュヴィル、ジャッキー・ウィーヴァー・ガイ・ピアース
配給:トランスフォーマー
公開:1月21日
劇場情報:TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館

メルンボルンで母と二人暮らしの17歳の少年ジョシュア。
ある日、母親が薬物の過剰摂取で死んだことから、
長い間付き合いがなかった祖母ジャニーンの家に引き取られる。
ジャニーンの家には、3人の息子たちがいた。
一見、家族思いで明るい人物たちだが、
全員が強盗や麻薬の密売などの犯罪に手を染めており、
警察にマークされている状態だった。
当初は関係なかったジョシュアも、
やがてその犯罪に巻き込まれていく。

冒頭、テレビのバラエティ番組をぼーっと見ている少年がいる。
そこへ救急隊員がやってくる。ソファでひとりの女性が倒れている。
隊員に質問される少年。しかし少年の目はときどき画面に向かっている。
倒れているのは少年の母親。ドラッグ服用により死亡している。
少年の表情はずっと無表情だ。
そして少年は祖母の家に引き取られる。

映画は少年の目を通してこの犯罪者一家の姿を描いていくが、
少年の内面はほとんど最後まで明かさない。
これは意図的で、そんな家族でも依存するしかない少年の心境を
観客にゆだねているのだ。
それまで主体的に行動することがなかった少年なので、
この家族と警察のどちら側につくかは、
その無表情な顔からはなかなかわからないのだ。
ある事件をきっかけにこの家族の非情さがより露わになるが、
そこからそれまで目立たなかった祖母がクローズアップされてくる。
この祖母の歪んだ愛情がこのような家族を生み出し、
過去に少年の母親が出て行った原因なのだろう。
もっとも人間くさいはずの“家族”を、
「アニマル・キングダム=野生の王国」と表すほど、
殺伐とした世界が広がっている。

小粒だが、ピリリと辛い作品だ。
(★★★)
[PR]
by mahaera | 2012-01-15 23:40 | 映画のはなし | Comments(0)
<< 今月の海外旅行講座は蔵前さん登場! 新作映画レビュー『ジャックとジ... >>