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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『おとなのけんか』  大ヒット舞台劇を、好調なR・ポランスキーが映画化

おとなのけんか

2011年/フランス、ドイツ、ポーランド

監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2月18日より全国で公開中


昨年公開された『ゴ-スト・ライター』がキネマ旬報のベストテン1位。
そこまでの名作とは思わないが、
確かに語り口は文句のつけようがなく、
大作でなくても、ロマン・ポランスキー監督、調子いいなと思った次第。
早くもその新作がやってきたが、意外にもコメディだ。
『ゴ-スト・ライター』もシニカルなコメディという感じだったから、
こっちの路線に開眼したのかな。

冒頭、ブルックリンの公園で遊んでいた少年たちの間で争いが起こる。
ザッカリーに棒で叩かれたイーサンが前歯を2本折るケガをした。
ザッカリーの両親である弁護士のアランと投資ブローカーのナンシー夫妻が
イーサンの家を訪問し、イーサンの両親であるマイケルとペネロペ夫妻と
和解の話し合いを始める。子どものけんかとはいえ、ケガをしたので、
文書にして取り決めをし、アランとナンシーの夫妻が帰ろうとするところから
物語は始まる。しかし帰ろうとするたびに、何かかが起こり、
夫妻は引き止められて、両夫妻はまた部屋に戻る。
そして当初、なごやかだっ4人の話は、次第にかみ合わなくなり、
険悪な雰囲気へと変わっていく…。

もとになったのは日本でも昨年大竹しのぶらが出演し、
「大人は、かく戦えり」のタイトルで上演された世界的な大ヒット舞台劇。
本編の登場人物はたった4人
ほぼアパートの室内だけで話は進み、
ドラマ内と実際の時間が完全にシンクロするなど、
舞台向けの設定をあまり変えることのない映画化だ。
片方の夫妻が帰ろうとするたびに、何らかの理由でまた
部屋に戻ってきて、戻ってくる旅に、口論がエスカレートする。
現実ならやや不自然だが、見ているほうも、
「これは舞台だな」と途中から了解してくるので、
余裕を持って、口論(けんか)を楽しむことができる。

楽しむべきはアカデミー賞受賞経験がある3人
ノミネート経験がある1人(ジョン・C・ライリー)による、
4人の俳優の絶妙のアンサンブルだ。
子どものけんかが発端で、両家の両親、はたまた夫婦どうしが
激しい口論に発展していく様子は、最初は単なる人間ドラマかと
思ってみているが、それがやがて、和解のための話し合いが
より激しい諍いに発展していく国際社会への風刺だと気づいてくる。
つまり、歩み寄りのための話し合いが、
それまでくすぶっていたお互いへの不満を浮き上がらせ、
別な次元の問題を起こしていく。
先進国と発展途上国の、国際会議での感情的なもつれ合いを
イメージさせる部分もあるのだ。

上映時間1時間20分の小品だが、
おとなが楽しめる「おとなのけんか」だ。

(★★★☆)
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by mahaera | 2012-02-22 10:23 | 映画のはなし | Comments(0)
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