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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『アリラン』 3年の沈黙を破る、ギム・ギドクによる自問自答ドキュメント

アリラン

2011年/韓国

監督:キム・ギドク
出演:キム・ギドク
配給:クレストインターナショナル
公開:シアターイメージフォーラムにて公開中


3週間、インドにいっている間、試写で見た映画が次々と公開中になっていた。
ブログで紹介しようと思っている間に、
この映画もすでに公開中だったのだ。

“鬼才”とも言われる、韓国の監督キム・ギドク
彼の作風は、好き嫌いがハッキリ分かれるが、
熱狂的なファンも少なくない。
地元韓国よりもヨーロッパでの評価が高く、
主要な国際映画祭での多くの賞がそれを示しているが、
本作は、それまで1年に1本のペースで作品を発表してきた彼が、
なぜ隠遁生活を送るようになったのかを、自問自答する
セルフドキュメンタリーだ。

山間の町外れにある粗末な家。
その中にテントを張り、一匹の猫と暮らしている男がいる。
ぼうぼうと伸びた髪には白いものが混じり、身なりもみすぼらしく、
マキで煮炊きをしている。男の名はキム・ギドク。
やがて彼はカメラに向かって語り出す。
映画『悲夢』の撮影中に起きた事故によるショック。
そして映画仲間の裏切り。さまざまなことが重なり、
この3年間映画を撮れなくなったという。

撮影の場には本人しかおらず、自身が撮った映像をつないだだけの
“ほぼ自主制作映画”だが、別撮りの映像も編集されており、
もうひとりのギドクが現れ、質問をギドク自身に投げかけるなど、
完全なドキュメンタリーではない。
ともあれ、こうした映画を撮るようになったのは、
リハビリ期間を通り越して創作意欲がまた湧いてきたということだろう。
悩める作家の、シリアスと滑稽さ、
そして虚実入り乱れた映像表現。
ただし、やっぱり好き嫌いがわかれるだろうなあ。

(★★★)
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by mahaera | 2012-03-23 21:53 | 映画のはなし | Comments(0)
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