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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『アーティスト』 本年度アカデミー賞作品賞に輝く、サイレント映画

アーティスト

2011年/アメリカ

監督:ミシェル・アザナヴィシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、アギー
配給:ギャガ
公開:全国で公開中

本年度アカデミー賞の賞レースの大穴となった作品。
作品賞、主演男優賞、監督賞など5部門を受賞したのが、
フランス人監督とフランス人主演という実質フランス映画で、
しかもモノクロでサイレント(無声映画)なのだ。
サイレント映画が作品賞を受賞するのは、
第1回アカデミー賞以来83年ぶりだという。

1927年のハリウッド。サイレント映画の大スター、
ジョージ・ヴァレンティンは、ふとしたハプニングで
彼のファンで女優志願のペピー・ミラーと出会う。
やがてジョージは、オーディションを受けにやってきたペピーと再会。
その日を境にペピーはエキストラから少しずつ上位の役をものにしていく。1
929年、セリフのあるトーキー映画が登場。
しかしサイレントにこだわったジョージは、自ら監督・主演した映画が失敗し、
失意のどん底に落ちてしまう。一方、ペピーは大スターになっても、
ジョージを思う気持ちは変わらなかった。

感情を表情や動きで表現するサイレント映画の手法が、
現代では逆に新鮮に見えるから不思議だ。
最初は、途中で飽きないかと思ったが、そんなことはない。
ストーリーもシンプルそのもので、誇張された表現だが、
一度その世界に入ってしまえば違和感がない。
どこかで見たサイレント映画の世界が再現されているだけでなく、
途中で主人公が、「音」に気づくシーン(夢)がなかなかいい。
一度、音があることに気づくと、ちょっとした生活音も大きく聞こえてきて
主人公を苦しめる。その悪夢のシーンがいい。

本作は一見アメリカ映画のようだが、
実はフランス映画で、その主演の2人が実に魅力的。
戦前のハリウッドスターを演じながらも、
現代アメリカ人俳優には出せない味をよく出している。
ということで、安心して楽しめる作品。

ただし、これがいまのアカデミー賞を取るとなると
微妙な感じだ。楽しいのだが、なんら現代とリンクするものを
感じられないのだから。

(★★★☆)
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by mahaera | 2012-04-13 08:36 | 映画のはなし | Comments(0)
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