ロボット
Endhiran The Robt
2010年/インド
監督:シャンカール(『ジーンズ/世界は2人のために』)
出演:ラジニカーント(『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ヤジャマン 踊るマハラジャ2』)、アイシュワリヤー・ラーイ(『ミモラ 心のままに』『ピンクパンサー2』)
配給:アンプラグド
公開:5月12日より渋谷TOEI、新宿バルト9にて
上映時間:139分
公式HP:robot-movie.com
10年前のインド映画ブームのことはご存知かもしれない。
しかしここ数年、日本のスクリーンで
インド映画が観られることはほとんどなかった。
そして、やっとというか、ついに世界中で大ヒットした
この『ロボット』が公開される。
主演は
『ムトゥ 踊るマハラジャ』の
“スーパースター”ラジニカーント。
相手役はインドを代表する美女
アイシュワリヤー・ラーイとまさに最強のコンビだ。
ということも、最近の若い人にはサッパリなんだろう。
かろうじて数年前の
『スラムドッグ$ミリオネア』で、
インドの雰囲気を知ったという人も多い(あれはインド映画ではないが、
最後のミュージカルシーン、インド映画知らない人には意味不明かな)。
まあ、いいだろう。
本作はインド映画を知らない人でも十分に楽しめるSF大作だ。
ロボット工学の専門者バシー博士(ラジニカーント)は、
長年の研究の成果が実り、ついに理想のロボット
“チッティ” (ラジニカーント二役)を完成させる。
博士にはサナ(アイシュワリヤー・ラーイ)という恋人がいたが、
研究に没頭するあまりつい彼女をおろそかにしていた。
バシー博士はチッティを学会に発表するが、
恩師のボラ教授は先を越された嫉妬から、チッティの不完全さを指摘。
善悪の判断を理解させるように勧告する。
一方、サナはチッティを気に入り、
バシーの代わりに行動を共にするようになる。
やがてバシー博士は、チッティに人間の感情を理解できるような
回路を組み込むが、そのことからチッティはサナへの恋に目覚めてしまう。
バシー博士とサナ、チッティとの三角関係は、
やがて意外な方向へと向かう。
インド映画史上最高の制作費37億円(インドで37億円だよ!)をかけ、
ハリウッド一流のVFXスタッフにアクションや特撮シーンを依頼。
ただし大金をかけたVFXも、
「こう使うのか!」と驚くのがインドのセンス。
だって冷静に考えると、ロボットが大暴れする理由も、
世界制服とか大それた野望ではなく
博士との三角関係とちっちゃい。
また、ロボットも博士と同じ外観(
しかもオッサン)。
そしてロボットが合体・変形してのアクションシーンも
組体操のようで、
よくもこんなアイデアを
お金をかけて形にしたと感心する。
もっとくだらないのが、ヒロインを刺した蚊をロボットが追いかけ、
蚊の群れと蚊語で会話し(どうやってプログラムした?)、
蚊を連れ帰ってヒロインにあやまらせるというシーン。
これってこんなに時間とお金をかけて映像化する必要あり?
と思うほどくだらないが、楽しめる。
あと、チッティが愛に目覚めるシーンでは、
どこからともなく風が吹いてきて
髪がなびき、
チッティの
回路に蓮の花が咲く。
ギャグなのかベタな表現なのか。でもウケた。
唐突に始まるダンスと歌のシーンも健在。
とにかく、これを機に、インド映画がまた日本で公開することを祈って、
☆半分おまけして4つ!
(★★★★)
■映画の背景
映画のロケは画面を見る限り、チェンナイをベースに撮影されているようだ。
郊外列車を使ったアクションシーンもおそらくチェンナイの郊外のもの。
ただし、明確にロケ地がわかるようなところは使われていない。
■関連情報
日本公開版は139分だが、オリジナル公開版は165分。
26分のカットシーンは、おそらくDVDで収録されるだろうが、
Youtubeでざっと見たところ、
試験で困っているサナにチッティが答えを教えるシーンと、
ミュージカルシーンの「キリマンジャロ」。
この歌は本編のストーリーと関係なく、しかも歌は
「キリマンジャロ」なのに
踊る場所はなぜか
南米のマチュピチュ。
日本公開版でも見たかったなあ。
(旅行人の「旅シネ」に寄稿したものを転載しました)