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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ムサン日記~白い犬』  脱北者の青年が失ったものは。期待の新人監督のデビュー作

ムサン日記~白い犬
2010年/韓国
監督:パク・ジョンボム


出演:パク・ジョンボム、チン・ヨンウク、カン・ウンジン
配給:スターサンズ
公開:5月12日よりシアターイメージフォーラム にて
上映時間:127分
公式HP:musan-nikki.com


北朝鮮と中国の国境地帯にある町ムサンから
やって来た脱北者の青年スンチョル。
脱北仲間のギョンチョルとソウルのアパートで一緒に暮らしている。
うまく立ち回って生きているギョンチョルに比べ、
不器用なスンチョルは南の生活になじめない。
そんな彼の心の拠りどころは教会と、
その聖歌隊で歌う女性スギョンの姿だった。
ポスター張りの仕事をクビになったスンチョルは、
スギョンを知っていることを隠して、彼女のいるカラオケバーで働き始める。
ある日、スンチョルは白い犬を拾い、
“ペック(白という意味)”と名付けて飼い始めるが、
ギョンチョルはそんなスンチョルの姿に苛立つ。
そしてそのころ、ギョンチョルもまたトラブルに巻き込まれる。
スンチョルに厳しい現実が突きつけられる。

おかっぱの髪型、野暮ったい服装、そして世渡り下手
脱北者であり、社会の弱者である主人公(が、ただかわいそうな
人ではなく、彼は彼で周りと妥協せずに自分を通している)。
イ・チャンドン監督の『ポエトリー アグネスの詩』の助監督を経て、
本作で長編デビューしたパク・ジョンボム
は、
本作で製作・監督・脚本・主演の4役をこなしている。
それほどまでに、このキャラクターに入れ込んでいたのだろう。
そしてその作風は、言葉による説明的は避けるが、
なんら難しい映画ではないという、イ・チャンドンに通じるものだ。
この主人公はこれからどうなってしまうのだろうと、
その運命から目を離せなくなってしまう点では、
僕はサスペンス映画に近いと思っている。

主人公が大事にしている白い犬が象徴するものが何かは、
別に難しいものでないし、容易に想像がつくだろう。
ところが、今回たまたまウエブサイトの本作の感想欄を読んだら、
「難しい」「暗い」「長い」「何を言いたいかわからない」
「主人公は演技をしていない。ちゃんとした俳優を連れてくるべき」
「受賞するほどの作品ではない」
といった見当違いのコメントばかりで、
ちょっと唖然とした。「映画を読む力」ってもうないのかなと
巨匠イ・チャンドンに比べれば、まだ作品をものにする力は
弱いかもしれないが、それでも言いたいことは十分に伝わった

(★★★☆前原利行)

旅行人のWEBサイトの「旅シネ」に寄稿したものを転載しました。
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by mahaera | 2012-05-09 22:58 | 映画のはなし | Comments(3)
Commented by 通りすがり at 2012-05-26 04:08 x
はじめまして。
「ムサン日記」を見た後に他の方の感想など気になり
こちらにおじゃまさせていただきました。

評価って人それぞれだと思うのですが
感想が意外と(?)低くて驚きました。
大絶賛とまではないですが、私にもひしひしと
伝わるとこがあり、最後まであの主人公と犬の行方
みたいなのが気になって仕方ありませんでした。
上手とは思えない演技、だからこそ、リアルで
生々しさを感じましたけどねぇ。上手な有名俳優さんとかじゃ
逆にどうだろう?と思いますしね。

通りすがりで長々と失礼しました。
Commented by mahaera at 2012-05-26 12:07
はじめまして。

確かに、傑作じゃないかもしれないけど、そこまで評価低いのは
納得がいかなかった作品です。
スターじゃない味がよく出ているし、ぶつきらぼうな演出が、
あの映画にはよく合っていたと思います。
Commented by 水野真次 at 2012-06-16 16:30 x
前原さんめちゃくちゃご無沙汰してます。大阪堺市の水野です。自宅に電話をしたら、現在使われていませんと言うメッセージだったのでブログに書き込む事にしました。連絡ください。俺の携帯番号は090-9288-0678です来週の週末に久々に東京に行こうかと思ってます。
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