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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『高地戦』 朝鮮戦争末期の前線で起きた熾烈な戦いを描く

高地戦
고지전
2011年/韓国

監督:チャン・フン(『映画は映画だ』『義兄弟』)
出演:シン・ハギュン(『JSA』『渇き』)、コ・ス(『クリスマスに雪は降るの』『超能力者』)、イ・ジェフン
配給:ツイン
公開:10月27日よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか
上映時間:133分
公式HP:www.kouchisen.com


朝鮮戦争の初期は北朝鮮軍が半島の大半を制圧したが、
その後、韓国軍と国連軍が反攻を開始し、
逆に朝鮮半島の大部分を支配。
しかしその後、中国軍が北朝鮮軍に加わり、
現在の38度線まで押し戻した。そこで前線は膠着状態になり、
停戦までこうした高地を取った取られたの繰り返しとなる
両軍とも、自軍が少しでも勝った状態で停戦したいものだから、
なかなか交渉が進まない。その間にも、
前線の兵士たちは無意味に死んで行く
この映画は、そうした朝鮮戦争最後の日々を、
前線の兵士たちの目を通して描いている。

同じ高地を南北双方が交互に奪い合う攻防戦が2年も続いていた。
その前線の部隊に北朝鮮への内通者がいるという情報を得て、
諜報部のカン中尉がワニ中隊にやってくる。
そこには2年前に戦場で生き別れになった友人のキム中尉もいた。
しかし戦争がすっかり彼を変えていた。
やがてカン中尉は、ワニ中隊全体が、
外部に何か知られたくない秘密を抱えていることに気づく。
戦いは熾烈を極めていたが、やがて停戦が近づいてくる。

物語の案内役となるとなるのは、
前線の部隊へ派遣されてくる諜報部の中尉。
最初は主人公が秘密を探るミステリー仕立てにし、
観客が入り込みやすくするためなのだろうが、
秘密自体は物語の中盤であっけなく明かされるし、
そういうことも実際はあったのだろう。
でもそんなにあっさり明かすなら、
物語のきっかけとして使うのは物足りない。
しかし作り手が描きたかったのは、停戦が決まれば助かる命が、
無駄に消費されて行く戦場の姿のほうだ。
ワニ中隊にはもうひとつの、忌まわしい過去があり、
こちらのほうがショッキングだ。

戦闘シーンはリアリティがあり、かなりの迫力。
捕虜を面倒なのであっさり射殺してしまったり、
ものすごい数の中国軍兵士が押し寄せて来たりするシーンなどは、
ショッキング。ただ、ひとつひとつは、
過去の戦争映画の印象的なシーンのいいとこ取りのような気もする。
敵のスナイパーが若い女性だったり(『フルメタル・ジャケット』)、
照明弾に押し寄せる敵軍が浮かび上がったり(『プラトーン』)など。

そして、安心させた後に絶望的な状況を置くことにより、
戦争の無意味さがより引き立つクライマックスは、
ただただむなしい。こうして散って行った無数の命は、
世界中で起きている戦争のどの場面でもあったのだろう。
見応えのある作品だと思う。
(★★★☆)
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by mahaera | 2012-10-18 13:26 | 映画のはなし | Comments(0)
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