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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ボス その男シヴァージ』 タミル映画の興収記録記録を塗り替えた大ヒット作!

ボス その男シヴァージ
Sivaji The Boss
2007年/インド

監督:シャンカール(『ジーンズ/世界は2人のために』『ロボット』)
出演:ラジニカーント(『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ロボット』)、シュリヤー・サラン
配給:アンプラグド
公開:12月1日よりシネマート新宿にて
上映時間:185分
公式HP:masala-movie.com


春に『ロボット』がスマッシュヒット、
夏にはシャー・ルク・カーン主演の『ラ・ワン』が公開され、
久々にインド映画が日本で続けて公開された今年だが、
僕には素直に喜べない一面もあった。
これらの映画はインド映画、というより、
SF映画の一ジャンルとしてのテイストが強い作品なのだ。
CGを使わない、ふつうのインド映画が見たいと思っていた。
そこにこの『ボス その男シヴァージ』だ。
「これこそ前によく観ていたインド映画だよな~」と
大いに安心しながら楽しんだのは言うまでもない。

アメリカで成功を収めた実業家シヴァージが
インドに帰国した。彼はその資金をもとに、
チェンナイに無料の病院や大学を設立しようと計画する。
一方、独身のシヴァージを心配した両親やおじさんは、
何とかして彼を結婚させようとしていた。
しかしシヴァージは寺院でたまたま見かけた
女性タミルに一目惚れしてしまう。病院や大学の建設に
私財のすべてを費やしたシヴァージだが、
やがて地元の有力者アーディセーンシャンの差し金により、
すべてを失う。結婚も中止となり、逮捕されるシヴァージ。
どん底に突き落とされたシヴァージの復讐が始まった。

金持ちの息子が善行を積もうとする。
そしてそれに婚約者とのロマンスが絡む。
そこに悪役が出て来て、主人公はすべてを失う。
しかし主人公はどん底から復帰し、悪者の不正を暴き
復讐を果たし、婚約者と結ばれ、富も戻る…。
もう何度も観たような展開で新鮮味はまるでないが、それがいい。
外食ばかりで飽きて来たところで、食べ慣れた家の弁当を食べる。
インド映画に求めるそんな幸福感がこの映画にはあった
もちろん『ロボット』からインド映画を観始めた人でも、
本作は十分楽しめる。185分の長さだが、飽きる展開は皆無。
画面では常に何かが行われているのだから(笑)。

本作出演時は60才ぐらいだったラジニが、
いまだ金持ちの未婚の息子、という設定も気にならない。
いや、どんな役柄をやろうともラジニはラジニ。
映画の中のラジニはとことんいい人であり、
法に反することをしても正義である。
第一、この映画に出てくる役人や警察は、
州の首相に至るまで汚職でとことん腐っているのだから。
そんな人たちが法をかざすのだから、正義はラジニにある。
ラジニが病院建設に政府の許可を取ろうとすると、
あちこちで賄賂を要求されるシーンあるが、
インドの人にとってはかなりリアルなんだろうなあ。
だから正義を通そうとするラジニに共感するはずだ。
そして裏の実力者が金の力で首相を交代させる下りも、
日ごろ一般人が憤っているところなのだろう。
本作はエンタテインメントだが、
インドでは「正義が活躍する=社会派」でもあるのだ。
でもまあ一般庶民からしたら、
日ごろ偉そうにしている政治家や金持ち、
警察が徹底的にやっつけられる姿が単純に楽しいんだろうね。

アクションシーンもさることながら、
インド映画らしさを堪能できるのは、やはりダンスシーン
ストーリーに関係なく、というかほとんどシーンとシーンの
つなぎぐらいの脈絡しかないんだけど、それがいい。
たぶん3時間という長さも、ずっとストーリーを追っていると
疲れてしまうのだろうが、ダンスシーンがいい息抜きになる。
とにかくCGに頼らずに、大勢の人が歌い踊るシーンは、
もうコンサート気分だ。
(★★★☆)

※旅行人のウエブ「旅シネ」に寄稿したものと同じ内容です。
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by mahaera | 2012-11-13 20:19 | 映画のはなし | Comments(0)
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