ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

最新映画レビュー『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 公開始まったので、追記をします。

映画『ライフ・オブ・パイ』追記
もう公開が始まったので、そろそろネットにレビューが
上がってくる頃ですね。
なので、あまり公開前には書きにくかったことを、
蛇足ながら、書いてみたいと思います。
もとの『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』レビューは
こちら
にあります。

※ネタバレ、というほどではありませんが、
見た人にしかわからないように書いてあります。

●あなたはどちらのタイプ?

ちなみに、最初の話を信じる(のほうを好む)人は神を信じる人、
船会社の人に話したというほうを信じる(のほうを好む)人は、
神を信じないほうです。
「神」といっても、いわゆる宗教の神ではありません。
パイが子供の頃にキリスト、ヒンドゥー、イスラムなどの各宗教に
首を突っ込むことからもわかるように、
特定の宗教の「神」ではありません。劇中でパイの話を信じないのが、
「無宗教」と思われている日本人というのも象徴的です。
パイは宗教が特定する神ではない、不思議な大きな力が
あると考えています。でも、それこそ日本人的な
「神」にも近いように思われますが。

●物語ること
劇映画は、もちろん役者がいて、カメラのこちら側に
スタッフがいる「作り物」ですが、観客は映画を見ているときは
それは忘れて映画の世界に入ります。
ウルトラマンも人が本当に巨大化している訳でなく、
中に人が入ってミニチュアで撮影していても、
画面を見ているときに「ああ、中に人が入っていてミニチュアで
撮影していて滑稽だなあ」なんて思って見ていません。
それは納得して、頭の中で置き換えて見ている訳です。
それが想像力ですが、この映画でも、パイの物語は
「すべてパイが話しているだけ」ですが、
映画のお約束としてはそれは実際にあったこととして進んでいます。
この映画では、それがその外の枠にあたる「映画」というフォームと
二重構造になっています。
「2つの話がある。もとは同じだが、
映画化するとしたらどちらが見たい?」と観客に聞いている、
あるいは作者が自分に問いかけているのと同じです。
映画内では聞き手になっている作者のヤン・マーテルは、
前者を選びます。後者を選ぶ人は、後者のほうが真実だろうと思って
選ぶのですが、映画では必ずしも「後者が真実」とも言っていませんし、
観客の中にも前者の話が信じてもらえなかったので、
後者の酷な話はパイが船会社の人に分かるようにした
作り話と思っている人もいるでしょう。
どちらも間違いではないし、
わざといろいろな解釈ができるようにしているのです。
[PR]
by mahaera | 2013-01-26 14:25 | 映画のはなし | Comments(0)
<< DVDで観た最近の映画2013... 最新映画レビュー『脳男』日本版... >>