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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『キャビン』ホラー映画は苦手だけど興味はあるという映画ファンにピッタリ

キャビン
Cabin ih the woods
2012年/アメリカ

監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、リチャード・ジェンキンス
配給:クロックワークス
公開:3月9日 より全国 公開


僕は映画はジャンル関係なく何でも見るが、
それでもホラーやスプラッターの類いは好んでは見ない。
モンスターが出てくるのは好きだが、この手の映画は、
殺される側の描写が中心で、度を超すと見ていて不快になる。
第一、話や演出の下手さを、そうした描写でごまかしている
としか思えないものもあるのだ。
さて、この『キャビン』もよくあるホラーかと思うと、
実はホラー映画そのもののパロディなのだ。

大学生デイナは友人のジュールスに誘われ、
ジュールスの彼氏のカート、カートの友人ホールデン、
そしてマリファナが手放せないマーティの5人で、
人気のない山奥の別荘へバカンスに出かける。
たどり着いた山小屋に地下室を発見する5人。
そこにあった日記を読むと、土の下からゾンビが現れ、
若者たちはひとりひとり殺されていく。
ところがそのすべてをモニターでチェックし、
決められたシナリオに沿ってコントロールしている
謎の組織があった。

『死霊のはらわた』や『13日の金曜日』といった
ホラー映画の定番パターンそのままに、
ゾンビたちに襲われる若者たち

(5人のキャラクター設定も定番のものだ)。
ところが若者たちを最初から監視し、
決まったシナリオに導いている者たちがいる。
これはネタバレでもなく、最初から若者たちの描写と
平行して描かれているのだ。そこはNASAの
コントロールルームのような場所で、惨劇を演出して行く
彼らは“邪悪な組織”という感じはまったくない。
むしろ「いい仕事=若者たちが殺されて行く」ことに
生き甲斐を感じているのだ。この仕事としてこなしていく
彼らと、殺されて行く若者たち(典型的なホラー映画のパターン)
の両者を最初から平行して描くことにより
恐怖と笑いが交互に描かれる。
ホラー映画のパロディを詰め込んだ『スクリーム』を
初めて観たときのような
感がある。
なぜ、儀式のように若者たちは殺されなければならないのか。
コントロールルームにいる科学者たちは、
「よその地域は失敗した。残るは日本とアメリカだけだ」
と言う。モニターには、貞子のような幽霊が子供たちを
襲う日本の様子が移る。
つまり、ホラー映画が盛んで成功している国だ。

映画では映画の中のオチがあり、理屈があるが、
僕はそれとは別に解釈した。
これは映画作家の頭の中を映画化したものだと。
たとえばホラー映画の脚本を書くとする。
まず頭の中に定番のパターンを考える。
登場人物のキャラ設定。どうやって人を殺して行くか。
どんなモンスターが現れるのか。ゾンビか。バンパイアか。
最初に殺されるのは決まっているが、最後のひとりは助かるのか、
もうひとつオチをつけるのか。

キャビン」のコントロールルームは作家の頭の中であり、
想像の中ではいくら登場人物を殺しても、空想の産物だから
問題ないのと同じだ。しかし何でそんなことをするのか。
映画の中の回答とは別に、それは「何で人はわざわざ
怖い思いをしたいのか」
というホラー映画の必要理由を
僕は考えてしまった。それはガス抜きであり、
未知のものに対する恐怖心を再確認する人間の行為かなと。
すべて科学で証明される世の中でも、何か不思議がないと、
人の生活はうまくいかない。
人知を越えたものが存在することを、再確認させてくれるのが
ホラー映画
なのだ。しかしホラーがまったく見向きもされず、
人々の興味を失う世の中になったら、
世の中から人の命を奪う未知のものがいなくなったら、
人間は何も恐れない存在になってしまう。

そして世界中で定期的に行われているこのミッションが
失敗したとき(ホラー映画が成立なくなったとき)、
人間が誕生したときからあった未知なるものへの怖れが、
消えてしまったとき、人間は別な怪物を目覚めさせてしまうのだ。

ホラーの体裁だが、きちんとA級映画のスタッフやキャストで
とっているので、チープ感はない。そして最後に大物ゲストスターが
ノンクレジットで登場(場内爆笑)

しかしこの人、この前も似たような登場していたな(笑)

モンスター映画が好きな人は楽しめる展開
ホラー苦手な僕でも、僕はけっこう楽しめた。
(★★★☆)
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by mahaera | 2013-02-28 10:30 | 映画のはなし | Comments(0)
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