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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ローマでアモーレ』安心して観れるアレンの新作。粋な小話に満足できる

ローマでアモーレ

2012年/アメリカ、イタリア、スペイン

監督:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン、アレック・ボールドウィン、ロベルト・ベニーニ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デイヴィス、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジ
配給:ロングライド
公開:6月8日より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマにて公開中


安定したクオリティの新作を撮り続けているウディ・アレン。
近年はロンドン、バルセロナ、パリとヨーロッパの都市を
舞台にしているが、どの都市が舞台でもアレン節は変わらない。
さて、今回の舞台は“恋の町”ローマ。

旅行中に婚約した娘を訪ね、ローマにやってきた
元オペラ演出家のジェリー(アレン)とその妻。
ジェリーは娘の交際相手の父親の隠れた才能を見出す。
田舎育ちの新婚夫婦のアントニオとミリーがローマに上京するが、
早々にミリーは迷子になり、なかなかアントニオの元に帰れない。
アントニオもトラブルに巻き込まれ高級娼婦(ペネロペ・クルス)
を妻の身代わりに親戚に紹介するハメになる。
アメリカ人建築家ジョン(アレック・ボールドウィン)は、
若い頃暮らしていたローマを散策中、建築家志望の青年
ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)と出会う。
ジャックは恋人と暮らしているが、そこに転がり込んできた
恋人の友人(エレン・ペイジ)に惚れてしまう。
平凡なサラリーマンのレオポルド(ロベルト・ベニーニ)だが、
ある日一躍有名人になり、マスコミに追いかけ回されるハメに。

教訓めいた小話ならアレンの右に出るものない。
「アレン映画」が好きな人なら当然、初めての人でも絶対に満足いく作品。
ある話は1日か2日のできごとだし、別の話は何ヵ月かの話と
時間軸もあいまいだが、観るているほうはあまり気にならない。
4つのストーリーはそれぞれ交差することなく進んで行くからだ。
しかし、少しずつ語られ、最後にすべての話が終わりを迎える頃、
「人生いろいろ」といった気分になるようになっている。
見どころのひとつが、6年ぶりに自作に出演しているアレン自身
「シャワーを浴びている時だけ才能を発揮するオペラ歌手」を、
何とか売り出そうとする“奇抜な演出家”という役どころがまたおかしい。
ここは本物のオペラ歌手をキャスティングし、舞台の上で常に
シャワーを浴びながら歌わせているのは、ありえないから笑える。

そしてその時の“旬”の俳優が出演するのもアレン映画の特徴
『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと
『JUNO』のエレン・ペイジの、恋の顛末が語られる。
それを語るのはアメリカ人建築家ジョンだが、
もちろんその若い頃の姿がジャックだ。年を経て、過去の自分の
恋愛体験を、「その愚かさえ今となっては愛おしい」という
視点で語っている。アレンの体験談だろうか。
でも、もし恋愛に悩む過去の自分に出会ったら、みなこう思うのではないか。

ベニーニ扮する平凡なサラリーマンが突然有名になる話は、
このエピソードの中では割と直球だが、ここではベニーニの芝居を
見せることがポイントだったのだろう。
知らないイタリア人俳優が中心の、新婚夫婦のエピソードは、
素朴な田舎のカップルが、それぞれお互いに言えない体験をし、
成長して行く話。もちろんアレンだから、言えない体験は
他人とのセックスである(笑)

ということで、デートで見る映画に困ったら、
観た後、いやーな気持ちにならないのがいいという人にも
おすすめですよ。
カウリスマキ映画と並んで、いい気分にさせてくれます。

(★★★★)
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by mahaera | 2013-06-16 10:24 | 映画のはなし | Comments(0)
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