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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『偽りの人生』V・モーテンセンが双子の兄に成り代わる地味なノワール映画

偽りの人生

2012年/アルゼンチン、スペイン、ドイツ

監督:アナ・ピターバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ソレダ・ビジャミル、ダニエル・ファネゴ
配給:ブロード・メディア・スタジオ
公開:7月12日よりTOHOシネマズシャンテ


『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役で
知られるヴィゴ・モーテンセンは、ブレイクの可能性もあったのに、
スター街道に背を向け、ひたすら地味な作品に出続けている。
作品選びが悪いのか?
いや、それは彼が選ぶ役が、どれも観客の共感を呼ぶような、
また、観客を楽しませるような役でないからだろう。
ジョニデなら、犯罪者の役をやっても好かれるが、
ヴィゴがやれば知り合いにはなりたくないような奴になるだろう。

そしてこの映画の主人公も、とても共感しにくい男だ。
主人公はブエノスアイレスに在住する医師アグスティン。
物質的には満たされているが、精神的には空虚感を抱えていた。
結婚8年目の妻との生活が破綻を迎えた頃に、
長らく絶縁状態だった双子の兄ペドロが現れる。
(ヴィゴが二役を演じている)
故郷の水郷地帯に住むペドロは、末期がんであることを告げ、
殺して欲しいと頼む。そして発作に苦しむ兄を見て、
アグスティンは咄嗟にその命を奪ってしまう。
これをいい機会に、彼はペドロに成り済まし、
故郷へ戻るが、実はペドロは犯罪グループの一員だった…。

双子の兄と入れ替わることで別の人生を歩もうとする。そこで
まったく別の土地へ行くこともできたはずなのに、
主人公は兄を演じる道を選ぶ
。幼少時代から抱いていた
兄への複雑な思いから、兄に成り代わりたかったのか、
動機の説明はなく、
無表情なヴィゴの表情からは、理由はわかりにくい。
ただ、犯罪に巻き込まれて行くに従い、
無気力に生きてきた男が、能動的に生きていくようになる。

どんよりと曇った空の下の水郷地帯は、彼の心象風景だ。
現代の映画というより、70年代のヨーロッパの
ノワール映画
を観ているようだ。
とはいえ、今のアメリカンアクションを見慣れた目には
話も演技も地味で、かったるいといえばかったるい。
動的な場面が少ないのだ。
「意外な過去が明かされる」というのもないし、
「主人公がどこまで追いやられて行くのだろう」という
ハラハラ感もない(淡々とし過ぎ)。
ふつうは、「本当は弟じゃないか」とバレそうになり、
観客をハラハラさせるのだが、そんなことは主人公も監督も
あまり考えていない感じ。
そんな風にサスペンスが不足したまま、
エンディングへと向かって行くので、だらっとしてしまうのも
しょうがない。

ということで、評価は★★かなあ。
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by mahaera | 2013-07-11 13:08 | 映画のはなし | Comments(0)
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