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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ペーパーボーイ 真夏の引力 』米南部の大人たちの闇を描く、少々ヘンな映画

ペーパーボーイ 真夏の引力

2012年/アメリカ

監督:リー・ダニエルズ
出演:ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック
配給:日活
公開:7月27日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町

原作はきっと面白かったのだろうが、
映画はどうもバランスを欠いた異様なものに仕上がってしまった。
豪華キャストで描いた本作の印象は、
何かヘンな映画だなというものだった。

舞台は町のすぐ外側にワニがいる湿地帯が広がる
フロリダの田舎町。。
1969年の暑い夏、青年ジャックは将来の目的もないまま、
父の経営するこの地方都市の小さな新聞社で、
新聞配達を手伝っていた。
ある日、マイアミの新聞社に勤める兄のウォードが帰省する。
ウォードの目的は、4年前に起きた殺人事件の
死刑囚ヒラリーが冤罪ではないかという調査だった。
時は公民権運動が高まる時代。
うまくやれば、自分の名前らが売れる。
さらにそこに、獄中のヒラリーと手紙を交わしただけで婚約した、
シャーロットという風変わりな女性もやってくる。
やがてジャックは、シャーロットに一目惚れしてしまう。

湿度にまみれた暑い夏が画面から漂ってくるような作品だ。
語り手は主人公ジャックではなく、その家で働く黒人メイド。
1969年は、すでに黒人の公民権運動の影響が出始めているが、
まだまだこの田舎町では、何事もなかったかのように
黒人差別が行われている。
そこで起きた「殺人事件の真相」といミステリーかと思うと、
それは当てが外れる。
それは物語を機能させるためのもので、本作はアクの強い
大人たちに翻弄される、青年の物語だからだ。
主人公は身体は立派だが、中身は見た目よりも幼いという青年。
その彼が、セックスを知り、大人の世界の裏側を見ていく。
いわば『ブルーベルベット』的な作品と思えばいいだろう。

ところが、印象に残ってしまうのは
スターたちの熱演のせいか、脇の強力なキャラクターばかり、
(これも『ブルーベルベット』と同じかも)
淫乱でエロい役のニコール・キッドマンは、
ここまで低俗な女の役をやる必要があったのか
まるでいいところがない下衆な貧乏白人の役の
ジョン・キューザックは、好感度ゼロの男を
演じるのはまだわかる。
いつものイメージをくつがえしたかったんだろう。
しかし主人公の兄役を演じるマシュー・マコノヒーは
あんまりな役だ。見ている観客はそう思うだろう。
この役にメリットあったのかなあと。
そうした俳優たちのオーバーな演技を見ていると、
俳優と言うものは、やはり演技バカなのだと思う。

で、映画は何となく、後味もヘンな感じで終わる。
きっと本で読むと面白いのだろうが、
演出プランをまちがえて、珍作になってしまった
そんな感じの出来の作品になってしまった。

★★
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by mahaera | 2013-07-25 11:02 | 映画のはなし | Comments(0)
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