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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『オン・ザ・ロード』J・ケルレアックの小説「路上」の映画化。成功したのかは微妙

オン・ザ・ロード
On the Road
2012年/フランス、ブラジル

監督:ウォルター・サレス
出演:ギャレット・ヘドランド、サム・ライリー、クリステン・スチュワート、キルスティン・ダンスト、ヴィゴ・モーテンセン
配給:ブロードメディア・スタジオ
公開:8月31日よりTOHOシネマズシャンテにて公開中


ジャック・ケルレアックが1957年に発表した
小説「路上/オン・ザ・ロード」は、
多くのアーティストたちに創作意欲を湧かせ、
熱病のように多くの人を熱狂させた。
特にミュージシャンにその信奉者は多く、
ボブ・ディラン、そして日本では佐野元春が代表格。

しかしビート小説の代表格にも関わらず、
映画化されたことがなかったのは、
明快なストーリーがないことが大きいだろう。
僕もこの原作を読んだのは1回だけだが、
ストーリーはハッキリ覚えていない。
しかし、ただ、ただ、その何かに急かされるような、
スピード感だけは忘れられない。
映画にする場合、その原作のスピード感を
どう生かすかも問題だ。
原作ファンはおそらく誰が監督しても
自分の「路上/オン・ザ・ロード」とは違うことに
不満を抱くだろう。

ストーリーはこんな感じだ。
1940年代後半のニューヨーク。
若き作家サルは西部から上京して来た
型破りな青年ディーンと出会い、大きな影響を受ける。
やがてサルはデンバーに戻ったディーンに会いに、
ヒッチハイクを重ねてアメリカを横断。
再会したディーンは愛し合っている女性メリールウがいるのに、
カミーユという女性とサンフランシスコで結婚するという。
サルはニューヨークへ戻るが、やって来たディーンや
メリールウと共にルイジアナへと旅に出る。
そこで彼らは作家バロウズと会う。

さて、コッポラ製作、ウォルター・サレス監督による、
この初の映画化はどうだろうか。
自由気ままな行き当たりばったりの旅を続ける青春。
その疾走感は全編にあるが、印象は原作を読んだときと大きく異なった。
本作を観て“青春の終わり”を強く感じたのだ。
原作を読んだとき、僕はこの小説の登場人物たちと同じ20代。
ただ、ただ、走りたかった。走り出したかった。
そんな気分にかられた。

それから20年以上が経った。
もう僕たちは大人になった。そしてふと気づく。
あの“路上の日々”は永遠には続かないことを。
“青春の通過儀礼”とし、いつかは“家”に戻らなければならない。
その視点は原作にもあったのだろうが、僕はまったく気づかなかった。
映画化に際し、コッポラやサレス監督はその視点を最後に放り込んだ。

主人公のサルは帰る家のある男。
だからいくらどんちゃん騒ぎをしても、
戻ったあとの生活が待っている。
そしてディーンは帰る家のない、No Direction Home。
ふたりの関係は永遠には続かない。
サルの心の中にディーンの居場所はあっても、
現実の生活の中にはない。

最後は、なんだかさっきまで新宿でみんなで騒いでいたのに、
終電を逃した友人を路上において
終電に間に合うように電車に乗るような気分。
その疲労感を狙ったのだろうが、
実はその前に眠くなってしまったんだよね。
やっぱり興味を引きつけて観るには、この展開は長過ぎ。
また登場人物が1940年代の若者に見えないという指摘があり、
それも言われてみればそんな感じ。
サレス監督なので丁寧には作っているが、パンチに欠けるのと
冗長な感じは否めないのが残念。

なぜか脇役が豪華。
ウイリアム・S・バロウズとその妻が
ヴィゴ・モーテンセンとエイミー・アダムズだし、
キルステイン・ダンスト、テレンス・ハワード
久しぶりのスティーブ・ブシェミが出ている。

★★☆
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by mahaera | 2013-09-18 02:07 | 映画のはなし | Comments(0)
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