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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』 初登頂を描く再現ドキュメント

ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂
Beyond the Edge
2013年/ニュージーランド

初めて世界最高峰に立った2人の男。
その登頂の過程を当時の映像と再現映像で追うドキュメント。

監督:リアン・プーリー
出演:チャド・モフィット、ソナム・シェルパ
配給:KADOKAWA
公開:6月28日より角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷にて
上映時間:91分
公式HP:tenku-itadaki.jp


インドのダージリンにある「ヒマラヤ登山学校付属博物館」
に行った事がある。そこには戦前の英国領時代からの
ヒマラヤ遠征の歴史についての展示がされ、
敷地内にはエベレスト初登頂に成功した、
チベット人シェルパのテンジン・ノルゲイ像が立っていた。
そのことをこの映画を見ていて思い出した。

世界最高峰8848mの高さにそびえるエベレスト。
そこに登頂する試みが何度も行われていたが、
第二次世界大戦による中断、技術力の至らなさ、
ネパールの鎖国、中国のチベット併合などにより、
なかなかその登頂は果せなかった。
1953年、英国隊は今度こその想いを込めて、遠征に出発する。
養蜂を営むニュージーランド人のエドモンド・ヒラリーと、
それまで6回もエベレスト遠征隊に加わっていた
シェルパのテンジン・ノルゲイもその中にいた。
第1次アタック隊が失敗し、下山して来たとき、
ふたりに登頂のチャンスが回ってきた。

別にヒマラヤ登山に限らず、
登山に強い関心がふだんからあった訳じゃない。
登山本も読まないので知識はほとんどないが、
こうして映画としてあると、つい引き込まれてしまう。
誤解していたのが、初登頂したヒラリーが
博物館の展示などではいつも「ヒラリー卿」として
紹介されていたので、つい最初からイギリスの貴族階級出身
だと思い込んでいたが、この映画で
ニュージーランドの養蜂家と知り、意外に感じた。
ふつうの人だったんですね。
しかも195cmというから、かなりの長身というのも
イメージとちがった。そして第一次アタック隊が
成功していればヒラリーたちの初登頂はなく、
彼の人生はまた違ったものになっていたろう。
まさに栄光は偶然の産物でもあったことを知った。

このドキュメンタリーは、エベレスト初登頂に
成功したヒラリーやテンジン・ノルゲイの人となりに
ついても語られるが、興味深かったのは
当時の山岳登頂がどのようにして行われるかということだ。
何しろ現在と違って初めてづくしのことだったので、
エベレスト初登頂への試行錯誤や手探り感がよく伝わってくるのだ。
そんな高所に立った人間は今までいなかったのだから、
どんなことが身体に起きるか誰も予測できなかった。
つまり「死んでしまうかもしれない」というぐらいの
覚悟がなければ、隊員たちはエベレスト登頂にチャレンジできなかったろう。
そうした登山の過程を、きちんとステップを踏んで説明し、
自分もこの登山隊に参加しているような
疑似体験が味わえるのがこの映画なのだ。

本作が映画として息づいているのは、
新たに撮り下ろされた「再現映像」があるからだろう。
この部分が3Dになっていて、臨場感あふれる映像になっている。
ドラマのような感動はないが、
一冊新書を読み終えた充実感はあるだろう。
(★★★)
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by mahaera | 2014-05-26 16:21 | 映画のはなし | Comments(0)
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