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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『セッション』 実際の音楽の現場では、こんなことは(たぶん)ありません(笑)

セッション
Whiplash
2014年/アメリカ

監督:デイミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ラノワ
配給:ギャガ
公開:4月17日より全国


原題の「whiplash」はムチで叩くとか、
むち打ち症のことを指すらしい。
ストーリーはジャズ系の音楽の名門校に入った主人公の
青年(ドラマー)が、鬼教師の厳しい指導を受け、
次第にそれが闘いのようになっていくもの。
インディーズ作品だが、サンダンス映画祭で注目を浴びた。
監督は製作当時まだ28歳という新人。
高評価の反面、ジャズミュージシャンサイドからは
「あんなの音楽じゃない」という反論も。

さて、この映画。音楽映画のようで音楽映画ではない。
簡単に言うと「どうかしている」、2人の人間の話だ。
ひとりは鬼教師。その非人間的な指導は、ほぼ星一徹
ちゃぶ台をひっくり返す代わりにイスを投げ、罵声を浴びせる。
わずかなテンポのズレも許さない。
これはどうでもいいというレベルなのだが、執拗にやらせる。
単なる嫌がらせで、根を上げるのを待っているのだ。
かと思うと、教室の外では優しい言葉をかけたり、
教え子の死に涙したりと、まったく困った人である。

そして主人公はドラムしか興味もないし取り柄もない青年。
母親は成功を手にすることができなかった父親に
愛想を尽かして出て行った。
親戚の中でも疎んじられている父親だが、
主人公にはほかに出歩く人もいない。
しかし「オレは父のようにはなりたくない!」という
上昇志向も強い。鬼教師のバンドに抜擢されて、
気が大きくなると、ちょっと回りを見下したり、
いつもは声をかけられない女の子をナンパしたりと、
大変人間的である。で、鬼教師に認められ、外され、
認められ、外され、という内に、
どんどんとマインドコントロールされていき
次第には鬼教師さえ手を焼くほど、バンドの中のポジションに執念を燃やす。

ここには「いい音楽を作りたい」とか
「人を感動させるものを」何てものはない。
ただ、ただ、自分が上を目指すことにだけ
執念を燃やす2人がいるだけだ。
もう端から見たら「どうかしている」のだ。
もちろん映画は、「これがいい音楽だ」何て言わない。
ふたりの対決は、それ以外のプレイヤーからすれば
非常に迷惑以外の何ものでもない。
しかし、えーっ!という展開を経て、
ラスト9分に及ぶ「キャラバン」で奇跡が起きる。

音楽バカはやはり音楽バカだ。
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by mahaera | 2015-02-22 12:00 | 映画のはなし | Comments(0)
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