「ほっ」と。キャンペーン
ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

映画レビュー「マネーボール」観てみたら面白い。よくできた脚本と抑制された演出にしびれる

『マネーボール』
監督 ベネット・ミラー
出演 ブラット・ピット、ジョナ・ヒル

DVD鑑賞シリーズ。期待薄だった『マネーボール』を観る。
これが、予想を裏切ってとても面白かった。
いや、日本での不評が信じられない。よくできた映画じゃないの。
でもそれは、僕が野球ファンじゃないからか。

原作は小説というよりビジネス書に近いノンフィクション。
それをドキュメンタリーでなく、
人間ドラマにして脚本を書いたのは『ソーシャル・ネットワーク』でも、ノンフィクションを人間ドラマとして再構築した定評のあるアーロン・ソーキン
人間関係などに創作も交えているのは『ソーシャル・ネットワーク』と同じ。
制作と主演はブラッド・ピット
主人公はオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン。
アスレチックスは僅差でいいところまで行くのだが、
ここぞというところで敗退し、育て上げた選手たちを毎回金のある球団に引き抜かれて行く。
なにしろ球団の資金は全球団でも下から数えた方が早いのだ。
つまり貧乏球団は、金持ち球団に引き抜かれる選手を育てているだけ。
そんな苛立の中、このGMは他球団で働いているピーター(いまやトップスターのジョナ・ヒル)の理論に興味を持つ。
統計から選手を客観的に評価するセイバーメトリクス論だ。
彼を引き抜いたビリーは、反発を買いながらも球団の改革に着手する。

このあらすじだけだと、面白くなさそうでしょ。
僕もそうで、観てなかったのだが。
野球を理論化してチーム編成って考えがつまらなさそうだと。
ところが、これは弱者が強者に勝つための、
ひとつの方法だったという思っていたのと逆。
映画だと「少林サッカー」みたいに金のある敵チームが、
統計や管理チーム作るからね。
しかし現実では、金のあるチームはそんな必要はないのだ。
だってお金があるから、いくらでも強い選手を引き抜ける。
で、お金のないチームは、最初から安い選手しか雇えない。
これじゃ永久に勝てない。そこで発想を変え、
安いけれど世間の評価より能力のある“お買い得”の選手を見つけてくる。
高い選手ひとりを放出すれば、お買い得選手を3人雇える訳だ。
その目の付け所が、打率ではなく出塁率というのが、それまでの野球界と違ったところ。

前に「世界のカジノ」の原稿を書いていて知ったが、
統計と言うものはその数がたくさんないと正確にはならない。
つまりギャンブルは1000回やれば平均化して必ず負けるが、
5回なら統計とは違う結果が出ることもあるということ。
この「マネーボール」はその逆で、
野球はシーズン中の試合数が多いから、
ひとつひとつの決定力を持つ選手はいなくても
トータルすれば勝てる方法を見いだしたこと。
まあ、そんなノウハウが原作なのだが、
この映画はそれだけでなく、人間ドラマとしてもきっちり面白い
それは人生の負け組が、見返してやろうという話だから。
実際、この主人公は欠点だらけだが、感情移入できるのは、
常に過去の後悔を抱えており、その孤独さが伝わって来るからだ。
で、驚くほどブラッド・ピットの演技がすばらしい(笑)
いや、見直した。最後なんて、涙、だしね。
監督はベネット・ミラー。
『カポーティ』『フォックスキャッチャー』が
よくわからなかった人も、
この『マネーボール』はわかりやすいので、ぜひ。
[PR]
by mahaera | 2015-05-29 10:54 | 映画のはなし | Comments(0)
<< 映画レビュー「グランド・マスタ... 映画レビュー「バタフライエフェ... >>