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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『しあわせはどこにある』キャストは好み、題材も面白そうなのに退屈した、自己啓発映画

しあわせはどこにある
Hector and the search for Happiness

人生に行き詰まった精神科医が、“幸福”を探しに世界を旅
する

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2014年/イギリス、ドイツ、カナダ、南アフリカ

監督:ピーター・チェルソム(『Shall we Dance ?』『ハンナ・モンタナ・ザ・ムービー』)
出演:サイモン・ペッグ(『宇宙人ポール』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』)、ロザムンド・パイク(『ゴーン・ガール』『アウトロー』)、トニ・コレット(『リトルミス・サンシャイン』『シックス・センス』)、クリストファー・プラマー(『人生はビギナーズ』『サウンド・オブ・ミュージック』)、ジャン・レノ(『レオン』)、ステラン・スカルスガルド(『奇跡の海』『マイティ・ソー』)
配給:トランスフォーマー
公開:6月13日よりシネマライズ、新宿シネマカリテ


いろんなタイプの映画があり、どうしようもない
アクション映画とか褒めるのに苦労するのだが、
この映画は期待は高かったのだが、久しぶりに退屈した。
まあ、「そんな映画を紹介するな」と言われそうだが、
なぜダメなのかをちゃんと考えてみようと思う。

ロンドンに住む精神科医のヘクターは、
美人でしっかり者の恋人クララと何不自由ない生活を送っていた。
しかし、毎日患者たちの不幸話を聞いているうちに、
自分の人生がつまらないものに見えてくる。
ヘクターは答えを求めて世界各地を旅することに。
まずは中国へ。上海行きの飛行機で知り合った
裕福なビジネスマンと遊びに行った先では、
魅力的な若い中国人女性に知り合い、
チベットの僧院では僧侶に悩みを打ち明ける。
アフリカでは麻薬王と出会い、ギャング団に拉致される。
ロサンゼルスではかつての恋人に再会する。
はたして彼は“幸福”を見つけることはできるのか。

原作(「幸福はどこにある—精神科医ヘクトールの旅」NHK出版)は未読だが、解説によれば小説の形を借りた自己啓発本だという。
その名残は映画のそこかしこに出ていて、ヘクターは旅で起きたできごとがあるたびに“幸せのヒント”をノートに書き付ける。
「幸せとはありのままの姿で愛されること」「幸せとは時としてすべてを知りすぎないこと」といった教訓というか標語か。
ただ、自己啓発本を読む人は最初から「啓発されたい」というモードに入って読んでいるが、映画を観る人はそうじゃない。
別に面白ければいいし、主人公に共感するのも、自分がそうなりたいからではなく、主人公の気持ちがよくわかるからだ。
つまり登場人物の心情に寄り添うことができなければ、
映画は表面的にいろいろな出来事が起きるだけ
で、無味乾燥なものになってしまう。

ところが、この映画の主人公ヘクターには、
ちっとも共感できない。更年期障害ではないが、
生活には恵まれているのに漠然と「僕は幸せなのかなあ」では、
よほどの人でなければ彼に入り込めないだろう。
別に人一倍悲惨なできごとがあれば、という意味ではない。
何不自由なくても精神が苦しいことは、
演出やキャラ造型で示すことができる。
ところが本作では、書き割りのキャラでうまくいっていない。
軽いコメディタッチでもいい。笑わせるが、
ポイントでシニカルな結果にして登場人物の思いに気づかせる
ウディ・アレンのような人もいる。
しかし、監督・脚本のピーター・チェルソムからは、
映画的表現のひらめきが感じられず、“幸せのヒント”の標語が出るたびに、押し付けがましさも感じてしまうのだ。

ちなみに、キャスト陣は僕の好きな人たちばかりだ。
だが、誰もが深いキャラをみせておらず、ストーリーを進めるためにいるだけのキャラで残念。
世界各地で主人公が出くわすアクシデントも、
標語を導き出すためにひねり出されたストーリーのような感じ。
各エピソードも毎回ヘクトールがノートに書き付けた標語でしめるが、それは毎回解答を提示されているようで、こちらに考えさせる間も与えない。
「はいっ。この話の答えはこれです!」みたいな。

まあ、僕と違って、啓発を求めている人が本を読むような感じで、この映画を観ればまた違ったものがあるかもしれないが、豪華キャストの無駄遣いにしか思えない出来映えだった。
もう劇場公開しているので、ハッキリ書けるが。
(☆なし)(旅行人のWEBサイト「旅シネ」に寄稿したものを転載しました)
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by mahaera | 2015-06-19 13:20 | 映画のはなし | Comments(0)
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