「ほっ」と。キャンペーン
ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

映画レビュー 今月はロッキー祭り『ロッキー』1作目は今見ても心にしみる作品だった

先月は個人的に「ランボー祭り」だったが、今月は
「ロッキー祭り」にしようと、「ロッキー」一作目を、
おそらく30年ぶりぐらいに見る。
公開時、丸の内松竹で見たのも懐かしい。
しかし高校生の僕には、“まあまあ”の作品だった。
で、見直してみると、そりゃあわからないよね、高校生には。
これは「人生を無駄に過ごしてしまった人たち」が再起を賭ける話で、高校生はこれからなんだもの。

ストーリーはみなさんご存知なので省略だが、
驚いたのが、フィラルデルフィアの町が、
「まるでグアテマラシティか」と思うほどに汚い。
画面の隅々までゴミが散らばっているし、ロッキーの部屋もセットとは思えないほど乱雑だ(セットじゃなかったみたい。
コメンタリーでスタッフが、「ロッキーのトイレは臭かった」と言っていたので)。
70年代のアメリカ、本当に荒んでいた
きれいなショッピングモールひとつ出て来ないんだから。

監督やスタッフ、出演者の全員がコメンタリーで言うのは、
「予算がなかった」ことばかり。
もともとスタローンが書いた脚本を気に入ったプロデューサーが映画会社に持ち込み、
重役たちを半ばだますようにして出資させた企画。
愛犬のドッグフードさえ買う金がなかったスタローンだが、25万ドルを積まれても脚本だけ売るのは断り、自分の主演にこだわった。
「もし自分が出ないで映画が大成功したら、辛くて金を持ってビルから飛び降りていただろう」(スタ談)。
金を出した重役は映画が完成するまで、スタを別の金髪のイケメン俳優と勘違いしていたからGOが出た。

予算がないので出演者たちの服は自前。
フィルム代がないので、テイク数も重ねられない。
レールも引けないので、まだ試作に近かったステディカムを導入した初期の映画でもある。
監督曰く「俳優用のトレーラーなんてなく、バン一台でみんな着替えをしてた。しかし『ロッキー5』じゃ、スタローンはもう王子様みたいになってた」
感動のラストシーンも、録り直したためエキストラがおらず、
スタッフや知り合い30人ほどで取り囲んだだけ
どおりで、後ろが真っ暗だなと思った。

見直してみて、かなりよくできた脚本だと感心した。
よくある話だが、各キャラクターがしっかり描けている。
登場人物はすべてダメ人間だ。
優しくて高利貸しの取立て人が合わないロッキー、兄にずっと劣等感を植え付けられておびえる小動物のように育ったエイドリアン、周りが幸せになっていくにつれて自分が取り残されて八つ当たりするポーリー、ロッキーに冷たく当たっていたが彼が注目を浴びるとマネージャーを買って出るミッキー…。
ミッキーがしゃあしゃあとロッキーを訪ねて来て、
ロッキーが今までの不満をぶちあげ(でも面と向かっていえずトイレに隠れたり、彼が部屋を出てから言うのがロッキーらしい)、ロングショットで追いかけて肩を抱くシーンは、すごくよくできている(キャラを説明しきっている)と思う。
急にちやほやされてムカついても、優しさが出てしまう男なのだ。
あと、エイドリアンに「部屋に来いよ」と言っても、
なかなかエイドリアンが入って行かない辺りの、
恋愛不器用なふたりの描写もいい。

あの有名なロッキーのテーマ(ファンファーレバージョン)が流れるのも、映画の3/4まで来てからというのも、今の映画に比べると奥ゆかしくていい。
[PR]
by mahaera | 2015-06-25 21:17 | 映画のはなし | Comments(0)
<< 最新映画レビュー『チャイルド4... 映画監督フランクリン・J・シャ... >>