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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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映画の原作『マリーゴールドホテルで会いましょう』

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先月、インドに行っている時から読み始めたが、日本にいると、なかなかゆっくり小説を読む時間がない。電車の中では原稿チェックか、歴史本を読んでいるので、ようやく読了。

来月、続編も公開される映画「マリーゴールドホテルで会いましょう」の原作本は、文庫で500ページ近い。読んでみると、映画はその設定と幾人かのキャラクター造型を借りただけの、かなり別物だったことがわかる。映画の舞台のホテルはジャイプルだが、原作の舞台はバンガロール。そうだよね、ジャイプルじゃ老人たちには暑すぎだもの。かつて現地に住んでいたという英国老人の話も、ジャイプルよりバンガロールの方が説得力がある。それなら何で場所を替えたかというと、原作の雰囲気を残す場所が、もうバンガロールの中心街にないということなのだろう。原作が書かれたのは2000年代たが、雰囲気はおそらく1990年代のバンガロール。それからバンガロールは発展してしまったので、中心部にそんな土地はない。

 映画はコメディタッチのドラマだが、原作は全体をもっと「老い」と「死」が覆う。もちろんコミカルに書かれてはいるが、老人たちにはそれは避けようのない現実だということをハッキリさせている。読んでいて、自分の15年後はこうなんだろうなあと、どよんとなる。主人公の老人たちをインドのホテルに送り込む、息子や娘たちの描写もあるのだが、それがちょうど自分世代。親の面倒が見られなくなる“いい訳”もよくわかる。イギリス人も日本人と同じだ。しかし順番なだけで、彼らも20年後には同じ境遇になる。そこへ行くとインド人はまだ違う。ここでも、送り込まれてくるイギリスの老人たちをもてなすが、インド人たちには親を外国に送り込むなんて発想はない。ただし、インド人はインド人で別の悩みがあるのだが。
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by mahaera | 2016-02-22 16:06 | 読書の部屋 | Comments(0)
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