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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー 『帰ってきたヒトラー』 ヒトラーはいい人だったと思えたら、自分はヤバい?

帰ってきたヒトラー

2015年/ドイツ

監督:デウィッド・ヴェンド
出演:オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト
配給:GAGA
公開:6月17日


拡大公開でもミニシアターでもはないぐらいの公開だが、
そこそこヒットしているらしい『帰ってきたヒトラー』。
こういう映画、作るのにはかなり勇気がいったろう。
何しろ日本と違って、ドイツではヒトラーやナチスを賛美するのは絶対にタブー。
前にミャンマーに行った時、地元のバカな若者が、
ドイツ人女性にナチス式の敬礼を冗談のつもりでやったら、
彼女にひどく怒られていたっけ。

 もうあちこちで書かれているがこの映画、フィクションとしてのコメディとしてはイマイチだが、何しろヒトラー役のオリヴァー・マスッチさんの熱演はすごい。
正直言って似てないが、映画を見ているうちはそんなことを忘れて、彼を好きになってしまう。
そして、ドッキリ式で彼に応対する町の人たち(実際の町の人)から、次々と偏見や差別的な本音を引き出してしまうのは、つられて笑ってしまいながらも、自分が嫌になる。
民衆なんて、自分も含めてほとんどがクズかもしれない
だから、「理想」に向かって生きているわけだし、
「良き人」になりたいと思って生きている。
そんな心を逆なでするのが、このコメディだ。

 「ヒトラーっていい人じゃない」
昔の人もそう思っていたろう。
いや、すべてヒトラーのせいにするのはフェアじゃない
ヒトラーは死んではおらず、いまもこの世界で脈々と生きている。
自分の不甲斐なさを人のせいにするために。
世の中や他人のせいにしているのは、自分が全体の一部になれば楽だろう。
でもね、生きていればいい時も悪い時も、みんなに訪れるもんだ。
不満だってあるだろう。それをいちいち人のせいにしていれば、
あなたのところにもヒトラーはきっとやってくる。

いや、でもヒトラーいい人だなあと思ってしまうところが怖い。
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by mahaera | 2016-07-15 16:03 | 映画のはなし | Comments(0)
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