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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教えている世界史・日露戦争から始まる、第一次世界大戦への道

子供に教えている世界史もいつのまにか20世紀に突入していた。
あと100年か。もうすぐだ。
「現代史が面白い」と感じて欲しいのだが、どうだろう。

さて、1904年2月、日本は仁川や旅順のロシア艦隊を奇襲し、
日露戦争が始まったことは、前回書いた。
戦争の経緯などは省くが、イギリスとアメリカから金融支援を受けた日本は緒戦で何とか勝ち進む。
帝政ロシアにとっては極東の局地戦のはずだったが、
相次ぐ敗北に国民の不満が高まっていた。
1905年1月には、首都サンクトペテルブルグで広場に集まった民衆2000〜3000人が殺されるという「血の日曜日事件」が起き、それをきっかけに反政府運動が高まる。
「ロシア第一次革命」だ。
皇帝は極東で日本軍と戦っていた軍の一部を、
シベリア鉄道で戻さざるをえなかった。
戦争を終わらせたかったロシアは、アメリカの仲介で
日本と講和条約を結ぶことにする。
この交渉中には、黒海で戦艦ポチョムキンの反乱も起きている。

日露の講和条約であるポーツマス条約では、
日本はロシアが持っていた中国東北地方の権益
朝鮮半島の優越権、樺太の南半分などを得たが、
賠償金を得ることはできなかった
それにより一方的に勝ったと思っていた日本国民は大きな不満を持ち、政府は非難を浴びた。
しかしロシアは傷が拡大しないうちに手打ちにしたのでまだ余裕はあったが、実は日本はもう戦争をするお金が底をついていた
日本政府はアメリカやイギリスからお金を援助してもらって勝ったとは言えないから、手打ちに政府はほっとしていたろう。

さてさて、日露戦争の結果、世界に2つの変化が起きる。
ひとつは「第一次世界大戦につながる新たな国際関係」、ひとつは「民族主義の高揚」だ。まず後者から。

アジアの国が欧米の大国ロシアを破ったという
ニュースは、白人の不敗神話を打ち砕いた。
これは植民地支配にあえぐ、アジア、アフリカの人々に大きな勇気を与えたという。
民族主義が高揚し、なぜ日本は支配を受けずに独立を維持し、
ロシアを負かすほどの強国になったのかという研究も行われた。
トルコ(1908)、イラン(1907)では「立憲革命」が起き、
インドでは「ベンガル分割令(1905)」への反対運動が高まり、
ベトナムではファン・ボイ・チャウらがトンズー運動(1904)を、
孫文は中国同盟会を結成し(1905)「三民主義」を唱えた。

日本の勝利は、国際関係も変えた。
ロシアは極東から手を引き、以降バルカン半島に進出していく。
そうなると、同じくバルカン半島に進出しようとしている、
ドイツ&オーストリア・チームと対立を深めていく。
ドイツはトルコと手を結び、イスタンブール、
バクダードまで伸びる鉄道を敷こうとしていたのだ。

イギリスは半世紀以上に渡り、ロシアの南下政策と対立していた。
しかしロシアが日本に負けたので「ロシア、大したことないじゃん。戦っても勝てるな。それよりも危ないのは新興国ドイツだ」と考え、1907年英露協商を結んでロシアと手を組むことに。
これにより、ロシアとイギリスの間で、チベット、アフガニスタン、カージャール朝での勢力範囲が決められる。

すでにロシアはフランスと露仏協商が結んでいたので、
結果的に英露仏の三国協商だ。
一方、日英同盟を継続した日本もこのチームに加わり、
1907年に日露協約、日仏協約を結んで、アジアにおける勢力圏の確定を行った。
これは、中国の東北地方はロシアと仲良く山分けに、
フランスにはインドシナ進出を認めるというもの。
アメリカとは桂=タフト協定で、アメリカのフィリピンの領有
認める代わりに、日本の朝鮮進出を承認という取り決めをした。

こうして、この段階で、のちに第一次世界大戦につながる国同士のチーム形成ができていく。
日本は、欧米の「帝国主義クラブ」に加入できたのだ。

日露戦争後、日本は朝鮮(韓国)支配を推し進め、
民衆による激しい武力闘争が、1908年だけでも1451回も起きた。
1909年、伊藤博文がハルピンで暗殺
その翌年の1910年に日本は韓国を併合する。
以降、日本人資本家は土地を取り上げ、韓国の民族資本の芽を摘み、大量の朝鮮人低賃金労働者を日本の資本主義を支えるために日本に送り込むようになる。

日本は、アジアの人々が期待したような
「欧米の帝国主義に対抗するアジアのヒーロー」ではなかった。
日本に対する失望感は、やがてアジア諸国に広まっていく。
子供には「スネオがジャイアンを倒してクラスのヒーローになったが、今度はスネオがジャイアンになった。
そもそもスネオは、最初からジャイアンになるつもりだった」と話す。

まもなく、第一次世界大戦だ。
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by mahaera | 2016-07-28 10:57 | 世界史 | Comments(0)
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