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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー 『ラサへの歩き方 祈りの2400km』 遠い別の人生を見ているうちに幸せを考えた

ラサへの歩き方 祈りの2400km

2015年/中国

公式HP : moviola/lhasa
公開 : 7/23からシアターイメージフォーラムにて公開中


すでに7/23からシアターイメージフォーラムで公開中だが、
公開が終了しないうちにオススメしておきたいのが、
この映画、 『ラサへの歩き方 祈りの2400km』だ。

チベットのカム地方(四川省や雲南省に近い)の村に住むある老人が、ラサへの巡礼を思い立つ。
それを知った親戚や村人たち11人が集まり、皆でラサへ旅立つ。
距離は1200km。
それを五体投地で向かうのだ。
途中で出産、車の事故、水が流れる道での五体投地などもあるが、
彼らは黙々と前へ前と進んでいく。
ようやくラサに着いたが、お金が尽きた彼らはそこで働き、
さらに聖山カイラスを目指すことにする。

この映画はドキュメンタリーではない。
大まかなストーリーやキャラクター設定があり、
それに沿って理想のキャスティングがなされている。
また、巡礼の様子の撮り直しも行われている。
しかし、カメラに映る巡礼のメンバーは全員素人だし、
自分の役を演じているだけだ。
監督はメンバーへ方向性を示しているだろうし、
いろいろな出来事からストーリーを作る部分を切り取る。
しかし、映し出されている風景や、
登場人物の感情は、作り上げられたものではない。

2時間あまり、ただ、ただ、歩いて、美しい景色とドラマがある。
この長い一本の道は人生と同じで、ただ進むしかない。
赤ん坊が生まれ、子供は成長し、老人は死んでいく。
僕は大のチベット好きというわけではないし、
チベット自治区へも行ったことがない。
しかし、丁寧に描写される彼らの生活は、
どこか自分の遠い記憶の中にありそうなものだし、
あの黙々と続く道のりは、肉体的には大変なのだろうが、
その多幸感はわかりそうな気がする。

僕が旅に出た理由のひとつに、自分と接点のないような、
よその国の人たちの生活を垣間見たいことがある。
その点、この映画は、まさしく、自分がこの巡礼者たちに
寄り添っているような気分にさせてくれるのだ。

シンプルな生き方がしにくくなっている自分からすると、
彼らの迷いがない生き方は清々しい。
見終わった後、ちょっと羨ましくなった。
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by mahaera | 2016-08-03 23:44 | 映画のはなし | Comments(0)
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