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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教えている世界史・番外編『トラ!トラ!トラ!』

世界史の副教材として休憩時間に見ている映画。
今回は1970年の日米合作映画『トラ!トラ!トラ!』だ。
往年の名作なので、テレビでも何回も放映し、
年配の方は見ていらっしゃる方は多いと思う。
これは1941年12月7日の日本軍による真珠湾奇襲を描いたもので、
作られた1970年がベトナム戦争の最中だと思うと、
かなり日米に「公平」に描かれたものだと思う。
日本側は日本が、アメリカ側はアメリカ側でそれぞれ監督を立てて別々に撮影したことにより、2001年の『パールハーバー』のような珍妙な日本も出てこない。
なんでこの映画を見せたかと思うと、やはり子供にはイデオロギーや陰謀論に関係なく、あの戦争の始まりを知ってほしいからだ。

日本は日米開戦に向けて周到な準備をしていたが、
アメリカ側の組織はまだ戦時体制になっておらず、
いくらでも察知するチャンスはあったのに、
緊張感に欠け、情報を逃してしまった。
真珠湾攻撃は、アメリカが知ってはいたが自国を参戦に導くためにあえてハワイに伝えなかったという「陰謀論」が有名だが、実際には日本軍の接近を知るには幾つものソースがあったので、そのすべてに陰謀が働いていたことはありえない。
「まさか、ハワイが攻撃されることはないだろう」という、
異常事態にそれを否定してしまうという人の心理が、
アメリカ政府や軍全体に及んでいた。
つまり、「ひとりひとりのミス(油断)が重なって」というのが、
本作のように正しい視点だと思う。

また、日本側の宣戦布告が遅れたのも陰謀ではなく、
作戦事態がもともと余裕がないギリギリのものだったので、
すべてが順調にいった場合に伝わることが前提だった。
緊急性がわからない外交官が1、2時間遅れただけで
破綻するような机上の空論のようなものだった。
(わかっていれば送別会なんてやっていない)
また、真珠湾攻撃は日本側には大戦果だったが、
当初の目標である空母が一隻もいなかったので、
本当は大失敗だったとも言える。

日本では大ヒットしたこの映画だが、
アメリカでは興行的には惨敗だった。
理由はアメリカがメタメタにされて終わるからだ。
そして、奇襲を察知できなかったのは「アメリカ側が無能だったから」、と感じられる内容なので、
見終わった後はアメリカ人は怒り心頭だったのだろう。
その反省を踏まえて、2001年の『パールハーバー』では、
ドゥリトル爆撃隊が復讐で日本本土に爆撃するのがクライマックスになっている。
最後には一矢報いないと、映画的にはスカッとしないわけだ。

子供が驚いたのは、CG登場以前の特撮。
特に、“本物の”戦闘機が大挙して飛ぶシーンには、「これはすごい」と言っていた。
今じゃ、手前以外はCGだしね。あと、低空飛行。
当時のアメリカの飛行名人たちが雇われて、撮影に臨んだという。
片足着陸とか、実写で実際に撮影している。
CGだと何を見ても驚かないが、
本物はやはり迫力が違うと感じたようだ。
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by mahaera | 2016-09-03 10:29 | 映画のはなし | Comments(0)
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