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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『何者』 人はいつ“大人”に変わっていくのだろう

金曜日にレイトショーで、上映終了となる『何者』を観に行った。

先月、コンサート会場で会った友人にこの映画を観たかと聞かれる。
それで、これは観た後に人と語り合いたくなるタイプの映画だと知った。

「就活に苦労する大学生たちの青春もの」ぐらいの知識しかなかったが、観終わってみると「就活」は話を動かすための手段。
青春期の終わりと新しい世界への第一歩をポジティブに示した作品だった。

で、多くの人がネット上に書き込みしていたように、この映画、あるタイプの人には非常に“イタい”。
僕は最初の1時間、ずっと不穏なものが底辺にずっと流れ続けているのを感じ続け、座りの悪さを感じていたよ。
画面上で展開しているセリフのやりとりと、実際に各キャラクターが心の中で思っていることのギャップ。
実生活で、すべて心の中のことを口に出している人なんていない。
心の葛藤をすべてセリフ化しているダメな映画はあるけれど。

映画の登場人物となる20代前半の大学生の頃は、自分の実力以上に自意識が高い。
なんだかんだと言っても、経験不足から自分の実力もまだ客観的に見られない。
でも、そのころはそれが当然だ。
暴言を吐いたり吐かれたり、人を傷つけたり傷つけられたり、失敗したり、たまには成功の喜びを味わったりして、人はいつのまにか大人になっていく。

映画では就活に向かう5人のキャラクターがどう難関を乗り越えていくかも描いているが、同時にそれぞれの心の中も映し出す。
いや、見えてくるといったほうがいいだろう。
セリフだけを頼りにぼーっと見ていると、わからない人もいるだろうから。
実際レビューで低評価を出している人は、ストーリーしか追っていないのか、「つまらなかった」「退屈した」と評価したり、誰にも共感できずにいたりするようだ。
でも、すべてとは言わないが、この5人の学生のキャラには、どこか自分に重なるところがあるだろう。
(もしくは自分の黒い部分は一生見なくていいという人か)

映画は終盤で大きな展開があるが、勘のいい人なら途中で予想がつくかもしれない。
彼のような人は僕の周りにもいたし、誰でも彼のような部分は持っているはずだ。

ま、すでにいい歳になった僕だが、人間いくつになっても悩みは消えない。
いくつになっても、人が何を考えているかわからない。
でも相手もそう思っているだろう。

虚勢を張ってみたい時もあるし、滑稽に見えることもあるだろう。
あなたが何かに必死になって取り組んでいても、人は心の中で笑っているかもしれない。
親しい友人が、実は心の中では優越感に浸っていることに気づくかもしれない。そして人生どこかで折り合いつけて、手打ちした自分を悔やんでもいい。
それでも何もやらないで、遠くから文句を言う奴よりは絶対いい。

ラスト、これからの人生(20代半ばなんてまだ人生の出だし。これからが長い)に向かって歩き出す主人公を送り出す、眼差しはとても暖かい。
★★★☆
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by mahaera | 2016-12-12 12:07 | 映画のはなし | Comments(0)
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