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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教えている世界史・番外編 キューバ危機を扱った映画を見る 『13デイズ』 『グッド・シェパード』

ちょうど世界史でキューバ危機のところに来ていたので、2000年のアメリカ映画『13デイズ』を子供と見る。
キューバ危機の13日間を、
大統領特別補佐官のケネス・オドネル(ケビン・コスナー)から見て、大統領ジョン・F・ケネディと
司法長官のロバート・ケネディ、
国防長官のロバート・マクナマラらが、
どのようにこの問題に対処したかを描いている。
ケビン・コスナー以外は地味な配役で、あまりヒットはしなかったが、なかなかよくできた政治サスペンス映画だ。

映画なので事実とは異なる脚色もあるが、
このキューバ危機の外観を知るのにはいい作品だし、
また、『シン・ゴジラ』同様に、緊急時の政府の意思決定がどうやって行われるのかもわかり興味深い。
ケネディを美化しているかもしれないが、
国のトップにかかる重圧は映画を見ていて
相当なものだと思う。
ちょっとした判断ミスで、
数億人の命が消える核戦争が起きてしまうかもしれない。
閣僚だって家族がいる。
明日になったらその家族に会えなくなるかと思うと、
なんとかして核戦争だけは押しとどめたいはずだ。

ソ連との心理戦の中、ケネディ陣営も気づく。
相手もひょっとして我々と同じ気持ちを抱いているのではないかと。
フルシチョフだって、戦争はしたくない。
しかし国の体面や、軍部の突き上げにあって苦しんでいるのではないかと。

映画を見ていると、多少誇張はあるかもしれないが、
軍部の無責任な好戦マインドにはあきれる。
彼らにはメンツと勝つことだけが大事で、
そのためには何億人死のうとかまわない。
たとえば、アメリカ国民の9割が死んだとしても、
ソ連が全滅すれば「勝利」なのだ。
「やっちゃいましょう!」ってまるでヤンキーのようだ。
そしてケネディら閣僚を「弱腰!」と罵る。
たぶん、ソ連でもフルシチョフは軍人に同じことを
詰め寄られていたのだろうか。
勝つためなら喜んで自分の家族の命を差し出せる
参謀たちに任せていたら、世の中は滅ぶな。

そんな合衆国大統領の重圧に、トランプが耐えられるのか。
そんなことを考えてしまう作品だった。
子供は
「アメリカの大統領は大変だねえ。日本の首相は楽でいい」などとのんきことを言っていたが(笑)
きっと『シン・ゴジラ』を見てそう思ったのだろうか。

もう一本、『グッド・シェパード』はロバート・デ・ニーロが監督した2006年のアメリカ映画。
キューバ危機の一年前に起きたビッグス湾事件の指揮をとったCIAの諜報員がモデルの、CIAの内幕もの。
主人公を演じるのはマット・デイモン。
モデルとなったアングルトンは1
954年にCIAの防諜部長になり、数々の作戦を行った。
映画はフィクションだが、
登場する事件は実際にあったことを基にしたものだ。
165分の大作だが、これもヒットせず、
今ではちょっと忘れられた作品になっている。
CIAの非情さや歴史を知るにはいいし、
国家に忠実だが家庭を築くことには失敗した
中年男の孤独をうまく描いている佳作だ。
妻役にアンジェリーナ・ジョリー、息子役にいまや大スターとなったエディ・レッドメインのほか、俳優陣も豪華。
映画ではビッグス湾事件の情報漏れはひとつのソースからとなっているが、実際には多方面から漏れていたらしい。

年末、年始に「見る映画ないなあ」という人、
これを機に見てみては?
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by mahaera | 2017-01-08 11:37 | 映画のはなし | Comments(0)
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