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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ミューズ・アカデミー』 ドキュメンタリーとフィクションの合間を狙う演出だが、、

ミューズ・アカデミー

2015年/スペイン

監督:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:ラファエレ・ピント、エマヌエラ・フォルゲッタ、ロサ・デロール・ムンス
配給:コピアポア・フィルム
公開:2017年1月7日より東京都写真美術館ホールにて公開中


日本では2010年に公開されたスペインの監督
ホセ・ルイス・ゲリンの『シルビアのいる街で』(2007年製作)。
名作とか傑作というわけではないが、
ちょっとそれまでになかった新鮮な映画体験をさせてくれた。
ストラスブールの町でひとりの青年が
かつて会った女性の面影を追い求める話だが、
物語はあってないようなもの。
ただ、ひたすら映画を見ている間、自分の聴覚や視覚が
研ぎ澄まされていくという珍しい体験をした(サウンド設計は話題になった)。

今回、東京都写真美術館ホールで、ゲリン監督の連作上映が行われることになり、この2015年作品も公開される運びとなった。
バルセロナにある大学で、イタリア人の教授が
ダンテやペトラルカといった古典の詩を通し、
男に芸術的なインスピレーションを授ける
現代のミューズについての講義をしている。
教室では生徒たちの意見が白熱化する。
そのテンポに慣れた頃にカメラは教室を離れ、
教授の家での教授と妻の会話になる。
あれ、これってドキュメンタリーじゃなかったの?
実は、これはフィクションだったのだ。
教室で高尚なことを話す教授だが、
プライベートでは教え子たちと浮気して痴話喧嘩もする教授。
学問と現実の落差が、コミカルにも描かれる。

今回はそうしたドキュメンタリーに見せたフィクションという仕掛けがあるものの、ペトラルカやダンテの引用やそれについての講義がけっこうあるので、見ていてその素養がないとちょっと辛い
(そもそも何を話しているかわからない)。
ベアトリーチェとかグウィネヴィアとか、
欧州の人はそもそも教養として知っているのか。
ドキュメンタリーとフィクションの垣根を取り払う試みは面白いが、それが題材とうまく相乗効果を生み出しているのかは、
いまひとつ。
1時間を超えると、緊張よりも退屈さを生み出してしまった。
キレが欠けるというべきか。
個人的には「ふーん」で終わってしまった作品で、期待はずれかなあ。
★★
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by mahaera | 2017-01-18 11:25 | 映画のはなし | Comments(0)
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