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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『王様のためのホログラム』 中年の危機を迎えた男が、新しい人生の行き先を見い出す

王様のためのホログラム
A Hologram for the King
2016年/アメリカ

監督:トム・ティクヴァ(『クラウド・アトラス』)
出演:トム・ハンクス(『ハドソン川の奇跡』)、アレクサンダー・ブラック、サリタ・チョウドリー(『カーマ・スートラ/愛の教科書』)、ベン・ウィショー(『007スペクター』)
配給:アンプラグド
公開:2月10日よりTOHOシネマズシャンテ、ほかにて
公式HP :hologram-movie.jp


トーキングヘッズがまた最近気になっている。
流行った1980年代は背伸びして聴いた音楽だが、
いま聴き直してみるとリズムの組み立て方が実にカッコよく、
ボーカルのデビッド・バーンの奇抜さに隠れて、
いままでそんなに気づいていなかったのかな。

なんでこんなことを書くかというと、
この『王様たちのホログラム』、いきなりその
トーキングヘッズの代表曲『ワンス・イン・ア・ライフタイム』
のPV風に始まるからだ。なので、
「もしあなたが、家や妻や財産をすべて失ったら?」という
歌詞をトム・ハンクス扮する主人公が歌う
冒頭のPV風画面で、いきなり掴まれた。
ハンクスが目をさますと、そこは飛行機の中。
彼の周囲は巡礼者たちの団体で、コーランを暗誦している。
ここはサウジアラビアに向かう飛行機の中だったのだ。

紆余曲折がありながらも、人生の中盤までは順調に行き、会社の重役にまでなった主人公アラン。
しかし中国の企業に技術提供をしたことで結局はマーケットを奪われ、家族も財産も失い、今は娘を大学に行かすために、雇われた会社の営業でサウジアラビアのジェッダに向かっている。
彼が売り込むのは、3Dホログラムのテレビ会議システムだ。
しかし砂漠の中の“新経済都市”はまだ建設中で、
与えられたオフィスもテント。
プレゼン相手の国王もいつやってくるのかわからない。
そんな中で四苦八苦するうちに、
アランは新しい目標を見つけていく。

見終わってみると、王様もホログラムも出てくるが、
仕事を成功させることがこの映画のテーマではないことに気づく。
人はいつだって迷うことがある
幸せというか平穏な時は、
これがずっとこのまま続いて終わるんだと漠然と思っている。
不満もあり退屈かもしれないが、
それを失うことなんか考えてない。
しかし、転機は自分の意思とは関係なく訪れる
主人公アランは自分の意思でサウジアラビアにきたわけではない。
しかし自分のことを、誰一人として知らないこの異国の地に来た時、おそらくいままで何十年も、周りに流されて生きてきた自分を振り返ってみたにちがいない。
いままで失敗だと思っていたことも、
次への成功のためのステップにすぎなかったことかもしれないし、
そもそも成功も失敗もそれほど大差ないのかと。

旅シネ的には、ふだん映画ではなかなか見ることができない、
サウジアラビアの風景が見られて興味深い。

いや、外国人スタッフはサウジロケができずに、
モロッコで撮影したようだが。途中で車が道を間違えて、
非ムスリム立ち入り禁止区域のメッカ市内に入ってしまう
ところでハラハラしてしまうのは、こちらが旅人だからか。

あと、トム・ハンクスの担当医となる女医に
『カーマ・スートラ/愛の教科書』のサリタ・チョウドリーが
扮しているのだが、久しぶりだなあ〜、おばさんになっちゃったなあと感慨深いものがあった。

名作というほどではないが、ところどころ自分にシンクロしたので、
何度か見たくなる作品かもしれない。
旅人としては、目が覚めて自分が今どこにいるんだっけ的な、
感じがリアル(笑)
★★★
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by mahaera | 2017-02-19 20:54 | 映画のはなし | Comments(0)
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