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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『はじまりへの旅』 母親の死をきっかけに、旅に出る一家のロードムービー

はじまりへの旅
Captain Fantastic
2016年/アメリカ

監督:マット・ロス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、フランク・ランジェラ、ジョージ・マッケイ
配給:アンプラグド
公式HP /hajimari-tabi.jp/
公開:4月1日より公開中



俳優としては脇役が多く、僕も印象にないマット・ロスだが、
この小品で監督として注目を浴びている。
また、主演のヴィゴ・モーテンセンは、
本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされた。

アメリカ北西部の山の中、父親ベンと7歳から18歳の6人の子供たちが自給自足の生活を送っている。
高い教育とサバイバル技術を身につけさせ、
ある意味純粋培養させられたような子供たち。
しかし心を病んで故郷に帰っていた妻が自ら命を絶ったことを
知り、ベンと子供たちは葬儀が行われる
ニューメキシコまで2300キロの旅に出る。
そしてそれは、子供たちにとっては、
初めて見る外の世界だった。。

日本ではふつうの人が子供を学校に通わせずに
義務教育を受けさせることは違法だが、
アメリカでは自宅で義務教育を行うホームスクーリングは合法だ。
なので、宗教や思想上の理由で、
そうしているファミリーもいるという。
本作では、子供たちにとっては家の周りの自然が「世界」で、
身の回りにいる唯一の大人である父親が「神」に近い存在になる。父親は絶対的な存在だ。
ただし、本作のヴィゴ・モーテンセンは、
独裁ではあるものの強権的ではなく、超リベラル。
とはいえ、人間がエデンの園を出て行ったように、
子供達も自我を持てば、
いつしかその楽園から出て行く
ことになる。
そのきっかけが「母の死」で、外界を知ってしまった
子供達がどうするか、そして“汚れた世界”から子供たちを
“守ってきた”父親が、いかにして自分も折り合いをつけていくというロードムービーだ。

娯楽エンタテインメントというよりは、
オフビートコメディといった感じだが、
映画全体に流れる、失われていく時への感傷は、
70年代ニューシネマ的感覚。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞など各賞の主演男優賞に
ノミネートされたヴィゴの演技は秀悦。
随所にかかるサウンドトラック音楽もよく、
ディラン作の「アイ・シャル・ビー・リリースト」や、
ガンズ作の「スイート・チャイルド・オブ・マイン」が、
カバーにより意外なところで流れる。
★★★
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by mahaera | 2017-04-25 09:21 | 映画のはなし | Comments(0)
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