ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2017年 02月 07日 ( 1 )

子供に教えている世界史・番外編  「三権分立の再学習」

ここ数日、トランプ政権が出した、特定の国の人間の
入国差し止めの大統領令に対し、連邦裁判所が違憲とした
判決がニュースになっているが、これは日本に住む私たちが
日ごろ気にしていない「三権分立」が果たされている
事例として、子供にはいい勉強になると思う。


「三権分立」は私たちが小学校高学年で習う、
社会の基本中の基本だが、大人でもあまり理解していない
人が多いことは、ヤフコメをみてもよくわかる。

「大統領令にさからうなんて三権分立ができていない」と書き込む人が少ないからだ。

そもそも人の歴史において「三権分立」を憲法に最初に
定めたのはアメリカ合衆国であり、紆余曲折があっても、
それは未だに守られている。
おさらいすると、三権とは、司法、行政、立法であり、
司法は裁判所、行政は内閣(アメリカではホワイトハウス)、
立法は議会だ。

アメリカは独立時、これらに別々の力を与えることで、
中央政府の力を弱くした。
つまり王や独裁者が出現する芽を積むためだ。

アメリカでトランプ政権が生まれたとき、閣僚の人事で
議員がいないことに疑問を持った人はいないだろうか。

アメリカはこの三権が本当に分立しているので、
閣僚には議員が入れない。
大統領も議員でないから、議会で投票できない。
ここが日本と異なるところで、日本の閣僚はほぼ議員だから、
内閣で決めた政策に投票もできる。

これは日本の議会政治がイギリスを模範としたためで、
イギリスは選挙で第1党となった党が内閣を作るという、
責任内閣制をとっている。
したがって大統領はおらずトップは首相で、
国民は首相を直接選ぶことはできない。
日本も同じだ。

アメリカはそうではないから、第1党ではない政党の
大統領が生まれることがある。
そうなると大統領が出した法令を、議会が承認しないことがある
古くは大統領のウィルソンが提唱した国際連盟に、
アメリカが加入しなかったのも議会で否決されたからだ。

次に、大統領が出した政令を、
裁判所が「違憲」とする場合がある

これも世界史では、大恐慌の際にローズベルトの出した法案を裁判所が違憲としたケースが出てくる。
たとえば「全国産業復興法」は、作り過ぎを正すため企業に生産調整を依頼したり、失業者が多いのでひとりあたりの労働時間を減らしてその分雇用を増やすなどの政策だった。
これは国民の多数が賛成したが、裁判所は違憲判決を出した。

このように、裁判所は単に時流に合わせて
憲法を拡大解釈はしない。
頭が堅いところはあるのだが、時流に合わせすぎて憲法をコロコロと拡大解釈するのも、政府のいいなりになってしまう。
実際、アメリカでは日本以上に裁判所の力が強い。
政府が裁判所に圧力をかけると、司法権の侵害として逆効果になることもあるのだ。
それはまた、三権分立がうまくなされているということだ。

正直、民主主義や議会制度は面倒臭いところがある
僕のFB友達でも日本のトランプ支持者たちもおり、
彼らはもっと世の中を単純にして、
一刀両断的な政治を求めている。
次から次へと大統領令を出して、政策を実行しようとする行動力を評価しているのだ。
しかし、民主主義や議会制度は面倒くさいからこそ、
国民の感情にすぐに振り回されないようになっている。
極端に走る前にブレーキがかかる。
これはこれで、ファシズムや専制政治を止められなかった先人の知恵が盛り込まれているのだ。

あとは映画のように、世の中にはわかりやすい悪などいない
アメリカ人の半分は誰が悪者かわかりやすくしてくれるために
トランプを選んだのだろうが、そんなに世の中は簡単じゃない
そして多数決は民主主義のキモではない
もう一度、三権分立を歴史から再学習しよう。
なんのために分立しているの?と。
[PR]
by mahaera | 2017-02-07 01:44 | 世界史 | Comments(0)