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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2017年 04月 19日 ( 1 )

最新映画レビュー『HARDCORE ハードコア』    全編1人称カメラによる、体験型?アクション映画

HARDCORE ハードコア

2016年/ロシア、アメリカ

監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:シャールト・コプリー、ダニーラ・コズロフスキー、ヘイリー・ベネット、ティム・ロス
配給:クロックワークス
公開:4月1日より新宿バルト9 にて公開中


ビデオゲームはしないので詳しくはわからないが、
画面前方に銃を持った自分の手が映り込み、
現れた敵を次々と撃ち倒していくものがある。
簡単に言えば、そんな画面だけで構成された、
全編主観映像という、映画としてはある意味、
実験的ともいえるアクション映画だ。

そうした主観映像で構成された映画は今までにもなくはないが、
全編にわたってというのは少ない。
というのも、長編映画として成立させるにはかなり難しいからだ。
主人公の顔や表情が映らない、つまり主人公を客観的に移さないと、逆に観客は感情移入しにくい。
小説なら、モノローグや主人公が思っていることを書けるが、
映画ではペラペラ喋らせるわけにもいかない。
そこで主人公の代わりに、次々と現れる登場人物たちが、
物語の説明をして進行させ、あるいは主人公の気持ちを代弁するのだが、それもやりすぎると鬱陶しい。
本作は、そうしたハードルを越えるために、
さまざまな工夫をしているのがよくわかる。

“私”が目を覚ますとそこは研究室。
目の前にいた女性は私が「ヘンリー」であると言い、
さらに彼女は自分の妻のエステルであると言う。
研究者でもあるエステルは、事故で左側の手足を失った私に
機械の手足を装着さる。
“私”は記憶と声を失っているので、自分が何者であるか、
そして自分の意思を声で伝えることができない。
そこに、エイカンという超能力を持つ男たちに率いられた
傭兵たちが乱入し、研究者たちを惨殺。
なんとかモスクワの町に脱出した私とエステルだが、
エイカンの追っ手にエステルをさらわれてしまう。

「主人公がどんなキャラクターであるかを主観映像では
説明しにくい」ということを前述したが、
ここでは「記憶喪失」そして「声が出ない」という設定を
最初に織り込むことによって不自然さを解消し、
さらに巻き込まれ型アクションにすることで、
映画内時間と実際の時間をうまくシンクロさせる設定を
作り出している。
主観映像だと、基本的にカットの切り返しがないから、
基本的には連続した映像(長回し)になるからだ。

主観映像だけでアクションを構成するのは、
動きの制約があって大変だと思うのだが、
そこは近年の技術の進歩により、手ぶれ補正がきいていて、
思ったほど画面酔いはしない。
全編で使われているのは、動画撮影で大人気の
アクションカメラGoPro(ゴープロ)だ。
最初から最後までアクションが連続するので、
観客がそれに麻痺してきて飽きることを避ける為の工夫があり、
ガンアクション以外にも、壁を登ったりするアクロバティックなパルクールアクション、ナイフによる接近戦、車に飛び移るカーチェイスなど、趣向を凝らしている(戦車まで出てくる!)。
それでも最後の方になるとちょっと疲れてくるし、
内容に深みはないが、自主上映的な親近感と悪趣味なアクションコメディのテイストがうまくマッチしているかな。
★★★
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by mahaera | 2017-04-19 11:22 | 映画のはなし | Comments(0)