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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ジャコメッティ 最後の肖像』 天才でも創作に行き詰ることがある



ジャコメッティ 最後の肖像
1月8日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開中

日本でも展覧会が好評だった、
細長い人の彫刻で知られるジャコメッティ。
舞台は1964年、すでに有名になって
個展も開かれている晩年のジャコメッティ。
その彼に肖像画のモデルを依頼された
主人公ロード(アメリカ人作家)が、「2日ですむから」
と言われてアトリエに行くが、なかなか作品が完成せず18日間も
かかってしまう(映画はロードの回想録を基にした実話)。
そのため物語の大半はアトリエが舞台で、
そこに妻のアネット、ジャコメッティの弟のディエゴ、
そしてジャコメッティのミューズ的存在の娼婦カロリーヌ
が現れては消え、ジャコメッティはなかなか創作に集中できない。
モデルは椅子に座ってじっとしているだけだから、
そうした人間模様を観察する。

意外だったは、成功者なのに、
ジャコメッティの家もアトリエもみすぼらしいこと。
お金には無頓着なのかケチなのか、
必要ないものは欲しくないのか。
生活も質素といえば質素。
かといって高尚な職人気質ってわけでもない。
まあ、偏屈といえば偏屈だ。
観客は凡人側である主人公の気分だから、
最初は天才であるジャコメッティに気を使い、
早く完成してくれるように注意を払うが、
そのうち「コイツ、本当に完成させる気があるんだろうか」と不安になってくる。

モノづくりが難しいのは始めと終わりで、
特に仕事の依頼でもなく始めたものは、
“完成しない作品”になりがちだ。
自分で締め切りが切れないからだ。
人の創作風景を見るのはなかなか面白い。
映画は低予算の小作品で舞台にもできそうだ。
地味といえば地味な作品だが、きちんと作ってあるので創作好きな人には、興味を持って見れるはず。
「最後の肖像」というのは、彼が描いた最後の肖像画だから。
ジャコメッティにジェフリー・ラッシュ。
海賊バルボッサの人ね。主人公のモデルにアーミー・ハマー。
監督は、俳優のスタンリー・トゥッチ。


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# by mahaera | 2018-01-20 11:33 | 映画のはなし | Comments(0)

映画レビュー『ラスベガスをぶっつぶせ』 ドラマはまあまあだが、確率論が面白い



2008年の『ラスベガスをぶっつぶせ』。
これも実話をベースにした映画で、実際にあったMITの学生による、ラスベガスのカジノでのカードカウンティング事件を
基にした娯楽作。
昔、カジノの原稿を書かねばならなくなったので、
いろいろ調べたが、ブラックジャックは
他のものより客が勝つ率が高い賭け事らしい。
そして配られていないカードを、
配られたカードからある程度予測ができる。
それをカウンティングし(カードを覚えて)、
勝率を上げることができる。
これを、個人ではなく、学生がチームを組んで
効率的にして、稼いでいたというもの。
やがて目をつけられて発覚するが、違法ではないので、
彼らはカジノ出入り禁止になっただけだった。
実話では学生たちは全員アジア系だったが、
映画ではスターの美男美女を主役にしないと
ということで、4人中2人が白人。
主演は、最近見なくなったジム・スタージェズ。
主人公がベガスに初めて行って勝つ前半から
中盤までは面白いのだが、最後はドラマチックな展開に
しようとしすぎて、ちょっと尻つぼみになってしまったのが残念。

さて、この映画の冒頭、授業で「モンティ・ホール問題」を
教授が生徒に問いかけ、主人公だけが答えられるというシーンがある。
映画を見ていても、他の学生同様理解できなかったので
後で調べてみて面白かった。
人間の心理は、理性とは逆の行動をとることがある
という問題だ。

テレビ番組である司会者のモンティ・ホールが
挑戦者に問題を出す。
「あなたの前には3つのドアがあります。
2つのドアの向こうにはヤギが、
1つのドアの向こうには新車があり、
それをプレゼントします」。
モンティ・ホールは、どのドアの向こうに
新車があるのかを知っている。
挑戦者がまず、一つのドアを選ぶ。
この時点で、正解率は1/3だ。
しかしドアを開けずに、モンティ・ホールは、
次に挑戦者が選んでいない2つのドアのうちの一つを開ける。
そこにはヤギがいた。残りは2つ。
モンティホールはそこで挑戦者に言う。
「残りは二つ。今なら、選んだドアを変えることができますよ」。
しかしほとんどの挑戦者は、ドアを変えない。これは正しいか?

正解は「ドアを変える」だ。
ドアが2つになった時の正答率は、
1/2ずつだと多くの人は思うが、確率論的には違う。
最初のドアは依然として1/3だが、
もう一つのドアは2/3になる(1/3+1/3で)。
この理屈が映画の中だけでは理解できなかったが、アメリカでも
多くの数学者が間違った答えを出してしまったという。
「よくわからない」という人がほとんどだと思うが、
詳しくはwikiの「モンティ・ホール問題」を読んでみて。
面白いから。
クイズ問題みたいだが、理論的に解説されても、
なかなか納得できないところが人間だ。


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# by mahaera | 2018-01-18 11:35 | 映画のはなし | Comments(1)

映画レビュー『ルーム』 子供はやがて広い世界に飛び出していく



2015年の『ルーム』は、2008年に発覚した
フリッツル事件がベースになっている。
この事件は、オーストリアで女性が実の父に24年間も地下室に閉じ込められ、その間、7人の子供を産んでいたというもの。
日本では「恐怖の家事件」などと紹介されていた。
子供の一人が病院に行き、事件が発覚した。
映画はただし、この事件をヒントにしてはいるものの、
監禁された母子の絆、心の傷からの再起と成長を軸に
描いたドラマで、ホラーやサスペンス映画ではない。

映画の基本的な視点は5歳の息子で、この子の演技が超うまい
中盤、脱出した息子が初めて
「本当の」空を目にするシーンは感動的
後半は、世間に馴染んでいく息子と、
なかなか馴染めない母の姿が描かれていく。
抑制された演出は上品で、それだけに家族の深い心の傷が伝わってく。
素直に喜べないお父さん(息子にとってはジージ)を演じる
ウィリアム・H・メイシーや、母の現在のパートナー(おじさん的存在)もいい。
そして「部屋」から出て、本当の世界を知ってしまったら、
かつての「世界」がいかに狭かったかを感じるラスト。
これは、大人になって子供の頃遊んだ場所に行ってみると、
「こんな小さかったのか」と感じたことがある人なら共感できるだろう。
子供は大人と違って、確実に成長していくのだ。
誰にでもお勧めできる良作。

本作で、母親役のブリー・ラーソン
アカデミー主演女優賞を受賞。
実は彼女は昔はディズニーチャンネル出身の子役アイドルで、
しかもアルバムも出していた歌手だった。
いや、彼女のPVとか見ていると、まさかこの娘が
こんなに演技派女優に化けるとは、
誰も思わないだろうなあ(ブリトニーとかの時代)。

予告編で、結構いいとこ見せちゃってますが、
オチが重要な話でもないんで、いいでしょう(笑)

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# by mahaera | 2018-01-17 20:34 | 映画のはなし | Comments(0)

最近聴いたCD紹介 スティーブウィンウッド「Greatest Hits Live」、Mobyほか

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 年末年始のゆったりした時間を利用して、まだ聴いたことがないCDをまとめ聴き(笑)
 写真左上・自分で購入した、スティーブウィンウッド「Greatest Hits Live」は大当たり。
スペンサーディビス・グループ時代のヒット曲、I'm a Man、Gimme Some Lovin'から、ブライドフェィスのCan't Find My Way Home、Hard To Cry Today、トラフィックのGlad、Dear Mr. Fantasy、ソロのハイヤー・ラブまで、とにかくロック好きになら“知ってる”曲のオンパレード。
サウンドも落ち着いた大人のロックで、ウィンウッドの弾くハモンドB-3も心地よい。
ドラマーが小気味良いリズムを叩く人だなと思ったら、僕の好きなジェフ・ベックのアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」のリャード・ベイリーだった。
輸入盤のみ発売で2枚組Amazonで1800円

キャロル・キングの名盤「つづれおり」(写真左下)は、有名だけど今までアルバムでなぜか聴き逃していた。
昨年、ブロードウェイミュージカル「ビューティフル」を観たので聴いてみたが、ほとんど知っている曲ばかり。猫ジャケです。

Mobyの『Play』は、映画『ザ・ビーチ』のサントラに入っていた「Porcelain」が好きだったが、彼のアルバムを聴いたことがなかったので借りてみた。
好きなタイプの曲ばかりではないが、仕事しながらゆったりと聴くにはいいアルバム。

Foo Fightersは、デイヴ・クロールのキャラは好きでも、今までアルバムを進んで聴くという感じではなかった。
『The Color and the Shape』(写真右下)はヒット曲「モンキーレンチ」を含む1997年のアルバム。もっとハードかと思っていたら、意外にアメリカンロックの王道。
こうしたシンプルなギターロックって、聴くと簡単、作るの意外に難しいと、バンドをやっていて、つくづく思う。いいアルバムだ。

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# by mahaera | 2018-01-16 12:29 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(1)

1月14日、小田急相模原T-ROCKSでのライブ終了しました。来ていただいた方、ありがとうございます。


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1月14日、小田急相模原T-ROCKSでのライブに来ていただいた皆さん、ありがとうございました!
おかげさまで楽しく盛り上がることができました。
今回はキーボード無しのメンバー5人のみでの編成でした。
主催のMakoさん、お店のToshiさん、そしてお客様がた、ありがとう! 
次のライブは未定ですが、3月になるかと思います。

演奏曲目
1 Carry On
2 今宵、このバーにて
3 赤い月夜
4 Sunny Day
5 U鬱なNATSU

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# by mahaera | 2018-01-15 20:07 | ぼくの音楽・バンド活動 | Comments(1)

1月14日(日)Mamatosのライブがあります。よかったらどうぞ。場所は小田急相模原

告知です。
明日、1月14日(日)は、2か月ぶりにライブです。

1月14日(日)、20:10より小田急相模原のライブハウスT-ROCKSにて、いつもセッションホストをしてもらっているMakoさんの誕生日を祝うイベント?です。
当日は17:00会場、17:30開演でMakoさんゆかりのバンドが全部で6バンド出演。
私がバンマスをしているMAMATOSは5番目と、ラス前です。
メンバーは今回ゲストキーボード抜きの、バンドメンバーのみの5人。
前アルバムから2曲、現在製作中のアルバムから3曲、都合5曲ほど演奏予定です(持ち時間30分)。

17:30 ~(18:00) Funnychar
18:10 ~(18:40)バンド石川班
18:50 ~(19:20) MK-2.5
19:30 ~(20:00)Red Eye
20:10 ~(20:40)Mamatos   → これです!!
20:50 ~(21:20)Mako-San with friends

駅からちょっと遠い(徒歩15分)ので、遠くの方を呼ぶのは心苦しいのですが、オダサガ近辺の方は遊びに来てくださいね!チャージ1500円です。
入場の際、MAMATOSの客です。と受付で申し出てくださいね。
場所のHPは以下の通りです。
小田急相模原T-ROCKS
http://t-rocks.jp/

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# by mahaera | 2018-01-13 11:45 | ぼくの音楽・バンド活動 | Comments(3)

最新映画レビュー『キングスマン:ゴールデン・サークル』 新鮮味のないシリーズ第二弾



キングスマン:ゴールデン・サークル


監督 : マシュー・ボーン
出演 : コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、ジェフ・ブリッジス
1月4日から全国公開中

年末に映画館に行くと、たいてい本作の予告編が上映されていた。
ご存知の方はご存知という、マシュー・ボーン監督によるコメディタッチのスパイアクション『キングスマン』の続編だ。
前作はロンドンの下町のチンピラ青年エクジーが、
一人前のスパイになるというコミックの映画化で、
監督のマシュー・ボーンは以前にも同じ原作者マーク・ミラーの
『キック・アス』を成功させている。
テイストも似ており、リアル志向とは真逆のアクションとコメディに、そのバランスを崩す過剰な暴力描写(笑いながら、ちょっと引く)を加えるというスタイル。

さて、今回は前作のヒットを受けたその続編で、続編にある
「さらに強力な敵」「仲間たちがやられる」
「前作で死んだ人が生きていた」
などのあるあるが盛り込まれている。
ということで、残念ながら新鮮味に欠ける上、
冒頭で壊滅したキングスマンが、アメリカの兄弟組織
ステイツマンの助けを借りて反撃する流れが長く、
本題に入るまでが退屈。
実際、2時間20分は非常に長く感じたのだ。
コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、
ジェフ・ブリッジスとアカデミー賞受賞俳優4人が出演していても、
その時間がなかなか持たない(ジュリアン・ムーア扮する悪役が出ているシーンだけは退屈しない)。

『キック・アス』の続編である『ジャスティスフォーエバー』が
駄作だったほどではないが(それなりに楽しめるが)、
本作ではアクションシーンがストーリーの進行を
逆に停滞させるだけとなっているのが残念。
後半にはアクションが始まると、
「ああ、早くさっさか終えて話を進めてよ」と思ってしまうほど。
また、前作では主人公の成長物語という、
この手のドラマを進める必然的な物語があったのだが、
今回は主人公もアンサンブルキャストの一人になり、
その点も弱い。

悪の組織の目的とか、いろいろ社会的な要素も入れ込んでいるが、
いかんせんテンポが悪く、乗り切れず。
あと、30分短くすべきだったと思う。


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# by mahaera | 2018-01-12 20:27 | 映画のはなし | Comments(0)