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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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オリンピックが始まった 開会式の感想

いよいよというか、北京オリンピックが始まった。
巷では盛り上がっているのかもしれないけれど、家族は8/20まで帰ってこないのでいないし、おださがのバーではそんな話題も出ない。
開会式に先駆けてあったサッカーの予選もすっかり忘れていて、ニュースステーションで知ったくらいだ。

そんな僕でも、開会式の実況は見た。
一番の理由は、演出がチャン・イーモウ監督だから。
今さら僕が述べなくても知っていると思うが、チャン・イーモウは世界を代表する映画監督だ。
初期の『赤いコーリャン』や『紅夢』、中期の『あの子を探して』や『初恋のきた道』といった名作を作り、大きな資本が入ってからは『HERO』や『LOVERS』といったスペクタクルも作れることも示した。
映画以外にもオペラの演出もしており、実力は十分あり、今回、開会式の演出もまかされることになったようだ。

で、その開会式のショーだが、とにかく圧倒された。
圧倒されながらも、「これだけの人数を一糸乱れずに統括するには、
相当のリハーサルを積んでいなければできないだろうなあ」と舞台裏の苦労を考えてしまった。
ショーの大まかな流れは、巨大な巻物が開き、中国が生んだ発明(紙、文字、羅針盤)や文化がつづられていくというもので、とくに中国文化をあまり知らない外国の人へ強くアピールするものになっている。
驚くべきはフィールドをスクリーンに見立てて、人間が液晶のひとつひとつのドットさながらに動いて演技すること。
つまり、動きや画面転換は非常にデジタルな感じがするのだが、
それを機械ではなくて人間がしている。
そこに二重の意味がこめられているのだ。
その感じは、イーモウ作品の『HERO』のCGによる大人数の描写を、
人力でこなしたという感じ。映画だと「二千人の兵士が一糸乱れずに飛び回る」なんてシーンは、CGがなければ予算がかかってしょうがないが、
今回は国家イベントだから採算を度外視してやった感じだ。
漢字の「印」がコンピュータ画面のように盛り上がって字を作ったり、「鄭和の海外遠征」をイメージしたりする海のシーンなどは、目を見張った。「中国の三大発明」のうちの「火薬」がないのは、「戦い」のイメージが平和の式典にそぐわないからだろう。

このオープニングに満足したせいで、メインの選手団入場は途中で飽きて、観るのを止めてしまった。日本の入場が早かったせいもあり、
とにかく長い。聖火入場まで待てずに飲みに行ってしまったよ。
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by mahaera | 2008-05-30 22:57 | 日常のはなし | Comments(0)

エリック・クラプトン自伝

ついに読みました。話題の本。
え? まったく話題になってないって!

あの波乱の人生を送ったエリック・クラプトンの自伝のことですよ!

しかし全体の感想としては、訳はこれでいいのかな、あんまりいい訳じゃないかも。
今まで読んだミュージシャンの自伝としては、マイルスとディランのものがピカイチ。
なにせ文体(翻訳ですが)がすでに音楽しているし、疾走感があるんだから。
でもこのクラプトンのものは、どうも音楽雑誌のインタビュー記事のようで、
書かれている内容はすごいんだけど、自分で書いた文章という感じがしない。
きっとゴーストライターが、聞き取って書いたんじゃないかと。

さて、その内容ですが、まず悲惨な子供時代から始まります。
貧乏、母親だと思っていた人が、
実は自分のおばあちゃんだったことを6歳のときにとったこと。
つまりエリックはお母さんが十代の時に生んだ子供で、
父親もいないことから、おばあちゃんの子として育てられたんですねえ。

9歳のときに初めて実の母に会い、「ママって呼んでいい?」というエリックに
「今までどおり、おばあちゃんをお母さんと呼びなさい」
と言われてショックを受けたとか。

さて、クラプトン青年時代の話です。
どんな音楽に出合ってとか、なんで音楽業界に入ったとか興味津々だけで、意外にあっさり。
もう昔のことだからかもしれないけど、ヤードバーズ→ブルースブレイカーズ→クリームといった伝説のバンド時代も、青春時代の女関係ややんちゃな仲間たちとの遊びと同列の感じ。
まあ、二十歳前後のころなんて、楽しいことはいっぱいのはずは当然で、
音楽以外の生活もインパクトがあるのは当然。
逆に僕らは音楽活動をしているクラプトンしかしらないわけで。

ビートルズのメンバーとの最初の出会いも、「彼らはアイドルでスターで、僕とは関係ない世界の人だった」とか、ジョン・レノンの態度にむかついたり、ポールが外交的だったりとか、面白いエピソードもあるけど、けっこう淡々。
ジョン・メイオールとはけっこう歳の差もあり、
「仲間と言うより先生だった」という発言もあり面白い。
クリームの仲の悪さはデビュー前からとか、知られていることもあるけれど、
ほとんどジャック・ブルースのことを書いていないのは(ジンジャー・ベイカーとは個人的に付き合いもあったようだけど)、やっぱり仲が悪いせい?

この時期のクラプトンにいえることは、
「やりたい音楽はあるが、リーダーはやりたくない」
だから、バンドが自分のやりたい方向と違うほうへ行けば、すぐ辞めてしまう。
みんなを説得して、自分の方向に近づけるのは面倒だし、
責任も持ちたくない。ただ、好きなタイプのギターを弾いていればいいという感じ。
実際、クラプトンの初リーダーバンドは、後のデレク&ドミノスまで待たなければならないわけで。

あとロンドンの町中にいたずら書きされていた「クラプトンは神だ」事件。
ブルースブレイカーズ時代のことで、クラプトンも「ああ、やっぱり俺はうまいのか」
と自信を持ったようなことが書いてあって面白かった。

ジミヘンやボブディランといったアメリカ人ミュージシャンの来英と交流。
ビートルズの「ホワイトアルバム」セッションに呼ばれ、
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」を弾いたときのこと。
(ジョージが何度かソロを試したけどうまくいかず、クラプトンを呼んだ)

しかしクリームのアメリカツアーの最中、ザ・バンドのデビューアルバム
「ミュージック・フロム・ビック・ピンク」を聞いたクラプトンは
「これだ!俺がやりたいのは」と思う。で、仲の悪いクリームは解散。
そのころ、クリームのレコード会社の社長スティグウッドは、
「ほかの2人はいらん。エリックだけを残してソロにしたほうが儲かる」
なんて考えるわけです。

で、また続き。
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by mahaera | 2008-05-29 23:17 | 読書の部屋 | Comments(0)

アクロス・ザ・ユニバース

前から期待していた映画『アクロス・ザ・ユニバース』を試写で見てきました。
これは舞台「ライオンキング」や映画『フリーダ』の女流監督ジュリー・テイモアが、
全曲ビートルズで作ったミュージカルです。

舞台は60年代。リバプールに住む青年ジュードが、まだ見ぬ父親に会いにアメリカへ旅立ちます。
父親との再会は期待はずれでしたが、そこでジュードは大学生マックスと出会い、友情が生まれます。またジュードはマックスの妹ルーシーに恋をします。
やがてジュードとマックスはニューヨークへ。
間借りしたアパートにはジャニス・ジョプリンがモデルと思われる歌手セディ、ジミヘンがモデルと思われるギタリストのジョジョ、猫のように窓から入り込んできた少女プルーデンス、兄を追ってやってきたルーシーなどが集い、楽しい日々を過ごします。
しかしマックスはベトナム戦争に徴兵され、ルーシーは反戦活動に身を投じ、愛し合っていたセディとジョジョの間にもメジャーデビューを期に亀裂が入っていきます。
ジュードはイギリスに強制送還。果たしてルーシーとの恋はいかに?

映画の中にはちょっと気恥ずかしくなるような演出もありますが、
冒頭、海辺にひとりたたずむジュードがアカペラで歌う「ガール」から
エンディングの「愛こそはすべて」まで
全編に流れるビートルズナンバーがとにかく強力。
そしておなじみの曲を、よくストーリーにうまく取り込んだと感心。

アメリカに向かうジュードがリバプールに残した恋人に歌う「オールマイラヴィング」
同性愛の少女プルーデンスがその隠した気持ちを歌う「抱きしめたい」
ルーシーに一目ぼれしたジュードが歌う「夢の人」
ジョーコッカーが一人三役で歌う「カム・トゥゲザー」
徴兵検査場でアンクルサムがマックスに呼びかける「アイ・ウォント・ユー」
She's so heavyが自由の女神なのには笑ってしまった。
U2のボノ扮するドクターロバートがマジックバスに誘う「アイ・アム・ザ・ウォーラス」
反戦活動にのめりこむルーシーへ向けた「リボリューション」
警官隊とデモ隊が殴りあい"何者も自分の世界を変えられない"と歌う「アクロス・ザ・ユニバース」

その他全33曲、なかなか楽しい2時間でした。
青春&恋愛映画なんですが、そこには明らかに9.11以降の世界観が含まれています。
若者は純粋に反体制であればよかった時代ではないのです。
60年代を描きながら、今の時代にそれを重ね合わせ、
暴力に暴力で対抗するこの世界に「No!」を言う。
そのメッセージが「リボリューション」であり「愛こそはすべて」でしょう。
(「リボリューション」は誤解している人もいますが、革命賛美の歌ではなく、その反対です)

日本公開は8月だそうです。
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by mahaera | 2008-05-18 23:19 | 映画のはなし | Comments(0)