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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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カトマンドゥは寒かった

到着したカトマンドゥは寒かった。
ネパールに行くというと、みんな「暖かくていいね」と
言うが、日中こそ暖かい(日本の10月ぐらい)だが、
夜の気温は同時期の東京と同じだった。

そしてとにかく空気の悪さにビックリ
乾季のせいなのか、土ぼこりがひどい。排ガスも。
そして停電。インドでも最近は、日常化している停電はないなあ。
昼間のうちに歩いておかないと、
日没後はあっという間に自分の居場所を見失ってしまう。
昨日も今日も、初めての道を歩いていて真っ暗になってしまうと、
街灯がとにかく少ないので(&停電で住宅の明かりもない)、
ちょっとあせる。どこ歩いているんだか。

今日はタメルから6kmほど離れたボダナートへ。
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たまには、こんな記念写真も。

ネパールに着いたけど、朝食はなぜか和朝食。
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たまたま泊まっているカトマンドゥのタメルのホテル
Holy Himalayaの階段に、知り合いの小田急相模原在住の作家
原澤尚見さんの作品が展示してありました。
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行く前に聞いてはいたのですが、宿泊ホテルとはすごい偶然。
日本でも作品見たことがなかったのに(笑) 
みんながんばってますね。カトマンドゥに行った方は、
見てみて下さい。僕は明日からチトワンです。
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by mahaera | 2013-01-31 01:10 | 海外でのはなし | Comments(0)

これからネパールへ行ってきます。

最近、ずっと映画評しか書いていなかったんですが、
今晩からネパールへ行ってきます。
最近多い、羽田の深夜便で早朝バンコク着、
乗り継いで、明日の昼頃、カトマンドゥ着です。

この深夜便は、着いてからもまだ明るいので仕事、
という鬼のようなスケジュールになってしまいがちですが、
まあ、最初からいきなり飛ばすとダウンしてしまうので、
ゆるゆると行きたいと思います。
けっこう行きの飛行機の中が乾燥しているので、
取材の場合は着いたときにはかなり具合が悪い、
というのはよくあること。

とりあえず、旅先からトピックなどを
これからアップしていきたいと思います。
このブログ、今まで映画評のサイトだと思っていた人は、
急に変わるのでびっくりするかも。
でも、まだ映画評書いていないのもあるので、
ネパールからちょこちょこ上げていくつもりです。

帰国は2/16を予定しています。
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by mahaera | 2013-01-28 19:57 | 仕事のはなし | Comments(0)

DVDで観た最近の映画2013 -2『ヒューゴの不思議な発明』『戦火の馬』スコセッシVSスピルバーグ

TSUTAYAに行って見逃していた2012の映画を
何本か借りてまとめて観ました。
忘れないよう、感想を簡単に上げておきます。

1/19 『ヒューゴの不思議な発明』(マーティン・スコセッシ監督)
これも試写、劇場で見そこなった映画。
3Dの評判が良く、ぜひ劇場で観たかったなあ。
オープニングのヒューゴの移動は、きっと3Dでは
迫力あったと思う。
パリの駅構内というほぼ閉鎖された空間での話だが、
さすがスコセッシで、映画のツボをよく押さえた
カメラワーク。ただし話自体はどうも弱い気がする。
映画ファンならすぐにジョルジュ・メリエスの話だと、
わかって、映画創世記の話に心引かれるのだが、
メリエスも「月世界旅行」も知らない人にとっては、
全部フィクションにしか思えず、楽しめるのかあという感想。
メリエスが駅の構内で店を開いていたというのは本当の話で、
この映画の舞台になったころには、忘れられていた人らしい。
実際、メリエスは自分の手でフィルムを焼いてしまったので、
現在残る作品は、アメリカでプリントされたものが
残っていたという。
最後のメリエス作品の3D上映は、ぜひ映画館で観たかった。
きっとスコセッシもそれが一番やりたかったんだろうなあ。
ちなみにタイトルに偽りありで、発明したのはメリエスだ。
(★★★)

1/22 『戦火の馬』(スティーブン・スピルバーグ監督)
スコセッシの次はスピルバーグ(笑)
スコセッシが子供主演映画というのには驚いたが、
スピルバーグの場合は驚かない。でもまあ、この映画、
公開時には、子供向けと思って期待せず、観るのをパスした。
で、本作も最初の40分ぐらいは児童映画の雰囲気で、
今ひとつ乗り切れなかった。少年と馬との友情物語かあと。
次の展開も読めてしまうし。
ところが、この馬が戦場(第一次世界大戦のフランス)に
行った所から、ガツンと映画のトーンが変わる

イギリスの騎兵隊の将校に買われた馬が、戦場に行く。
騎兵隊が突撃して敵を蹴散らす。爽快感あふれるシーンだ。
が、カメラは森の中の機関銃を映す。将校の表情が変わる。
ここから、映画は別な映画に変わる。
馬の持ち主が、次から次へと変わり、
戦場という地獄巡りを映し出す。まさにスピルバーグの鬼畜な
面が出た展開だ。戦争の花形だった騎兵は過去のものになり、
最初は機関銃、次は大砲、そして最後のほうには戦車が。
馬は気高き生き物から、大砲を運ぶ道具となり、
動かなくなったら始末される運命なのだ。
その中、主人公の馬は何も言わず、イギリス兵、ドイツ兵、
そしてフランスの農民の娘に仕える。
ドイツ軍の少年兵のエピソードは、むちゃくちゃ悲しい。
そして、馬が戦場を駆け抜け塹壕を走るシーンは、
映画を知り尽くしているスピルバーグならではの
躍動感あふれるベストシーンだ。
鉄条網に絡まった馬を、両軍の兵士が助けるシーンも、
甘いかもしれないが、今までの辛さを忘れさせてくれる
感動シーンだ。ラストの夕焼けは『風と共に去りぬ』。
しかしほのぼのとしたシーンより、地獄のようなシーンが
生き生きとしているのは、スピのダークサイドなんだろうなあ

(★★★★)
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by mahaera | 2013-01-28 01:29 | 映画のはなし | Comments(0)

DVDで観た最近の映画2013 -1『ダークナイト・ライジング』『J・エドガー』『ニーチェの馬』『ドライヴ』

旅行雑誌「旅行人」のウエブサイト、旅シネのベストテン
毎年1/20ごろアップしているため、
TSUTAYAに行って見逃していた2012の映画を
何本か借りてまとめて観ました。
忘れないよう、感想を簡単に上げておきます。

1/12 『ダークナイト・ライジング』(クリストファー・ノーラン監督)
“超”期待してみたのだが、映画が進むにつれて、
その盛り上がらない内容に、不安とイライラがつのる。
「どこから面白くなるんだ」と。
“意外な悪役”を最後に登場させたおかげで、
今までのベインの悪役ぶりがすべで“無”になってしまった
のはいかがなものか。「恋するベイン」「下っ端ベイン」
そりゃあ、がっかりだよ。最強の敵ってウソじゃん
バットマンと警官たちが閉じ込められている辺りも、
かったるい。ここで活躍しているのは、ゴードン警視。
とにかく、演出のテンポが悪いので、乗り切れない。
あと、政治やアメリカ社会を反映させるのもいい加減に。
あくまでヒーロー映画なんだから、それを忘れちゃ困る。
『アベンジャーズ』を見て、ノーランには勉強して欲しい
ラストも『アベンジャーズ』とまったく同じだが、
あちらは闘う社長が身を挺してNYを救い、感動させるが、
ブルース、自動操縦ってオチはないんじゃない。
最後の「彼がロビンだった」というのは良かったけど。
(★)

1/13 『J・エドガー』(クリント・イーストウッド監督)
FBIフーパー長官の伝記映画だが、彼の一生を追う訳ではなく、
彼の晩年の日々と、彼がFBIを立ち上げ、
躍進していく様子が交互に描かれていく。
母親(007のMことジュディ・デンチ)の歪んだ期待に
応えようと、昇進して権力を手に入れようとする
エドガー(ディカプリオ)だが、実は彼はゲイだった
世間体を気にする彼はそのことをひたすら隠し、
副長官への気持ちもストレートに表せない。
彼が上昇していく時期と、すでに下降している時期を
交互に見せることにより、この男の孤独に迫った作品。
そのため、FBI史や、裏権力史的な内容を求めると
肩すかしをくらう。そのあたりはほぼ語られていない。

ディカプリオのフーバーは、まるで大物に見えない。
実際のフーバーも小男で、アメリカを裏で支配するような
男にはまるで見えなかったのだろう。それに支配する
意識もなかったに違いない。ただ、特権を乱用し過ぎた
だけで、それも「よかれ」と思ってやっていたのだろう。
晩年のフーバーの家の描写がわびしい。
この家にフーバーの遺体に毛布をかけるものも
いないところに、この男の孤独がよくわかる。

イーストウッドの演出はいつもながら古くさい所もあるが、
安心して観られるし、しっかり作っているところは好感。
だが、彼の作品としては、ちょっと落ちることは確か。
(★★★)

1/14 『ニーチェの馬』(タル・ベーラ監督)
モノクロの画面に、荒涼とした土地に住む父と娘の
生活が淡々と描かれる一週間。
最初のナレーションをのぞくと、
セリフが出るのが始まって30分ぐらいで、
それまで字幕があることを忘れていた。
馬を引いて帰って来た父、ゆでたジャガイモを
ひとつずつ食べる父娘。
何の映画かさっぱりわからず2時間、
その間に馬は働かなくなり、人々はよその土地に逃げ出し、
井戸の水は枯れてしまう。
ジャガイモを食べる行為が毎日くりかえされる。
そして火がつかなくなり、太陽も昇らなくなり、
生のジャガイモを食う父。ここで初めてこれは
聖書の最初の7日間を逆行していることに気づき、
「世界の終わり」の話であることがわかる。
とはいってもSF的な世界の終わりの話ではない。
これは自分にとっての世界、つまり人生の最後の話でもあり、
映画内時間が後半に向かって加速度的に早くなっていくのも、
人生末期の時間の早さを感じさせる。
毎日同じように暮らしていても、ある日いろいろなものが
できなくなり、やがて最後の命も消えてしまう。
しかしその日が来るまで、人は気づかないものだし、
ゆでることも焼くこともできなくなったジャガイモでさえ、
食べていかねばならない。
もうあの荒涼とした風景は、映画館で他の観客と共有して
見るべきものだなあ。DVDで見るなら、
なるべく天気が荒れて、ものさびしい日曜の昼間がいいかも。
(★★★★)

1/18 『ドライヴ』(長い名前の監督)
昼間は自動車修理工場で働き、夜はときどき犯罪者の逃がし屋を
している流れ者の男(ライアン・ゴズリング)。
同じアパートの同じ階にすむ母子と知り合い、
彼は彼女に惚れる。しかし出所して来た彼女の夫が、
ヤクザに質屋強盗を強要され、その逃がし屋を手伝うことに。
ところがそれはただの強盗ではなく、マフィアの金の強奪だった。
依頼したヤクザは口封じのために、関係者の命を狙う。
彼女の夫は強盗時に死亡、強盗仲間も殺されるが、
ドライバーは反撃し、殺し屋たちを返り討ちにしていく。

ゴズリングはアメリカでは有名な子役がキャリアのスタート。
映画によってさまざまな役をするため、
すぐに「あの人ね」と浮かばないので日本では人気がないが、
アメリカでは実力も兼ね備えた、人気俳優だ。
ここでは、寡黙なドライバーが困っている母子を助け、
ギャングたちと対決するという、本来は高倉健的な役柄なのだが、
相手を殺す描写が過激で、病的な暴力男に見えてしまう
何かヘンだなと最初に感じるのが酒場のカウンターで、
かつて逃がしてもらった強盗が彼に話しかけるのだが、
「このまま黙って立ち去るか、歯をへし折られたいのか」と
すごまれる。ドライバーは一見、ヤサ男にも見えるし、
優しい所を見せたあとだけに、ドキっとするシーンだ。
そのあと、モーテルを襲う殺し屋を返り討ちにするのだが、
その手際の良さに、ただ者ではないことがわかる。
流れてこの町にやってくるまでは、
彼はいったい何者だったのだろう。
(ジェイソン・ボーン級)
そして、彼は基本的に銃を携帯しないで闘う。
エレベーターのラブシーンのあとの殺し屋との戦いは、
ミュージックビデオからスプラッターへの移行のようで、
観客の神経を最高に逆なでする。そこまでやるか。
そこまでやっておきながら、ボスキャラ2名との戦いは、
いきなりカメラが引いてしまうのだ。
そこがとてもクールだ。
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』好きな僕としては、
もちろん外せない1本だ。


(★★★★)
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by mahaera | 2013-01-27 12:46 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 公開始まったので、追記をします。

映画『ライフ・オブ・パイ』追記
もう公開が始まったので、そろそろネットにレビューが
上がってくる頃ですね。
なので、あまり公開前には書きにくかったことを、
蛇足ながら、書いてみたいと思います。
もとの『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』レビューは
こちら
にあります。

※ネタバレ、というほどではありませんが、
見た人にしかわからないように書いてあります。

●あなたはどちらのタイプ?

ちなみに、最初の話を信じる(のほうを好む)人は神を信じる人、
船会社の人に話したというほうを信じる(のほうを好む)人は、
神を信じないほうです。
「神」といっても、いわゆる宗教の神ではありません。
パイが子供の頃にキリスト、ヒンドゥー、イスラムなどの各宗教に
首を突っ込むことからもわかるように、
特定の宗教の「神」ではありません。劇中でパイの話を信じないのが、
「無宗教」と思われている日本人というのも象徴的です。
パイは宗教が特定する神ではない、不思議な大きな力が
あると考えています。でも、それこそ日本人的な
「神」にも近いように思われますが。

●物語ること
劇映画は、もちろん役者がいて、カメラのこちら側に
スタッフがいる「作り物」ですが、観客は映画を見ているときは
それは忘れて映画の世界に入ります。
ウルトラマンも人が本当に巨大化している訳でなく、
中に人が入ってミニチュアで撮影していても、
画面を見ているときに「ああ、中に人が入っていてミニチュアで
撮影していて滑稽だなあ」なんて思って見ていません。
それは納得して、頭の中で置き換えて見ている訳です。
それが想像力ですが、この映画でも、パイの物語は
「すべてパイが話しているだけ」ですが、
映画のお約束としてはそれは実際にあったこととして進んでいます。
この映画では、それがその外の枠にあたる「映画」というフォームと
二重構造になっています。
「2つの話がある。もとは同じだが、
映画化するとしたらどちらが見たい?」と観客に聞いている、
あるいは作者が自分に問いかけているのと同じです。
映画内では聞き手になっている作者のヤン・マーテルは、
前者を選びます。後者を選ぶ人は、後者のほうが真実だろうと思って
選ぶのですが、映画では必ずしも「後者が真実」とも言っていませんし、
観客の中にも前者の話が信じてもらえなかったので、
後者の酷な話はパイが船会社の人に分かるようにした
作り話と思っている人もいるでしょう。
どちらも間違いではないし、
わざといろいろな解釈ができるようにしているのです。
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by mahaera | 2013-01-26 14:25 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『脳男』日本版『ダークナイト』を目指したのだろうが、2つの異なる演技プランがダメに

脳男
2013年/日本

監督:瀧本智行
出演:生田斗真、松雪泰子、江口洋介、二階堂ふみ、太田莉菜、夏八木勲、石橋蓮司
配給:東宝
公開:2月9日より全国東宝系にて

原作は2000年に刊行され、江戸川乱歩賞を受賞した
首藤瓜於の小説。それを『八月の蝉』の監督の成島出が脚本化し、
『犯人に告ぐ』の瀧本智行が監督した
アクション・ミステリーがこの『脳男』だ。

都内近郊で起きていた連続爆破事件を追う刑事・茶屋は、
遺留品から犯人のアジトを見つけ出すが、
踏み込むと同時にアジトは爆発。
犯人は逃走し、代わりに傷を負ってそこにいた男を逮捕する。
男は“鈴木一郎”と名乗るが、肝心なことは何も話さない。
爆破事件の現場にいた精神科医の鷲谷真梨子が、
一郎の精神鑑定を担当する。
真梨子は、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と
疑いを抱き、一郎の生い立ちを調べる。
しかし連続爆破犯の緑川紀子も、その後を追っていた。

東宝試写室で始まる前の30分、ずっとキングクリムゾンの
「21世紀の精神異常者」が流れていた。
ここの試写室はテーマ曲を鬼リピートしてかけるのだが、
まだこの曲だからいいけど、前に来たとき中島みゆきを
10回ぐらい聴かされて、映画を観る前から嫌になった。
中島みゆきが嫌いって訳じゃなくて、同じ曲をかけるにも
ほどがあるでしょ。

さて、原作は読んだことがないのだが、調べてみると
犯人役は中年サラリーマンというように紹介されているので、
発表から10年以上たったためか、犯人のキャラが変更されている
中年サラリーマンから若い女の子に(笑)
で、その世界観や“脳男”と悪役の緑川の対決の図式は、
明らかに『ダークナイト』の影響が感じられる。
というか日本版『ダークナイト』やりたかったんでしょ
爆弾魔の緑川紀子は、「さあ、どっちの命をとる?」
と、ジョーカーと同じように選択を迫るが、
「映画秘宝」のインタビューで緑川役の二階堂ふみが
「『脳男』で爆弾魔を演じることになったんで、
役作りのために何度も見直した」

て、言っているので、たぶん監督から指示があったのだろう。

バットマンとは異なり、この「脳男」には
正義を果す原動力ともなる“怒り”がない。
その点、生田斗真の“脳男”はまさに適役。
悪役もいいだろう。高速道路での車のアクションシーンとか、
けっこういい感じ
出し。続編も作られそう。

ただねえ。松雪泰子と江口洋介、まったくダメだよぉ
ダークヒーローと悪役が、人間性を捨て去っているので、
人間代表として、性善説の精神科医と、
悪人は許さねえ的な刑事というキャラにしたのだろうが、
オーバーアクトもいいところ。いや、彼らはいつもの
演技をしているのかもしれないけれど、
若手たちの演技のトーンと、まったく合ってなくてちぐはぐ。
江口洋介の熱血刑事はテンション高すぎて、
だんだん失笑気味
になってくるし、
松雪泰子の精神科医は、もう善意の押しつけと、
テレビのような“わかりやすい”感情表現にうんざり
してくる。
おかげで、若手がダークな世界観をクールに演じているのに、
何か台無しになってしまう。つまり芝居が古くさいのだ。

バランス取りたくてそういうキャラにしたのかもしれないが、
そこが非常に残念。
あと「殺人を犯した犯罪者は更正しない」とも捉えかねない
結論はどうかね。「悪い奴は治らない」じゃなくて、
状況次第で「悪」と「善」のどちらにもなってしまうというのが、
『ダークナイト』だと思うのだが(ジョーカーのぞく)。

ラストもねえ。そうじゃないだろって突っ込み入れたくなった。
たぶん、脚本の段階では良かったのだろうけれど、
役者の演技プランを仕切れなかった監督がダメなんだろうなあ。
邦画、そんなのばっかりだけど。
いい所もあっただけに、残念。
(★★☆)
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by mahaera | 2013-01-26 00:53 | 映画のはなし | Comments(0)

2012年マイ映画ベストテン発表!(旅シネ)

毎年、旅行人のウエブサイト、旅シネ執筆者で選んでいる
マイ・ベストテンです。これは集計ではなく、
執筆者がそれぞれのベストテンを選ぶもの。
とくに縛りはなく、旧作や未公開作も入れる人もいれば、
新作のみの人もいます。
いちおう僕は他のマスコミ媒体のお約束のように、
2012年に日本で一般公開された映画から選んでいます。
以下はそこに寄稿した僕のベストテンの転載ですが、
選んだ時の気分なので、あと数日したら、2〜3本は
変わっている可能性もあります(笑)
(色が変わっているタイトルをクリックすれば、レビューに行きます)

1 私が、生きる肌(ペドロ・アルモドバル監督/スペイン)
アルモドバル作品にはいつも“愛の濃厚さ”にノックアウトさせられるが、この歪んだ愛と、あーーーっと驚く展開には参った。とにかく愛が変なほうに過剰で、これは日本人にはないな。

2 ポエトリー アグネスの詩(イ・チャンドン監督/韓国)
まったく外れがないイ・チャンドン監督作品。孫息子が犯罪を犯したことを知った主人公の心境は、セリフではまったく説明されることがないが、彼女が次にど うするのかまったく目を離すことができない。全部セリフで説明してしまう邦画しか観ていない人は、解読不可能かもしれないが、映画って本来そうあるべきも のでしょう。

3 孤島の王(マリウス・ホルスト監督/ノルウェー、フランス、スウェーデン、ポーランド)
今世紀初頭に起きた、孤島の少年矯正施設からの脱走ものだが、とにかく少年たちの面構えがいい! 押さえつける所長もステロタイプでないのがいい。日本じゃこんな子役たちは揃えられないだろうなあ。

4 ふがいない僕は空を見た(タナダユキ監督/日本)
予備知識もなく見出したら、あっという間に画面から目を離せなくなってしまった。回りの状況にどんどん追いつめられてしまう主人公たち。しんどい。何度もリピートされる同じ場面がまったく違って見えるのは、的確な演出力があるから。

5 裏切りのサーカス(トーマス・アルフレッドソン監督/イギリス、フランス、ドイツ)
『ぼくのエリ 200歳の少女』の監督が撮った、シブいオヤジばかりが出てくるスパイ映画。原作は読んでいないのだが、この行間を読むような演出は映画ならでは。演技を何もしていないかのようなG・オールドマンが、強い印象を残す。

6 ドライヴ(ニコラス・ウィンディング・レフン監督/アメリカ)
ふつうのアクション映画かと思ったら、ところどころヘン。イイ奴かと思っていた主人公の、途中からのブチ切れ具合に驚く。もう目つきが変わるライアン・ゴズリング、ゾッとする演技だ。

7 高地戦(チャン・フン監督/韓国)
作りが甘い所もあるが、これでもかという怒濤の展開は補って余るものがある。宣伝コピーが最後の展開のネタバレで怒る観客続出。僕は予備知識無く観たので、「そりゃあないぜ」と登場人物と同じく絶望的になった。

8 ニーチェの馬(タル・ベーラ監督/ハンガリー、フランス、スイス、ドイツ)
これは映画館で観たかった。不覚にもDVD鑑賞。正直、中盤は退屈していたが、最後のほうでこれが何を意味しているかわかったら、あっという間だった。

9 ロボット(シャンカール監督/インド)
『ボス、その男シヴァージ』と比べてどっちがいいということもないのだが、再びインド映画が公開されるきっかけとなった作品として。大金かけてこんなギャグにCG使うのは、インドだけ。

10 かぞくのくに(ヤン・ヨンヒ監督/日本)
演出にアラもあるが(役者の演技の粒が揃っていない)、いい場面は安藤サクラ、井浦新、ヤン・イクチュンの3人がすべて支えているので目をつぶれる。今の若い人たちからすると、共産国家が「理想の国」とされていた70年代は想像もつかないだろう。

ベストテンにはもれたけど、気に入っている他の作品は以下の通り。
『アベンジャーズ』『ホビット思いがけない冒険』『プロメテウス』『テイク・シェルター』『THIS IS NOT A FILMこれは映画ではない』『イラン式料理本』『おとなのけんか』『ピナ・バウシュ 夢の教室』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『ミッドナイト・イン・パリ』『ボス、その男シヴァージ』『007/スカイフォール』『戦火の馬』『ムサン日記 白い犬』『星の旅人たち』
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by mahaera | 2013-01-24 01:26 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い』何だかちくはぐなアクション映画

ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い
Fire with Fire
2011年/アメリカ

監督:デヴィッド・バレット
出演:ジョシュ・デュアメル、ブルース・ウィリス、ロザリオ・ドーソン、ヴィンセント・ドノフリオ
配給:日活
公開:2月2日よりシネマート新宿、ユナイテッドシネマ豊洲


まあ、最初に言ってしまうと、DVDスルーでもいいレベルの映画。
しかし謎なのは、何でこんな映画にも、大作の『ルーパー』にも、
ウェス・アンダーソンの『ムーンライズ・キングダム』みたいな
ミニシアター系の映画にも、ブルース・ウィリスが出ている
のかってこと。日本公開に限っていえば、1月の『ルーパー』、
2月が本作と『ムーンライズ・キングダム』とダイハードの新作だよ。
もうニコラス・ケイジかデ・ニーロかっていうくらい、
作品を選んでいない気がする。
もっとも本作での出番は、実質ちょっとで、
撮影場所も二カ所ぐらいしかなく、2日もかかっていないかも。

本作の主人公は、カリフォルニアの消防士ジェレミー。
トランスフォーマー』シリーズのレノックス大尉役の
ジョシュ・デュアメルが扮している。
ブラック・アイド・ピーズのファーギーの旦那
彼はある晩、偶然に殺人事件を目撃してしまう。
犯人は白人至上主義のギャングのボス、ヘイガンだ。
で、素性が割れたジェレミーにヘイガンが脅しをかけたので、
ジェレミーは証人保護プログラムを受け入れ、
まったくの別人として生きることにする。
数ヶ月後ニューオリンズで暮らす彼は、
担当の女刑事が恋人で楽しく暮らしているが、
そこをヘイガンに雇われた殺し屋が襲う。
裁判が始まる前に消すためだ。
この恋人が負傷し、ヘイガンから殺人予告を突きつけられた
ジェレミーは「それなら先にお前を殺してやる!」と、
反撃を始める。

(以下ネタバレあり)
ジョシュ・デュアメル、あまり演技がうまくないのか、
演出が悪いのか(両方)、ここでは『トランスフォーマー』の
頼りになる軍人らしさはなく、どうも強そうに見えない。
ヘイガンの手下(ヴィニー・ジョーンズ、こんなところに!)に
どう見ても勝てそうもないのに。
で、悪役のヴィンセント・ドノフリオは、ちょっと見かけが、
フィリップ・シーモア・ホフマンぽいが、
ちゃんとワルの演技はうまく、ブルース・ウィリスの刑事と
向かい合って火花をバチバチさせる(口で静かに言い合うだけ)
ところが、演技のクライマックスというところが悲しい。
ウィリス刑事、チラシだと銃を握っているが、
映画ではそんなシーンないしね。

でもこの映画で勉強になったのはタイトルが、
ファイト・ファイヤー・ウィズ・ファイヤー(毒をもって毒を制す)」という慣用句から来ていること。つまり追いつめられた主人公が、ついには銃を手に取り反撃する、「窮鼠猫を噛む」ってやつだ。
また主人公が消防士であり、最後はそのスキルを生かして戦うことのダブルミーニング(「fire」には「銃撃」や「火事」という意味がある)も含まれている。
でも、何かそれにしてはあまりその設定が生かされていないと、
突っ込みを入れたくなるし、悪者たちのやられ様も
「それはないでしょう?」と。凄腕の殺し屋があっさりやられる
シーンは口が開いてしまったよ。
 
それまで彼はどこにいたんだか。もうちょっと対決してもいいんじゃない。

たぶん、脚本をもっと練らないとダメなはずなのに。

ということで、今年最初のトホホ。
(★☆) ☆はヴィンセント・ドノフリオの演技で+
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by mahaera | 2013-01-23 02:21 | 映画のはなし | Comments(0)

新作映画レビュー『アウトロー』トム・クルーズが新シリーズ狙ったが、止めたほうがいいと思う

アウトロー
Jack Reacher
2012年/アメリカ

監督 クリストファー・マッカリー
出演 トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、ロバート・デュバル
公開 2/1より全国


トム・クルーズが『ミッション・インポッシブル』シリーズに
続いて、“オレ主役シリーズ”を作ろうとして選んだのが、
すでに原作が15作ほど刊行されているリー・チャイルドの
ジャック・リーチャー・シリーズ
主人公は、もと軍のMP(警察)で、ストイック、無口、
頭脳明晰、記憶力抜群、身体能力にすぐれ、格闘も射撃も
超一流。しかし一匹狼、

という映画の中でしかあり得ないようなキャラ(笑)

5人が射殺される無差別殺人の容疑者として捕まった男が、
過去に同様の事件を起こした時に、
ジャック・リーチャーが見抜いたことから、
自分の無実を証明するために、彼の名を出すが昏睡。
そこにふらっとリーチャーが現れて、
「これは仕組まれたワナだ」と真相究明。
弁護士のロザムンド・パイクは反発しながらも
次第に彼に信頼を寄せていく。

で、問題は主人公のキャラにトムが合っていないこと。
これはポーンシリーズみたいに、
一見そう見えなさそうな人が実は、というのが2000年代で、
これを見ていると、「ああ、トムはもはや過去のスター」
という気がしてくる。
たとえていえば昔、ヒット作といえば、スタローン、
シュワちゃんという時代があったけど、もはやそこに
リアリティはなく、ファンタジーしか感じられないように、
トムが町中で無敵のアウトローっといっても、
「ああ、トムだねえ」ぐらいにしか思えない。
「ミッション・インポッシブル」はまだスパイという
リアリティないところでやっているからいいとして、
この作品だと、町中で悪党と闘うんだもの。
ジェイソン・ボーン・シリーズをトムがやっていたら
かなり陳腐なものになるだろうというのは誰でも分かるでしょ。
トムはどうがんばってもハリウッドの大スター。
その難しさがここに出てしまっている。
もう50なので、そろそろ老け役をやっておかないと、
このあとの10年厳しそうだ。

ちゃんと『ロック・オブ・エイジス』とかで
パロディ的な演技もできるはずなのにねえ。
1歳年上のジョージ・クルーニー的な作品選びしたほうが、
俳優人生長持ちすると思うのだが。

ちなみにこの映画、アメリカでは予想を下回るヒットとなり、
日本でヒットしないと、続編は難しそうとのこと。
個人的には、日本でヒットせず、
トムは違うキャラをやったほうがいいと思う。
もしくはリーチャー役はもっと若い(40ぐらい)俳優
じゃないか?

(★★)
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by mahaera | 2013-01-22 03:03 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『故郷よ』今だから他人事ではなくわかるチェルノブイリ。フクシマの人たちの姿が重なる

故郷よ
Land of Oblivion
2011年/フランス、ウクライナ、ポーランド、ドイツ

監督:ミハル・ボガニム
出演:オルガ・キュリレンコ(『007/慰めの報酬』)、アンジェイ・ヒラ(『カテインの森』)、イリヤ・イオシフォフ
配給:彩プロ
公開:2月9日よりシネスイッチ銀座にて
上映時間:108分
公式HP:kokyouyo.ayapro.ne.jp


何年か前、ウクライナのキエフに行ったことがある。
地図を見て、チェルノブイリが意外と近いことを知った。
キエフにはチェルノブイリ博物館があり、そこに住んでいた
人々の持ち物などが展示してあったことを覚えている。
チェルノブイリの事故があったとき、その隠蔽体質を、
自分を含めて多くの日本人は「ソ連(当時)だから」
遠い国のこととして感じたはずだ。
やっぱり共産国家は怖いよね。何でも隠すんだから
しかし今では「これはどこの国でも起きること
であることを実感している。

1986年4月25日の春、チェルノブイリからわずか
3kmの隣町プリビャチでは、住民たちは川で魚を釣り、
原子力発電所の技師アレクセイは幼い息子ヴァレリーと
川辺でリンゴの木を植えていた。翌4月26日、町は雨に包まれる。
結婚式を挙げていたアーニャの消防士の夫は、
森林火災があったと呼び出され二度と戻らなかった。
川には魚が浮き、植えたリンゴの木も枯れてしまった。
事故があったことを知ったアレクセイは、家族を避難させる。
4月28日、ようやく発電所の事故が住民に告げられ、
住民の強制退去が強いられる。住民の家畜やペットは殺された。
10年後、アーニャはプリビャチに戻りツアーガイドをしていた。
そして成長したヴァレリーもまた事故以来、
初めてプリビャチに足を踏み入れていた。

10年後、映し出されるプリビャチは厳しい冬景色の中だ。
コンクリートで固められた「石棺」や30km圏内の
立ち入り制限区域内で、いまだ働く人々がいる。
立ち退きに応じず住み続ける人々、
空き家となった家々を勝手に占拠して住んでいる人々…。
結婚式の日に夫を失ったアーニャは、外国人相手に
ツアーガイドをしながら、この地を離れずにいる。
死んでしまった夫のことを考えると、
自分だけ幸せになることはできないというように。
成長したヴァレリーは、事故の日から行方不明の父が、
まだどこかで生きているという期待をかけて
ゴーストタウンとなった町へと入って行く。

突然、故郷を奪われただけでなく、同時にその地で
愛する人を失った人々の喪失感は、想像するしかない。
声高ではなく淡々と描いた地味といっていい作品かもしれない。
生命が息づく春の日、美しいプリビャチの町で
父は子と苗木を植え、花嫁は「百万本のバラ」を歌い、
幸せを謳歌している。まもなくオープンする遊園地を
子供たちは心待ちにしている。
この部分を丁寧に描き、その後どうなるかを知っているから、
観客は永遠に続くと思っている幸せが、
実ははかないものだと強く感じるのだ。

このままさまよい続けて一生を終えるだろうといった人々の姿は、
胸に迫るものがある。同じことが日本でも起きているのだ。

人が作ったものは大きく破壊された一方で、
自然が暴力的に回復している姿も印象的だ。
人類が放射能で全滅した後も、自然は生き抜いていくのだろう。
途中で捨てられた家屋に住み着いているタジキスタン人の
家族が登場する。彼らも「故郷」を追われて来たのだろうが、
プリビャチに住んでいた人にとっては「占拠者」にすぎない。
しかし今ではそこが、彼らの安住の地なのだ。
「原発が」というより、多くの人々の幸せを奪うものについて、
そしていつまでも幸せが続くものではないこと、
いろいろ考えさせてくれる映画だ。
(★★★☆)

■映画の背景
・プリビャチはウクライナ北部の都市で、原子力発電所から3km離れた場所にある。発電所の従業員の住む町として創建された新しい町で、当時の人口は5万人、平均年齢は26歳だった。きっと若い夫婦や、小さな子供たちが多かったのだろう。
・現在、30km圏内は立ち入り禁止区域となっているが、映画で描かれているように、今でも4000人が仕事をして、バーやレストラン、ホテルもある

■関連情報
・映画で描かれているように、チェルノブイリツアーがキエフから催行されている(片道2時間半)。日帰りツアーUS$150〜(施設内の食堂でのランチ込み)。行きのバスの中でドキュメンタリー上映、4号炉のそばまで行き、外観を眺める。ゴーストタウン(観覧車もある)を歩き、ガイガーカウンターで計測しながらのツアーだ。このツアーで浴びる放射線は、飛行機に乗って浴びる放射線と同じぐらいだという。現在、「石棺」は老朽化が著しく、それの回りにさらに人工物を被せる作業をしている(石棺が見られるのはあと数年という)。
ツアーについての内容や、参加した人のブログはウエブ上で見られるので、検索してみるといいだろう。
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by mahaera | 2013-01-20 15:58 | 映画のはなし | Comments(0)