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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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尾崎裕哉の「Between the Lines」終了に思う

Inter fmの番組で好きだったのが、
尾崎裕哉の「Between the Lines」だ。
この番組は、最初に洋楽の歌詞を尾崎裕哉が
訳したものをポエトリーリーディング。
次にその原曲がかかるというもの。
僕はそのポエトリーリーディングを聴きながら、
「これは何の曲だろう」と当てるのが楽しみだった
もっとも、想像もつかないものが多く、
曲が流れて、「ああ、この曲はこんな歌詞だったのか」
知って驚くことが多かった。
曲は、ロック好きなら知っているような、
わりとポピュラーな曲が多かったので、
「僕はいままでこの曲の半分しか知らなかった」という新鮮な驚きだ。
訳詞もCDで読んでいたものと違い、それも良かったと思う。

今夜はいつもとは逆で、いきなり英詞が読まれ面食らった。
どうしたのだろう。それに続けて流れたのは、
尾崎豊の「卒業」
そしてサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」
DJの尾崎裕哉が、本日が番組の最終回であることを告げた。
だから、この曲をかけたと。
しっとりと落ちついた番組で好きだっただけに残念だ。
そういえば、僕はこの人のことを何も知らなかった。
2年も番組を聴き続けていたのに。他に何をやっているのだろうと、
初めて調べてみたら、尾崎豊の長男であることがわかった。
尾崎豊は裕哉が2歳のときに亡くなっているので、
当然、想い出はないのだろう。が、番組の最終回にこの曲を選んだ。
深夜に感慨深いものを感じた。

また、どこかで、あの落ちつきながらも若さを感じるあの声で
ポエトリーリーディングを聴いてみたい。
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by mahaera | 2015-03-30 01:55 | 日常のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『JIMI 栄光への軌跡』煮え切らないジミ映画。許可が下りなかったのか。

JIMI 栄光への軌跡
監督:ジョン・リドリー
出演:アンドレ・ベンジャミン、ヘイリー・アトウェル、イモージェン・ブーツ
配給:東京テアトル
公開:4月ヒューマントラストシネマ渋谷


ロック好きなら知らぬものはいない、
伝説のロックギタリスト、ジミ・ヘンドリクスの伝記映画だ。
実は僕はジミヘン、そんなに聴いていない。
もちろん代表曲は知っているし、あの時代の人にしては
映像が残っているので、今までもライブ映像は
何度も見ているのだが、あまりひかれない。
確かにギターはかっこいいのだが、リズムセクションが
(バンド・オブ・ジプシーズ以外)魅力がなく、
なんか弾き語りにバックが付いているだけの感じがするのだ。

映画は27才の短い生涯を送ったジミヘンの、
デビュー前後のほぼ1年の話になっている。
1966年、NYのクラブでソウルシンガーのバックをしている
ジミをキース・リチャーズの恋人のリンダ・キーズが見いだす。
彼女の紹介で、アニマルズを辞めてマネージャーに
転向しようとしていたチャス・チャンドラーが、ジミと契約。
ジミはロンドンに飛び、そこでバンド、エクスピアリンスを結成。
デビュー。たちまち彼の演奏は話題になり、
ビートルズも見に来るほどに。
そして、いよいよモンタレーのフェスに出演が決まる…。

イギリス時代もレコードは売れていたのだが、
アメリカでブレイクするのは、このフェスに出て、
あの有名なギターに火をつけるパフォーマンスを行ってから。
なので映画では、主体性があまりない、
ちょっと自信なげにもとられるジミ像だ。
リンダ・キーズががんばって売り込んでくれたから
デビューできたという感じで、
本人には「オレはデビューするぜ!」
みたいなガッツはない。だいたいギターも持っていなくて、
リンダがキース・リチャーズのストラトを渡すぐらいだから。
ロンドンに行ってからもそれは同じで、
ジミが強力なリーダーシップを示すこともない
もともと、演奏シーンがそんなに多くないので、
ジミのことをあらかじめ知識で知っている人以外には、
この映画からジミのすごさはあまり伝わりにくいのが欠点だろう。

「あいつはすごい」と他人が言うセリフから、
「そうなんだな」と思えるぐらいだ。これは、もしかしたら裏で、
「本物のジミの演奏や曲を使用できない」という
縛りがあったのかもしれない。
だって「パープル・ヘイズ」
「ヘイ・ジョー(ジミの曲ではないが)」
「フォクシーレディ」もないしね。

で、映画は演奏シーンよりも
むしろ女性関係にフォーカスを当てている。
ジミをデビューに導いたが、やがて遠ざけられるリンダ。
グルービーでジミに依存するキャシー。
ジミに社会的な運動を結びつけようと導く女性…。
しかし、ジミは各地で盛り上がる公民権運動や
黒人パワーにも興味を示さない。映画の中でジミが本屋で
購入して読んでいる本が、アーサーCクラークの「都市と星」だ。
ある年代以上なら読んだ方も多いSF小説だろう。
60年代、ヒッピーたちの愛読書で、スピルバーグの
短編デビュー作「アンブリン」にも出て来る時代のアイコンだ。
すべてが満ち足り、人も死なず生まれない10億年後の世界が舞台で、
誰もその都市を出たがないが、主人公は旅立って行く。
ジミはこの映画では、旅立つ前のモラトリアムの世界にいる。
旅立たなければならないことも知っているが、
それにかかる煩わしさ(とくに人間関係)は苦手だ。
女性に「あんたはやろうとしていることが面倒だと、
放り出してしまう人でしょ!」
みたいになじられるが、その通り。
彼にはお膳立てしてくれる人が必要なのだ。
そういうものがあって、
彼は初めて「満ち足りた都市から宇宙に飛び立てる」。
ギターを持つとすごいが、その場は誰かが作ってくれないと
どうしようもない。なので、間に入る人は大変だろう。

監督は「それでも夜は明ける」の人、ジミ役はラップデュオOUTCASTの人。
音楽は懐かしワディ・ワクテル(とリーランド・スクラー、ケニー・アロノフ)。
しかし出来は何となく、低予算のテレビ映画みたいに。
「目指していたものができなかった感」と、
「見たかったものでないものを見せられた感」が。
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by mahaera | 2015-03-27 02:03 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』報われない天才の成功と悲劇

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

『博士と彼女のセオリー』は天才宇宙物理学者だが、
こちらは天才数学者。現在のコンピューターや
人工知能が発明される前に、その理論を作ったという
アラン・チューリングを主人公にした映画だ。

第二次世界大戦中、ドイツは絶対に解けないといわれる
暗号「エニグマ」で交信していた。連合軍はそれを
解読しようとしていたが、どこも成功はしなかった。
そんな中、ケンブリッジ(ホーキング博士もここで学んでいた)の
研究員で“天才”数学者と呼ばれているチューリングが、
情報部に招かれる。しかし人付き合いが嫌いなチューリングは、
チームの誰とも打ち解けず、ひとりで解読マシンを作り、
解読に打ち込む。そんな彼の心を溶かして行ったのは、
クロスワードパズルの天才女性ジョーンだった。
やがて暗号は解読されるが、それは大きなプレッシャーを彼に与える。
そしてまた、彼の秘密が明かされて行く…。

主人公のチューリングを演じるのは、
いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのカンバーバッチ
ドラマ「シャーロック」の人ですね。ちょっと動物顔の。
この人、デビュー当時にテレビ映画でホーキング博士を演じたことがあるとか。

ふつうの暗号だとaと入力するとxというように
変換すればいいので、ヒエログリフのように、
何かキーワードがわかれば解いて行くことができるし、
組合わせもそう多くない。
しかしエニグマという機械は、最初はa→xと変換すると、
ダイヤルが回り、二回目にaが出て来るとyになったり、
三回目はbになったりと、ころころ変わって行くシステム。
組合わせは膨大で、10人が24時間働き続けても
2000万年かかるらしい。つまり不可能ということだ。

チューリングは早々に「人力では無理」と判断し、
解析マシンを作る。電子計算機だ。映画のストーリーは
この解読に挑む彼に沿って進むが、
同時に彼の複雑な性格についても掘り下げて行く。

エニグマの解読は成功したが、政府はそれを公表しない。
それがドイツに知られたら、意味が無くなるからだ。
なので、ドイツ軍が味方を攻撃するのを知っていても、
教えることはできない。教えられるのは、
他に情報ソースがあるとリークできるものだけだ。
「何千万人を救うために、数万人の死は見過ごさなければならない」
(原爆投下のアメリカ言い訳のようでもあるが)。
辛い重責だ。そしてあくまで秘密任務なので、
彼らの功績は誰も知ることがない。本来なら「英雄」として
讃えられるところは、戦争が終われば口止めされたただの民間人。
そして“ある事件”によりチューリングは逮捕されてしまう…。
チューリングが隠し続けた秘密が悲しい。

ホーキング博士は富と名声を得たが、一方で功績は隠され、
社会的に差別され、不遇のままに無くなった天才もいる
エニグマが解読されたことを英政府が認めたのは50年後。
英政府がチューリングに謝罪したのは2009年だが、
チューリングは1954年に41歳で亡くなっている。
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by mahaera | 2015-03-01 12:47 | 映画のはなし | Comments(0)